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ゴールドマン、不振突出 脱・投資銀依存で誤算 純利益58%減、個人部門で損失拡大 「最強」の面影かすむ 2023/07/21

【ニューヨーク=斉藤雄太】米金融大手ゴールドマン・サックスが収益立て直しでもがいている。2023年4~6月期は純利益の落ち込みが米金融大手6社で突出して大きかった。主力の投資銀行と市場取引の不振に加え、縮小路線に転じたリテール(個人向け)事業の撤退費用がかさんだためだ。「ウォール街最強」の面影はかすんでいる。

19日にゴールドマンが発表した23年4~6月期決算は純利益が12億㌦(約1680億円)と前年同期比58%減った。減益は7四半期連続だ。

米金融大手の純利益を比べるとゴールドマンの苦境が際立つ。商業銀行主体のJPモルガン・チェースは67%の増益で過去最高益を記録した。シティグループとモルガン・スタンレーは減益だったが落ち込みはゴールドマンの方が大きい。

ゴールドマンは収益の7割を投資銀と市場取引の部門で稼ぐ。M&A(合併・買収)助言の手数料収入が46%減るなど投資銀ビジネスが振るわず、債券・為替などトレーディングも低調だった。

低金利とカネ余りを背景に活発だった企業の市場を通じた資金調達やM&Aは、22年春の米連邦準備理事会(FRB)の利上げ開始を契機に下火になり、投資銀ビジネスは「冬の時代」を迎えた。足元の回復度合いはばらつきがあるが、収益の押し上げ役として期待できない事情は同じだ。

それでもJPモルガンやバンク・オブ・アメリカが増益を確保できたのは貸出金利の上昇で純金利収入が伸びているためだ。モルガン・スタンレーは買収などを通じ強化してきた富裕層向けの資産運用ビジネスが好調で業績全体を下支えした。

ゴールドマンも市況変動に左右されにくい収益構造への転換をめざし、数年前からリテール事業を強化してきた。ただ採算確保に苦戦し、昨秋以降に縮小路線に転じた。戦略転換に伴うコストが業績悪化に追い打ちをかけている。

4~6月期は住宅修繕向けオンライン融資を手がけるグリーンスカイの売却手続きで約5億㌦の減損処理を実施した。22億㌦規模の株式交換で22年3月に買収を完了したばかりだが「損切り」した。関連損失は今後も発生する可能性がある。

米メディアは6月末、ゴールドマンが米アップルの顧客向けに提供するクレジットカードや預金などの金融サービス事業をカード大手アメリカン・エキスプレスに譲渡する方向で交渉中と伝えた。

ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は19日の決算説明会で、こうした提携事業は「長期的なパートナーシップだ」と指摘したが、アップルとの事業もコスト先行との見方がある。リテール事業は一段の縮小を探る。

ゴールドマンは投資銀と市場取引に次ぐ柱として、資産運用と富裕層向け部門を育てる考えだが4~6月期の収益は4%減った。米国内の不動産市況が悪化するなか、オフィスなど商業用不動産への投資に関連した損失が生じたためだ。資産運用では自己資金を使った投資を減らし、顧客に投資先を紹介して手数料を得る事業モデルへの移行を進めるが道半ばだ。

苦境を映し、株価はJPモルガンやモルガン・スタンレーといったライバルに劣後している。時価総額もモルガン・スタンレーのほうが400億㌦(約4割)ほど大きい。ゴールドマンの4~6月期の自己資本利益率(ROE、年率換算)は4.0%と、瞬間風速ながら14~16%とする中期目標を大幅に下回った。

ソロモン氏は決算説明会で、投資銀の需要回復の芽が出てきたことや構造改革の進展などを踏まえ「リターン目標は達成できる」と強調した。その言葉を市場が信じるためには収益力の回復と安定という目に見える結果を示す必要がありそうだ。

(日本経済新聞)

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