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クラウド「業界特化型」激戦 アマゾン、金融・車向け投入  顧客の使いやすさ前面 2021/12/05

自動車業界向けサービスについて説明するセリプスキー氏(11月30日、米ラスベガス)

企業向けクラウドコンピューティングサービスの分野で、特定の業界に特化した製品が激戦区になってきた。最大手の米アマゾン・ドット・コムは金融や自動車といった業界向けの製品を相次ぎ投入する。クラウドの競争激化を背景に大手が個別業界への対応を強めており、IT(情報技術)業界における役割分担の見直しにつながる可能性がある。

「長年にわたって注力してきた基盤となるサービスの開発に加え、業界特化型のサービスへの需要が高まっていることに対応する」。アマゾンのクラウド事業会社、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のアダム・セリプスキー最高経営責任者(CEO)は11月30日の記者会見で強調した。

AWSは従来、高性能なサーバーやデータベースなどを割安な価格で使えることを前面に押し出していた。業界や企業ごとの対応は「システムインテグレーター」などと呼ぶIT企業が担うことが多かったが、12月3日まで米ラスベガスで開いた年次顧客・開発者会議では業界特化型の説明に費やす時間を増やした。

米ゴールドマン・サックスと組み機関投資家を対象としたデータ管理・分析サービスを始めたほか、自動車業界向けにはコネクテッドカーから情報を収集して自動運転ソフトの精度向上や故障の予知などに活用できるようにする製品を追加する。製造業が仮想空間で現実の世界を再現する「デジタルツイン」を構築しやすくする製品も開発した。

背景にあるのはクラウドをめぐる競争の激化だ。米シナジー・リサーチ・グループによると、2021年7~9月期のインフラを主体とするクラウドの世界市場は前年同期比37%増の454億ドル(約5兆1000億円)まで拡大した。先行したAWSは首位を守っているが、米マイクロソフトや米グーグルが追い上げて差を縮めている。

両社はAWSとの違いを出すために、業界特化型に力を入れた。マイクロソフトは音声認識技術の米ニュアンス・コミュニケーションズを197億ドルで買収することを決め、同社が強い医療分野へのクラウド提供を強化する。グーグルも得意とする音声認識技術を使ったコールセンター向け製品などを拡充し、小売業などの開拓につなげた。

AWSは企業が老朽化した情報システムからクラウドに移行するのを支援するサービスも拡充。例えば対応技術者の減少が社会的な課題になっている「COBOL(コボル)」で開発したプログラムを、クラウドで使えるように自動変換する製品を加える。プログラミングの知識が乏しくても機械学習を活用できるようにするサービスも発表した。

AWSが基盤となる技術に加えて業界特化型にも注力することにより、技術力や資金力が高い米大手がIT業界をけん引する傾向が一段と強まる。マイクロソフト、グーグルを加えた「3強」のクラウドの世界シェアは7~9月期に63%に達し、3年前より約10ポイント上昇した。巨大IT企業の独占・寡占への批判が高まるなか、新たな火種になる可能性がある。

(日本経済新聞)

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