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みずほ社長に木原氏 平成入行組に改革託す 社外取締役が激論 「旧路線」退ける 2022/01/12

みずほフィナンシャルグループ(FG)は4月1日付での辞任を表明した坂井辰史社長の後任に木原正裕執行役(56)を起用する人事を固めた。社外取締役で構成する指名委員会が議論の結果として改革を託したのは、3メガ銀行で初めての平成入行組となる新世代だ。システム障害の防止に加え「言われたことだけしかしない」と金融当局に指摘された社内風土の2つの改革が同時に求められる。

「坂井体制とは別の形で構造改革を維持しながら新しい体制を引っ張っていける人材」。みずほFGの指名委員会はこのような目標を掲げて昨年末から坂井社長の後任の議論を進めてきた。

木原氏は岸田文雄政権で官房副長官を務める木原誠二氏の実の兄で、1989年に日本興業銀行(現みずほFG)に入った。みずほは持ち株会社であるFGの坂井社長、佐藤康博会長がそろって退き、みずほ銀行の藤原弘治頭取も辞任する。トップの総退陣と若返りで組織全体の新陳代謝を早める。

みずほは1月17日までに再発防止策を盛り込んだ改善計画を金融庁に提出する。再発防止に向けたけん引力が問われるなか、木原氏は若手や中堅クラスを中心に社内での人望が厚く「リーダーシップがある」などと慕う声がある。

木原氏は若手時代には米国でのロースクール留学を経験し、その後は証券の企画部門などを務めた。投資銀行業務や経営企画、財務、リスク管理と幅広い経歴を持ち「経営トップとしてバランスがよいと判断したのではないか」(みずほ幹部)との見方がある。

みずほは2021年に9度のシステム障害を起こした。ダメ押しになったのが、9月のシステム障害時に外為法が定めるマネーロンダリング(資金洗浄)対策のための手続きを省き、同法違反を問われたことだ。

「本質的にすべて経営の問題だ。私がけじめをつけるべく辞任することが、みずほにとって一番いいと判断した」。21年11月26日、金融庁が業務改善命令を出し、財務省が外為法に基づく是正措置命令を出した日に坂井社長は辞任を表明した。

1カ月強の急ピッチでの選考となり社外取締役の間で人選に関する意見は割れた。

現体制での取締役など「路線継承」を重視した候補と、平成入行の「新世代」を代表する候補数人に絞られてからもギリギリまでまとまらなかった。

「(坂井社長の)路線継承なら安全だ」との主張があった一方で「辞任する坂井社長色は徹底的になくした方がいい」との声も強かった。

最終的には「言うべきことを言わない。言われたことだけしかしない」など金融庁から厳しく指摘された多くの課題の解決には「平成入行」を掲げて刷新すべきだという結論に至った。

第一勧業、富士、日本興業という旧3行のバランスも論点になった。佐藤氏、坂井氏に続いて木原氏を選べば、3代続けて興銀出身者がグループ総帥であるFG社長に就くことになる。坂井氏の後任には第一勧銀や富士銀出身者を起用すべきだとの見方もあった。

それでも木原氏を選んだのは人材本位を貫いたうえで平成入行まで若返りが進めば、旧行対立は薄れるとの判断もあったとみられる。

とはいえ失った顧客の信頼回復や社員の士気向上は容易ではない。11日には午前8時から3時間半程度、法人向けインターネットバンキングにつながりにくくなるシステム障害が起きた。障害の原因は不明としている。

佐藤会長の後任は未定で当面空席の可能性も残っている。木原新体制が推進力を得られるかどうかは、トップを支える幹部の布陣も重要なカギを握ることになる。

木原 正裕氏(きはら・まさひろ) 89年(平元年)一橋大法卒、日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。みずほ証券財務企画部長、常務執行役員などを経て、21年みずほFG執行役、グローバルプロダクツユニット長。

(日本経済新聞)

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