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オリンパス、米ベインに4276億円で科学事業売却 医療に集中 2022/08/30

オリンパスが100年を超える祖業と別れを告げる。29日、工業用顕微鏡などを手がける科学事業を米ベインキャピタルに4276億円で売却すると発表した。同日開催した取締役会で決議した。売却で得た資金をテコに、主力の消化器内視鏡をはじめとした医療機器分野に経営資源を集中する。

29日に株式の売却契約を結んだ。2023年1月に譲渡する予定。科学事業の22年3月期の売上高は1191億円で、全体の1割強を占めていた。売上高営業利益率は15%で、主力の内視鏡事業の29%と比べて大きく見劣りしている。科学事業を売却し、収益性の高い医療分野に特化する。

オリンパスの前身にあたる高千穂製作所は、顕微鏡を祖業として1919年に設立した。当時、日本には顕微鏡を安定的に製造できるノウハウがなく、技術は欧州から持ち込まれた。オリンパスは試行錯誤しながら顕微鏡のレンズ技術を磨き技師に伝承してきた。

この技術を基に発展したのが同社の光学技術で、消化器内視鏡事業やデジタルカメラを手掛ける映像事業へと花開いていった。

だが、2011年に発覚した不正会計の「オリンパス事件」で経営難に陥った。折しもスマートフォンが台頭し始め、当時好調だったデジタルカメラ事業を侵食し始めていた。その後10年を掛けて構造改革に取り組むことになった。

21年1月、オリンパスはデジタルカメラなどを手掛ける映像事業を売却。同年には科学事業の分社化に向けた検討を始めると発表した。竹内康雄社長は科学事業の売却について「顕微鏡の技術は有望だが、オリンパスが継続して成長投資できる体力はない」と述べていた。

今後、焦点となるのが科学事業の売却で得た資金の使い道だ。

主力の内視鏡事業は同社の収益をけん引している。23年3月期の連結営業利益の約75%を稼ぐ見通しで、営業キャッシュフローを過去最大の約2000億円に引き上げる見込みだ。本業で稼いだキャッシュと事業売却で得た資金を医療機器関連のM&A(合併・買収)などに投じるとみられる。

内視鏡に取り付ける治療機器や、人工知能(AI)を使った診断支援、予防医療など、買収候補となる企業の幅は広い。祖業との決別を新たな成長へのステップにできるかが問われている。

(日本経済新聞)

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