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ゴールドマン、日本で企業向け資金管理 預金受け入れも 2023/04/12

ゴールドマンは数年以内に日本企業100社から銀行業務の契約を獲得したい考えだ=ロイター

米金融大手ゴールドマン・サックスは日本で銀行業に本格参入する。資金管理や送金など企業向けサービスに特化し、企業が原則24時間365日、国内外への顧客への送金や請求書の支払いをできるようにする。M&A(合併・買収)の助言などで関係の深い大手企業に提案し、数年以内に100社との契約を目指す。世界経済の減速で投資銀行業務への逆風が強まるなか、市況に左右されない安定的な収益基盤の確立を急ぐ。

ゴールドマンは2021年に日本で銀行免許を取得し、海外でのドル決済などを提供してきた。このほどクラウドを活用したシステム構築を終え、近く決済性預金の受け入れに加えて、国内送金や円の為替取引など企業の資金管理を一元的に受託する「トランザクションバンキング」業務を始める。ゴールドマンがアジアでこうした業務を立ち上げるのは日本が初となる。

スマートフォンで簡単に操作できるようにして、企業の担当者が場所を問わずにシステムを利用できるようにしたことが特徴だ。従来銀行が実施していたデータを大規模に一括処理する「バッチ処理」もせず、常にお金のやりとりを更新するため、原則24時間365日、国内外への送金や着金が可能になる。

主要な顧客として、国境をまたいで取引をする商社やメーカー、エネルギー企業などを想定している。海外の子会社・関連会社の資金のやりとりのほか、顧客への送金、請求書の支払いといった取引を迅速にできる利点を売り込む。

現状、法人顧客の財務管理や海外送金は、米シティグループや米JPモルガンといった外資系銀行やメガバンクがシェアを固めている。ゴールドマンは企業と太いパイプを持つ投資銀行部門の社員が銀行業務を兼務するかたちで営業を支援し、早期にシェアを高めていきたい考えだ。

大手商社や海外に投資するIT(情報技術)企業などからすでに引き合いがあるという。日本法人のゴールドマン・サックス証券の持田昌典社長は「今後数年以内に100社との契約を目指す」と話す。消費者向け金融事業については世界的に見直しを検討しており、日本でも個人向け銀行業務に参入する計画はない。

ゴールドマンが日本で銀行業務を強化するのは、主力の投資銀行業務やトレーディング業務の収益が市況の影響を受けやすいことが背景にある。ゴールドマンの21年12月期の投資銀行収益は前の期比58%増えた一方、22年12月期は48%減少した。世界経済の減速懸念が強まる中で、投資家は収益の変動性の高さを懸念しており、予想PER(株価収益率)は9倍台にとどまる。

対照的に富裕層向けの資産管理業務に注力してきた競合の米モルガン・スタンレーの予想PERは12倍台で、安定した収益基盤を持つ金融機関への評価が高まっている。ゴールドマンは欧米に続き、日本でも法人向け銀行業務に本格参入することで、収益の安定性を高め、投資家からの評価を高めたい考えだ。調査会社グランドビューリサーチによると、トランザクションバンキングの市場規模は20年時点で1兆9100億ドル(約250兆円)で、28年まで年5.6%の成長が見込まれている。

トランザクションバンキング業務を通じた決済性預金の獲得は、主力の投資銀行業務の資金調達にも寄与するとみている。先行する米国や英国、欧州連合(EU)ではすでに400社の顧客を獲得し、集めた預金は650億ドルを超える。

ゴールドマンの資金調達源に占める預金の割合は22年12月期に40%と、前の期から4ポイント上昇した。一方、債券発行などによる無担保借り入れの割合は22年には32%まで低下している。米利上げで市場からの資金調達コストは増しており、財務の安定性向上につなげる狙いもある。

(三島大地)

(日本経済新聞)

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