金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    Jeff Bezos, president and CEO of Amazon

  • pic

    Former CEO of General Electric, Jack Welch

企業経営最新情報

Latest information on corporate management

コロナ禍、長期失業64万人 リーマン危機以来の上昇 2022/03/15

新型コロナウイルス禍による労働市場への打撃があらわになり始めた。日本で1年以上失業状態にある人は2021年10~12月期で流行前に比べ31%増の64万人と、リーマン危機以来の増加が続く。人手不足が賃上げを呼び、さらなる物価上昇につながる米国とは対照的に、日本では長期離脱後の就労復帰が難しく、賃金が物価を押し上げる力も弱い。

総務省の労働力調査で、失業期間が1年以上の人を長期失業者とした。日本ではリーマン・ショック後の10年をピークに減少に転じ、18年7~9月期は48万人と1997年以来の低い水準だった。

コロナの流行で経済情勢が悪化し、長期失業は21年4~6月期は72万人まで膨れ上がった。コロナ前の19年同期に比べ1.5倍の水準で、21年10~12月期まで前年同期比で5四半期連続2ケタ増だ。総務省は「コロナ禍で経済活動が低迷した20年の影響が、1年経過して長期失業者の増加に表れている可能性がある」と説明する。

19年12月に2.2%だった完全失業率はコロナ禍で上昇し20年10月に3.1%まで高まった。経済活動の持ち直しで直近22年1月は2.8%まで低下したものの、経済構造の変化や特定産業への強い打撃で失業者が労働市場に滞留し始めている。

失業者予備軍も増えている可能性がある。厚生労働省は、国が休業手当を助成する雇用調整助成金などの対策は失業率を2.6ポイント押し下げる効果があったと分析する。失業を増やさない効果の半面、休業者を企業内に抱え込ませる側面もあった。

労働力調査によると、仕事を持ちながらも手当てなどをもらい仕事をしなかった休業者は21年に211万人と、コロナ前の19年に比べて33万人増えていた。転職を希望する人は19年比で46万人増の846万人に増えたものの、21年の転職者は288万人と19年に比べ63万人減った。仕事のない人を抱え込む企業が生まれ、転職ニーズを企業部門が十分受け止められていない。

こうした事情に加え、労働市場が米国よりも硬直的な日本では一度職場を離れた人の職探しが難航している。21年の長期失業者のうち、自己都合による離職者はコロナ前比1.2倍に、勤め先都合など非自発的な離職者は1.8倍に膨らんだ。

京都橘大学の石水喜夫教授は「新型コロナで産業構造が変化する中、次の仕事へのマッチングが非常に難しい離職者が出ている」と分析。「政府も対策を拡充していかねばならない」と語る。

ユーロ圏も日本と状況が似る。21年7~9月期は526万人と、19年同期比で4%増と日本に比べ伸びは小さい。しかし失業者に占める長期失業の割合は42%と日本(36%)より高い。

米国は様相が異なる。52週以上失業が続く人はコロナ流行1年後から急増し21年6月にコロナ前比3.7倍と爆発的に拡大した後、縮小に転じた。経済回復が順調に進んだことや柔軟な労働市場が追い風になった。好待遇を求めて自発的に離職する人が相次ぐ米国の現状を「大離職時代」と指摘する専門家もいる。

一方で深刻なのは非労働力人口の拡大だ。

人口に占める労働市場の参加者を示す労働力率をみると、コロナ前に比べて足元で欧州は横ばい、日本は0.1ポイント低下だったのに対し、米国は22年2月時点で1.1ポイント低下と大きく悪化した。米国では労働力人口はコロナ前比59万人減少し、非労働力人口は429万人増加した。自発的離職と人手不足の相乗効果で、賃金上昇がさらなるインフレを招く。

日米ともに長期失業者や非労働力人口の拡大は所得の低下を通じコロナ後の消費を冷え込ませる。労働需要を回復させる持続的な経済成長が欠かせない。

(マクロ経済エディター 松尾洋平)

(日本経済新聞)

menu