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ゴールドマン、脱・投資銀依存へ 3部門に組織再編 運用強化、収益安定図る 2022/10/19

【ニューヨーク=斉藤雄太】米金融大手ゴールドマン・サックスは18日、大規模な組織再編を実施すると発表した。主力の投資銀行と市場運用の業務を1つの部門に統合するなど3部門に集約し、富裕層向けなど収益の安定したビジネスを強化する。厳しい収益環境の継続を見据え、長年の課題だった景気・市況に左右されやすい事業モデルからの脱却をめざす。

これまでは(1)投資銀行(2)市場運用(3)資産運用(4)消費者・富裕層向け――の業務が柱だった。このうち投資銀と市場運用を「グローバルバンキング&マーケッツ」部門、資産運用と消費者・富裕層向けを「アセット&ウェルスマネジメント」部門として統合。資金管理や決済サービスを提供するトランザクションバンキングなど法人や機関投資家向けにデジタル金融サービスを提供する「プラットフォーム・ソリューションズ」部門に再編する。

ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は声明で「きょう我々は新たな成長局面に入った。事業の再編で顧客により良いサービスを提供できる」と強調した。会社資料では狙いに既存事業の強化に加え、取扱商品・サービスの多様化や事業運営の効率化をあげている。

ゴールドマンは企業の発行する株式・社債を引き受けたり、M&A(合併・買収)の助言をしたりする投資銀ビジネスで業界トップクラスの地位を保ってきた。市場変動を捉えて株や債券などを機動的に売買するトレーディングでも強みを持ち、2021年は純営業収益(事業会社の売上高に相当)の6割以上を投資銀と市場運用が占めた。

ところが22年は米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げや米景気の悪化で企業の資金調達や買収といった活動が冷え込み、18日発表の22年7~9月期決算で投資銀の収益は前年同期比で57%減った。会社全体の純利益も30億6900万ドル(約4500億円)と43%減り、投資銀の不振が足を引っ張る構図が鮮明だ。

今回の組織再編は資産運用と消費者・富裕層向けビジネスを統合して大きな収益源に育て、投資銀・市場依存の事業モデルを変える狙いがある。同業のモルガン・スタンレーはここ数年、資産運用会社やネット証券の買収などを通じて収益の安定をはかってきた。

ゴールドマンもかねて消費者向け金融の強化をめざしてきた。16年にはネット銀行「マーカス」のサービス提供を始めたが苦戦していた。米メディアによると、18年秋にソロモンCEOが就任して以降、大規模な組織変更は3回目になるという。収益構造の転換をめざす同社の苦悩もにじむ。

米大手銀の7~9月期決算では、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカの投資銀手数料も軒並み5割ほど減った。投資銀ビジネスが厳しいのは各行同じだ。

ただJPモルガンやバンカメは急ピッチの金利上昇に伴う預貸利ざやの拡大で、融資などから得られる純金利収入が2~3割台と高い伸びをみせた。純利益の減少率もJPモルガンが17%、バンカメは8%にとどまりゴールドマンより小さい。事業ポートフォリオ分散の重みは増している。

QUICK・ファクトセットによると、ゴールドマンのPBR(株価純資産倍率)は1倍を割り込み、モルガン・スタンレーの約1.4倍やJPモルガンの約1.3倍より低い。こうした株式市場の評価も改革を促した面がある。

(日本経済新聞)

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