金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    Facebook CEO Mark Zuckerberg

  • pic

    Amazon in Silicon Valley, San Francisco bay area

IT&デジタル業界最新業界

IT&Digital Industry Latest Information

「AI生活革命」幕開け 17兆円市場を争奪 話せるクルマやポケット秘書 2024/01/13

「話せるクルマ」や「ポケット秘書」――。米国で開催中の世界最大のテクノロジー見本市「CES」の景色が一変した。講演者は生成AI(人工知能)について熱く語り、約4000社の参加企業はAI活用策を競った。超頭脳を使いこなして顧客の心をつかめるかが、AI大競争時代に企業の浮沈を握る。

「AI生活革命」の幕開けを象徴したのが、初日に開かれたCES基調講演登場の化粧品世界大手仏ロレアルだ。

「テクノロジーを消費者が必要としている」。ニコラ・イエロニムス最高経営責任者(CEO)は、生成AIが顧客一人ひとりの肌に適した化粧品を提案するサービスを説明した。

スマートフォンで自分を撮影すると、化粧した後の顔や肌の画像を生成AIがつくり出す。

ロレアルは100年の歴史を誇り時価総額は約37兆円にのぼる。美容業界の巨人を突き動かしたのは、強い危機感だ。生成AI活用で他社に先行されると、顧客への価値提供で遅れかねない。

世界小売り最大手の米ウォルマートもCESの目玉となった。生成AIを使い消費者に新たな買い物体験をしてもらう。

「米プロフットボールNFLの試合日に自宅でパーティーをしたい」。消費者がスマホ検索アプリに書き込むと、タコスやチキン、飲み物、最新の大型テレビなど商品リストをつくる。「生成AIを使って消費者のパートナーになる」。ダグ・マクミロンCEOはぶち上げた。生成AIは一瞬で最適解を導き出す。

24年のCESでは、テクノロジーと一見無縁の非テック企業が脚光を浴びた。背景にあるのがAI技術の進化だ。

従来、AIは省力化や効率化など役割が限定的だった。最新の生成AIには創造性が備わった。文章に加えて画像、音声を同時に理解し、高精度の動画をつくる。AIが企業の競争力を左右する要因になってきた。

「モビリティーと人間が双方向でコミュニケーションできるようにしたい」。8日のCES会場で、ソニーグループとホンダが共同出資する電気自動車(EV)開発会社の川西泉社長がEVに対話型生成AIを載せると公表した。

川西氏にとってAIは単なる運転補助役ではない。自然に会話して移動時間をともに過ごす「相棒」へと進化させる。

「対話型AI『Chat(チャット)GPT』開発の米オープンAIに続け」。今回のCESのさらなる特徴は、AI技術を駆使した名もなき新興企業の勃興だ。

「AIベビーカー」で注目されるのが、カナダのグリュクスキンド。親が赤ちゃんを抱っこしてベビーカーから手を離すと、親と自動伴走する。

「ポケットに入るAI秘書のようだ」。ロサンゼルスが拠点のラビットはAI搭載の小型端末が話題となり、先行販売の初日に予約注文が殺到した。話しかけると配車や飲食店を予約する。

AI進化の奔流に日本企業はついていけるのか。「ジャパンブースにAIが少ない」。オランダのスタートアップ経営者は日本企業の出展エリアに驚いた。

NTTやソフトバンクなどが独自生成AIの開発で巻き返しを狙うが、存在感は薄い。CESでも日本勢はAIに関する展示は少なかった。既存技術の性能向上や追加機能にとどまり、周回遅れ感が否めない。

AI進化が止まらない一方で、リスクは尽きない。生成AIに潜む差別や偏見、誤情報を回答するハルシネーション(幻覚)、データ保護など多くのリスクがある。

「個人のプライバシー侵害を防ぐ法整備が必要だ」。CES会場で米連邦取引委員会(FTC)や米グーグルなどのAI政策担当者らの議論は白熱した。

ボストン・コンサルティング・グループによると、生成AIを使った関連市場は2027年に1210億ドル(約17兆円)と23年比で約7倍に拡大する。驚異的な進化を遂げるAIを制御し、革新と安全を両立できるか。まだ答えは出ていない。

(ラスベガス=渡辺直樹、為広剛)

(日経新聞)

menu