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International Political Economy Updates

「ゼロコロナ」後のアジア 成長予測、上方修正も ケッペル・コーポレーションCEO ロー・チンホア氏 2023/02/27

中国の「ゼロコロナ」政策終了後、世界経済への悲観論が薄らいでいる。不動産開発やエネルギー・環境、通信事業を手がけるシンガポールの複合企業、ケッペル・コーポレーションのロー・チンホア最高経営責任者(CEO)にアジア経済の見通しを聞いた。

景況感が改善
――東南アジア経済の先行きは。

「世界のインフレが収束し、中央銀行が利下げに転じるには時間がかかりそうだ。世界経済との連動性が高い東南アジアも世界的な景気減速の悪影響を受けるが、中間所得層の増加や都市化、中国からの生産拠点の移転といった高成長の土台となる基礎的条件は変わっていない」

「例えば、ベトナムは2022年に実質国内総生産(GDP)が前年比8%増と、世界的にみても高い成長を達成した。国民の平均年齢は若く、海外からの投資が流入し続けており、23年も力強い成長が持続するだろう。インドネシアやマレーシアといった周辺国の構図も同様だ。各国の景況感の改善に伴って、年初の見通しよりも成長率が上方修正される可能性がある」

――ベトナムでは1月に国家主席が事実上更迭されました。域内の政治混乱が外資の投資を鈍らせる懸念は。

「ベトナムでは企業の投資の承認が遅れているという悪影響は確かに出ている。しかし、高成長市場の魅力は大きく、企業の投資姿勢は変わらないはずだ」

――ゼロコロナの終了後、中国経済に変化は。

「1月以降、住宅展示場の来場者が目に見えて増えた。中国政府は不動産の需要喚起策を打ち出しており、少なくとも上海などの大都市は需要と供給が均衡し、供給過剰は是正されつつある。経済の正常化は着実に進んでおり、成長率が22年を上回るのは確実だ」

「ただ、中国の観光客は東南アジアにまだ十分戻ってきていない。新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻るには最大で数年かかり、中国の経済回復の効果が及ぶのも先になる」

世界は多極化
――米中の対立が経済面でも先鋭化しています。中立を掲げる東南アジアの企業も選択を迫られますか。

「インドの台頭によって世界は多極化している。企業の対応も一様ではない。中国から撤退する企業もあれば、引き続き中国市場が魅力的だと考え、とどまる企業もある。当社もインドや日本に投資しているが、インドの投資を増やしたから中国への投資を減らすといった単純な話ではない」

――そのインドは財閥アダニ・グループの不正会計疑惑で揺れています。

「もともとインドのような新興国市場は事業上のリスクが高い。不正会計疑惑が正しいかどうかをコメントする立場にはないが、信頼できる提携相手や取引先を選ぶ重要性を改めて示したといえる」

――ロシアのウクライナ侵攻から1年。アジアで脱炭素化への移行が遅れる懸念は。

「むしろ逆だろう。多くの国がエネルギー安全保障の重要性を再認識するに至った。多様なエネルギー源の確保に動き、再生エネルギーの活用を増やすだろう」

(聞き手はシンガポール=中野貴司)

 Loh Chin Hua 政府系ファンドのGICなどを経て、14年から現職。61歳

(日本経済新聞)

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