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「何でもコンサル」にリスク 2024/04/08

「どんな問題でもお任せください」。こんな口上で自らを売り込み、大企業のあらゆる相談を一手に引き受ける助言会社が増えている。

経営陣にとってレピュテーションリスク(企業の評判を害する恐れ)が財務リスクと並ぶ懸念事項になったのに伴い、助言会社はここ10年間でコンサルティング領域を大幅に広げている。

英ブランズウィック・グループ、米FGSグローバルなどは危機発生時や決算時のマスコミ対応から、持続可能な経営に関する助言、企業文化の改善、地政学リスクの分析まで多岐にわたる業務を手がける。米テネオは経営幹部の交代や事業のリストラも支援する。

これは業界全体で見られる変化だ。「ビッグ4」と呼ばれる四大監査法人が事業を多角化し、米マッキンゼー・アンド・カンパニーを筆頭にコンサル会社が戦略の立案に加えて実行支援などにも乗り出すと、他社も追随した。

ヘッドハンティング会社のスイス・エゴンゼンダーや米ラッセル・レイノルズ・アソシエイツは株主との対話や取締役会のガバナンス体制についても助言する。米ラザードや欧州系ロスチャイルドなどの投資銀行も地政学リスクを分析する部門を新設。企業戦略を助言する英ハクルートはベンチャーキャピタル(VC)投資にも手を広げている。英法律事務所シリングスはPR会社を立ち上げた。

業容拡大の裏には何があるのか。

複合的な危機に見舞われやすい今の時代、企業は想定外の事態に度々追い込まれる。経済や地政学上、あるいは環境や組織の大変動が同時に起こり、状況をさらに悪化させている。

そんなとき、多くの経営者が当てにするのが強力なコネを持ち、鋭い助言をするコンサルだ。彼らは専門領域外の相談なら、かつては他社を紹介したかもしれない。ところが収益環境が厳しくなった今、顧客との関係を利用して新たな収益源をつくろうとしている。未公開企業をターゲットにする投資マネーがコンサル業界にも流れ込んでおり、収益増のプレッシャーにさらされているのだ。

戦略立案に関与し、経営陣の意思決定に影響を及ぼすことが彼らの優先課題となった。業界動向に詳しい専門家は「取締役会に食い込むことができれば、戦略の提示や助言に対する1日の報酬を3倍に増やせる」と明言する。

新たな領域の助言はうまくいけば利益を押し上げ、顧客の信頼を深めるかもしれない。だが失敗すれば収益も評判も落ちる。これで苦い経験をしたのが銀行業界だ。利益相反や二重請求などが発生すれば、顧客は離れていく。

間口を広げるコンサルが増えていることは、逆にニッチな分野に特化し、顧客の要望にきめ細かく応える助言会社には好機となる。「顧客が求めているのは費用対効果の最大化であり、必ずしも利便性ではないはず」。英ロンドン大学のローラ・エンプソン教授はこう語る。「何でもコンサル」は成功の保証がない。

(日本経済新聞)

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