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アップルが初のゴーグル型端末 複合現実、主戦場に 150兆円経済圏拡張へ 「空間コンピュータ」次の柱 2023/06/07

【シリコンバレー=中藤玲】米アップルは5日、同社初のゴーグル型端末「Vision Pro(ビジョンプロ)」を発表した。装着すると現実空間にスクリーンが重なる複合現実(MR)を実現し、ビジネスの場面でも応用できる。コンピューティングの世界をモバイルから「スペイシャル(空間)」に革新し、スマートフォン「iPhone」で築いた1.1兆ドル(約150兆円)の経済圏の拡大を狙う。

アップルが開発した新端末「Vision Pro(ビジョンプロ)」の装着イメージ=同社の発表映像から、共同
「全く新しい体験ができる製品だ」。5日の年次開発者会議「WWDC」。ティム・クック最高経営責任者(CEO)が故スティーブ・ジョブズ氏の決めぜりふ「ワン・モア・シング(まだあるよ)」と共に説明すると会場は歓声に包まれた。

ビジョンプロは12個のカメラや5つのセンサー、6つのマイクを搭載し、独自開発の半導体「R1」が情報を処理してコンテンツを遅延なく表示する。コントローラーはいらず、目や手の動き、声だけで操作できる。

クック氏は「(パソコンの)Macがパーソナルコンピューティング、iPhoneがモバイルコンピューティングを生んだように、ビジョンプロで空間コンピューティングを開く」と述べた。

米IT(情報技術)大手の競争の主戦場は「XR(クロスリアリティー)」に移りつつある。XRには映像に没入させる仮想現実(VR)、現実風景にCG(コンピューターグラフィックス)を重ねる拡張現実(AR)、さらに両方を融合させたMRがある。

XRの用途は娯楽にとどまらず、産業用途にも広がっている。装着すると現実の机の上に相手が映る画面が現れ、遠隔会議をしながら、3Dの設計図などの資料を共有することができる。キヤノンは半導体製造装置の技術者育成に自社のMR端末を活用している。

クック氏は、米メタが注力するメタバース(仮想世界)やVRといった言葉は使わずに、「ビジョンプロは全く新しいARプラットフォームだ」と強調した。

あるメーカー関係者はアップルの端末について「仮想空間上にパソコン画面が映せる点はARだが、手で操作できるのはMR、背景を変えて没入できる点はVRの要素も含む。ARの概念を大きく広げてきた」と話す。

クック氏は当初、ゴーグル端末に懐疑的だったが、ARゲーム「ポケモンGO」のヒット前後からは一貫して「ARはコミュニケーションを変える」と主張。現実世界に軸足を置くコンセプトの下、ゴーグル装着中に人が近づくと、自分の目を外から見えるように端末に映す機能を搭載するなどのこだわりもみせた。

もっともゴーグル型端末が普及するかはなお不透明だ。XRは長らく「スマホの次」といわれながらも、市場は立ち上がっていない。米調査会社IDCによると、22年の世界販売台数は約880万台と21年比で21%減少し、シェア首位のメタも販売は苦戦が続く。

24年から順次売り出すアップルのビジョンプロの価格は3499ドル(約49万円)と高い。メタが23年秋に投入する「クエスト3」(7万4800円)、ソニーグループの「PSVR2」(7万4980円)の6倍以上だ。米ウェドブッシュ証券はビジョンプロの初年度の販売は約15万台にとどまると予測した。

5日朝の米株式市場でアップル株は一時前週末比2%高の184ドル超となり、上場来高値を更新したが、発表を受けて株価は下落。終値は1%安の179ドルだった。価格の高さや外付けの電池がネックで市場もアップルの新端末に懐疑的だ。

日系電子部品大手の幹部が「ハードだけではなく、ソフトも重要。ふたを開けてみないと実際に売れるかは分からない」と言うように、ゴーグル型端末の販売のカギを握るのはコンテンツだ。

VRやARはゲームや業務用が中心で、端末普及のハードルとなっていた。アップルは新端末専用の基本ソフト(OS)「visionOS」をつくり、5日から世界で3600万以上の登録開発業者がアプリ作成に動き出す。ある日本のARアプリの開発者は「アートなどの創作も広がりそうだ」とみる。

「iPhoneも最初の反応はひどいものだった」。日本の携帯通信大手の幹部は、07年の発表当時をこう振り返る。アップルの強気な販売目標に対して疑問の声もあったという。だが、第2世代機種でアプリ配信サービス「アップストア」を搭載してコンテンツが拡大したことを機に看板商品となり、足元では3兆ドルに迫る時価総額の原動力となっている。

(日本経済新聞)

アップル、革新的製品で成長 初のゴーグル型端末、07年「iPhone」大ヒット 2023/06/07

米アップルはこれまで、人々の生活を変えるような革新的な製品を生み出し、成長してきた。2007年に発売したスマートフォン「iPhone」は推計24億台近く出荷され、アプリを通じた経済圏は年156兆円に上る。5日に発表されたゴーグル型端末「ビジョンプロ」はその系譜を継げるのか。

1984年1月、アップルの株主総会で創業者のスティーブ・ジョブズ氏は初代「マッキントッシュ(マック)」を披露した。コンパクトでシンプルなデザインは、アップルの源流といえる。

2001年発売の携帯音楽プレーヤー「iPod」は、音楽の聴き方を劇的に変えた。パソコンから音楽データをダウンロードして持ち運べ、CD、MDといった従来の記録媒体は主役の座を追われた。

iPhoneは最も影響力が大きかったアップル製品といえる。タッチ操作できる使い勝手の良さとデザイン性、アプリやカメラを中心にした機能性で世界でスマホの普及を先導した。アプリを通じたモノやサービスの取引が拡大し、経済圏は年1兆ドル以上に育った。

11年、アップルに大きな転機が訪れる。カリスマ的存在だったジョブズ氏が死去し、現CEOのティム・クック氏にバトンが引き継がれた。

クック氏は14年にスマートウオッチ「アップルウオッチ」を発表したが、ジョブズ氏に比べて「革新的な製品が少ない」と批判されることも多い。だが、直近の時価総額は就任時のおよそ8倍の2兆8000億ドル。世界一の座を維持している。

(日本経済新聞)

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