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アーム米上場、初日25%高 時価総額9.6兆円 AI需要拡大に期待 2023/09/15

【ニューヨーク=竹内弘文】ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計アームは14日、米証券取引所ナスダックに新規上場し、63.59ドルで初日の取引を終えた。売り出し価格51ドルを25%上回った。時価総額は652億ドル(約9兆6100億円)となった。人工知能(AI)関連の需要拡大に対する期待が買いを誘った。

アームは14日、米証券取引所ナスダックに上場した=ロイター
米東部時間14日正午(日本時間15日午前1時)すぎに付けた初値は56.10ドルで、売り出し価格を1割上回った。その後も初値を上回る水準で推移し、取引終了間際には一時、売り出し価格比3割弱高い66.28ドルを付けた。

上場にあたりSBGはアーム株の約10%を売り出したが、上場前の機関投資家からの申し込みは売り出し株式数の10倍を超えていた。「投資家の劇的な需要の強さを裏付けた」とLPLファイナンシャルのチーフ・グローバル・ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は語る。

AI普及に伴う需要拡大が背景にある。アームのレネ・ハース最高経営責任者(CEO)は機関投資家向けロードショーで、米エヌビディアのAI向け半導体「グレース・ホッパー」にアームが設計したCPU(中央演算処理装置)が使われていることを引き合いに出し、成長持続のストーリーを投資家に訴えた。

SBGの孫正義会長兼社長は14日放映となった米CNBCのインタビューで「AIが人類よりも賢くなりつつある」と述べ、同氏が掲げる「AI革命」の恩恵を大いに受けるのがアームだとも指摘した。14日に取材に応じたSBGの後藤芳光・最高財務責任者(CFO)も「AI革命のリーディングポジション(先導役)」をアームに期待すると語った。

(日本経済新聞)

アーム7兆円上場 孫氏のAI戦略、テック10社の出資吸引 

ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計大手アームは5日、米ナスダック市場への上場に向けて詳細を公表した。SBGが売り出す株式は最大約10%にとどめる。米アップルやエヌビディアなど半導体やテック関連の10社が少額出資する。SBGは主要企業を巻き込みながら人工知能(AI)の新たな戦略を描く。

米証券取引委員会(SEC)への開示によると、売り出し価格は1株あたり47〜51ドル(約6900〜7500円)を仮条件とした。想定される時価総額は最大520億ドル(約7.7兆円)で、2023年で最大の新規株式公開(IPO)となる。

アーム株は従来、SBGが75%、傘下で世界のAI関連企業に投資するソフトバンク・ビジョン・ファンドが25%保有していた。SBGは正式な上場申請の直前にアーム全体の評価額を640億ドルとしてビジョン・ファンドの保有分を買い取った。上場後はソフトバンクGがアームの米国預託株式を90%前後保有する。

アームの上場時の時価総額は当初、600億ドルを超える水準で検討を進めていた。今回、やや低めの仮条件を示したが、実際の上場時にはレンジを上回る水準を狙っている。今後、投資家の需要を本格的に調査して公開価格を決める。

SECへの開示資料では、上場と同時にアップルやエヌビディア、米グーグル、インテル、韓国サムスン電子、半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)も少額出資を検討していることが明らかになった。最大7億3500万ドルを出資する可能性がある。

半導体の製造や需要家まで幅広い企業が興味を示した。半導体の設計を自動化するソフトを手がける米シノプシスや米ケイデンス・デザイン・システムズも出資を検討している。先端半導体の開発支援で主導権を狙う。

SBGの孫正義会長兼社長はアームをAI戦略の中核に据えている。アームを上場させても、できるだけ持ち分を維持したい意向があった。毎回登壇していた決算会見は22年11月を最後にするとして「今後数年はアームの爆発的な成長に没頭する」と述べていた。

今回、アップルなどの投資を呼び込んだのも孫氏の戦略とみられる。米系証券のテクノロジーバンカーは「孫氏は設計から製造まで半導体産業の主要プレーヤーを丸ごと引き込み、連携を強める狙いでは」と話す。

アームはSBG傘下となった16年以来、7年ぶりの上場となる。当時はロンドン証券取引所に上場していたが、今回は米ナスダックに決めた。

アームは近年、自動運転など車載向けや住居・工場の自動化機器、データセンター関連などに半導体開発の対象を広げてきた。アームは社員の半分以上をエンジニアが占めており、上場を機に人材獲得を強化する。

上場申請時の資料では22年に同社の技術を搭載した半導体の総額は約989億ドルだったとの推計を示した。市場シェアは20年の約42.3%から48.9%に高まったという。

アーム上場は米国IPOの復調を象徴する。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げにより米国のIPOは1年半以上、低調だった。食品宅配サービス「インスタカート」運営会社、米メープルベアなどもナスダックに上場申請し、9月中の上場が見込まれている。

久々の半導体銘柄の大型上場に株式市場の関心は高い。米国の金融引き締めや世界景気の減速懸念といった逆風下にあっても、AI関連の需要急拡大が見込める半導体関連の銘柄は株式相場全体をけん引してきたためだ。

筆頭は時価総額が昨年末比3倍以上に膨らみ、1兆ドルの大台に乗せたエヌビディアだ。同社の株価は1株利益(直近1年間、QUICK・ファクトセット集計の市場予想平均)の117倍に相当し、今後の急成長を市場が織り込んでいることを示す。

アームの開示資料によると同社の23年3月期通期の1株利益は0.51ドル。仮条件の上限51ドルはこの100倍に相当する水準だ。期間が異なるため単純比較しにくいが、エヌビディアに迫る高いバリュエーション(投資尺度)には割高感もにじむ。投資家の需要調査では、成長シナリオをいかに説得力あるかたちで示せるかが焦点となる。

(ロンドン=山下晃、シリコンバレー=渡辺直樹、ニューヨーク=竹内弘文)

(日本経済新聞)

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