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「ネット銀がメインバンク」企業増 低コスト送金・迅速融資が強み 5年で2倍、中小が活用 2022/11/15

インターネット専業銀行をメインバンクにする企業が増えている。東京商工リサーチによると、2022年は3446社と5年前の約2.3倍に増えた。決算書がいらないネット完結の融資や低コストの送金を武器に、スタートアップや中小零細企業との取引が増えている。ネット銀は住宅ローンなど個人向け金融が主体だったが、デジタルを強みに企業向けでも存在感を増している。

東京商工リサーチが155万社強の企業情報からネット銀行の9行をメインバンクとする企業を集計した。22年の企業数は前年に比べて22%増えた。最大の三菱UFJ銀行(12万社超)の約3%にすぎないが、9年前の約5倍になっている。

ネット銀の強みは、低コストの送金や基本的に無料の口座維持手数料にある。東京商工リサーチによると、楽天銀行はメインバンクの企業が1394社と最も多い。同社の他行向け振込手数料は3万円以上で229円。400~800円前後の大手行より低い。振り込みサービスは24時間365日利用できる。資本力が限られるスタートアップなどの利用価値は高い。

2位のPayPay銀行(1268社)も決済アプリ最大手のPayPayと連携することで、飲食店などを中心に法人顧客が増加傾向にある。 これまでネット銀行の主戦場は個人向け金融だった。ネット完結のサービスや高めの預金金利で口座数を増やしてきた。低金利の住宅ローンは大手銀のシェアを奪う原動力になった。

ただネット銀同士の競争激化もあり、近年は消耗戦の様相を呈している。そうした中でネット銀は企業向け金融の強化に動く。特に大手銀や地方銀行ではカバーしきれない中小企業に照準を定めてきた。

GMOあおぞらネット銀行では、22年9月の法人口座数が5万7000と1年前の2倍超に増えた。21年度は口座開設数の6割超が創業まもない企業だった。

ネット銀の強みは決算書などの提出を求めずに融資を実行する機動性にもある。GMOあおぞらはクラウド会計ソフトを手掛けるfreeeと連携し、5月から出入金データに基づく審査で1000万円を上限に融資するサービスを始めた。

迅速な融資に注目が集まり、サービス開始から3日で200社超の申し込みがあった。同サービスを利用する21年創業のCranebio(東京・港)は「資金使途が決まっていたわけではないが、創業2年目のベンチャーとして万が一の備えがあれば安心だと思った」という。

住信SBIネット銀行も決算書がいらない融資で攻勢をかける。日立製作所と開発した人工知能(AI)を活用し、日々の収支データを基に融資の条件を設定する。同社の融資サービス「dayta」は、無担保で3000万円を上限に借りられる。

運転資金に限定し、通常より高金利になることもあるが、利用企業からは「面談不要で早ければ当日に融資を受けられる利点は大きい」といった声も上がる。

一方のメガバンクも、手をこまねいているわけではない。3メガ銀は今年度内にもオンラインのみで法人口座を開設できるようにする。東日本銀行は9月に商工組合中央金庫と提携し、スタートアップ支援を加速させている。

ネット銀の法人ビジネスには課題も残る。信用力が劣るうえに、企業の規模拡大に伴うまとまった融資の実行となると分が悪い。法人顧客と中長期の関係を築くには融資の拡充などで実績を残していく必要もある。

(北川開)

(日本経済新聞)

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