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【シリコンバレー=奥平和行】
米グーグルは10日、文章や画像を自動で作る生成人工知能(AI)を日本語を含む40超の言語で提供すると発表した。電子メールサービスのGメールなどとの連携も強める。この分野では米新興企業のオープンAIが先行したが、長年にわたって研究開発を進めてきたグーグルが本腰を入れることで普及が加速しそうだ。
グーグルは画面を折り畳めるスマホも発表した(10日、米カリフォルニア州)=AP
同日に米シリコンバレーの本社地区で開いた年次開発者会議「グーグルI/O」でスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)らが発表した。ピチャイ氏は「当社は長年にわたってAIを使ってサービスの利便性を高めてきたが、生成AIで新たな段階に入る」と話した。
生成AIは米マイクロソフトと提携するオープンAIが2022年にChat(チャット)GPTの提供を始め、注目を浴びた経緯がある。グーグルも対抗サービス「Bard(バード)」を開発し、3月に米国と英国で英語版の一般提供を始めると説明していた。
開発者会議では英語版の提供地域を180カ国・地域に広げると発表し、さらに40を超す言語に対応させると説明した。第1弾として日本語と韓国語で10日に提供を始め、利用者がグーグルの専用サイトを通じて使えるようにした。
基盤となる大規模言語モデルを改良し、「PaLM 2」として利用を始めたことも説明した。PaLM 2はバードに加え、検索をはじめとする既存サービスに組み込むことを検討する。検索結果に要約文を加えるなどして使いやすくする試験を近く米国で始める。こうした使い方はマイクロソフトが先行した。
生成AIも様々なインターネットサービスと組み合わせた使い方が広がっており、取り組みを加速する。Gメールに加えて文書作成サービスのドックスなど自社のサービスにバードを対応させ、電子メールの下書きなどに使えるようにする方針を示した。外部企業とも連携する考えで、米アドビなどと組む。
オープンAIは対応する言語数を公表していないが、高い精度を発揮するのは30弱の言語と説明している。ネットサービスとの連携では同社に投資するマイクロソフトが検索サービスの「Bing(ビング)」などに組み込んでいるほか、米セールスフォースのビジネスチャットソフト、スラックなどが取り入れた実績がある。
自社ブランドで展開しているスマートフォンなどの品ぞろえを拡充することもあわせて発表した。
画面を折り畳むことができるスマホ「Pixel Fold(ピクセルフォールド)」(日本における価格は25万3000円)を6月以降に米国などで販売する。日本ではグーグルの販売サイトに加え、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社が7月中旬に発売する。
(日本経済新聞)