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みずほの役割給、グループ横断で 来年度導入、人材配置柔軟に 専門性、処遇しやすく 2023/07/25

みずほフィナンシャルグループ(FG)は人事制度を抜本的に見直す。グループの4万5000人を対象に職務内容を明確にして成果できちんと評価する共通の給与体系を導入する。仕事内容を給与面で処遇することで、グループ人材の再配置を柔軟にするほか、優秀な中途人材を獲得しやすい環境を整備。専門性の高い組織をつくる狙いがある。

24年度から導入する「役割給」は職務内容と成果で評価するジョブ型雇用の発想を取り入れた制度。厳密なジョブ型が職務内容を定義して必要な人材を当てはめるのに対し、一人ひとりに期待する役割を定める点で人材寄りの制度にした。ロール型とも呼ばれ、他産業より年功的な色合いが濃かった3メガバンクで導入するのは初めて。

年齢や潜在的な能力ではなく、実際の職務内容を「時価評価」するのが役割給の最大の特徴だ。従来は年齢など考慮する要素が多く、わかりにくいとの声があった。専門性の高い職務をこなしている若手社員にとっては給与と仕事内容が釣り合わないといった不満となり、離職の一因だった。

役割給は仕事の内容や難易度を示すポジションに、社員の能力に応じて与えられる役割を加味して決める。異動や担当替えで大きな役割を担うようになれば、所属や年齢に関係なく給与が上がる仕組みにする。異動がなくても年1回、能力に応じた役割を見直すことで給与が上がるようにし、モチベーションの維持・向上につなげる。

03年のみずほFG発足以来となる人事制度改革に踏み切る背景には銀行で働く人材が生え抜きではなく中途に傾斜しているという事情もある。19年度に7%に過ぎなかった採用に占める3メガバンクの中途の割合は23年度に4割に迫る。金融ビジネスの競争力の源泉がデジタル技術や資産運用の巧拙に変わってきたためで、みずほFGに限れば4割を超える。

これまで商業銀行は大量に新卒を採用し、多くの部署を時間をかけて経験させたゼネラリストを育てるために年功的な人事制度をとってきた。だが、中途人材が増え続けるなかで「専門性ある人材を柔軟に受け入れるために年功要素を薄めるのは避けて通れない」(みずほFG幹部)との判断がある。

グループの銀行、信託銀行、証券の待遇差を解消するのも今回の人事制度改革の柱になる。例えば、証券会社は市場環境が悪化すると業績が落ち込んで賞与が下がりやすい。銀行から証券に出向すると、同じ仕事内容でも証券の業績次第で待遇に差が生じていた。役割給の導入によりこの格差が解消するため、銀・信・証をまたいだ人事配置を柔軟にする。

手当にも時価評価の考え方を導入する。いまは全国転勤のある社員は基本給に月2万~8万円程度の手当が含まれるが、実際に転勤した場合のみの支給に変える。共働き世帯の増加で配偶者のキャリアの中断か単身赴任を迫られるとして転勤したがらない若手社員が増えている。実際に転勤した場合に手当を上乗せすることで、転勤者が抱える不公平感を和らげる。

退職金も給与に上乗せする形で前払いを認め、自己都合退職時に減額する仕組みを24年度分から撤廃する。現在は勤続20年の社員が自己都合で退職すると、退職金が約3割減るケースもあった。終身雇用や年功序列を前提としない人事制度に切り替えることで柔軟な働き方を認め、多様な人材を確保する。

日本経済新聞社が22年にまとめた「スマートワーク経営調査」によると、ジョブ型雇用を導入済みか22年までに導入するとした企業は108社あった。将来の導入予定を含めると187社と23%にのぼり、日本でもジョブ型の導入が広がる。

特にシステムエンジニアやデータサイエンティストなどは金融・非金融の枠を超えて人材の取り合いになっており、年功的な色彩を薄めて今の能力を評価する人事制度にしなければ、優秀な人材を確保できなくなっている。七十七銀行が3月からジョブ型の要素を取り入れたロール型に近い人事制度を導入したばかりだ。

若者の仕事への意識も変わっている。転職や副業でキャリアを積むことが珍しくなくなり、メガバンクでも離職者は増加傾向にある。若いというだけで職務内容に関係なく給与が抑えられることを不合理に感じる若手は多い。

みずほFGは役割給の導入で仕事に見合った給与を徹底し、働くことの納得感の向上を目指す。

(前田尚歩)

(日本経済新聞)

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