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ゴールドマンCEO「危機再来せず」 景気不安も銀行健全 2022/08/10

デービッド・ソロモン ゴールドマン・サックス最高経営責任者(CEO)

このほど来日した米大手投資銀行ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン会長兼最高経営責任者(CEO)が日本経済新聞のインタビューで、不透明感の強まる米景気について「先を見通すのは困難」と慎重な見方を示した。一方で「銀行システムは健全になっている」と語り、米投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻を招いた2008年のような「金融危機は起きない」と語った。

ゴールドマンのエコノミストチームは米国が景気後退に陥る確率を22年が30%、23年は50%と予測している。高インフレの抑制を目的とした米連邦準備理事会(FRB)の急速な引き締めが景気を冷やすとの懸念もある。ソロモン氏は「(米経済の)成長は鈍化するものの(どの程度かを)予測するのは難しい」と明言を避けた。

世界中で投資銀行ビジネスには逆風が吹く。2022年4~6月期の米銀大手の投資銀ビジネスの手数料収入は前年同期比で半減した。ソロモン氏は「我々全員が少し(リスクを取ることに)慎重になる必要がある」と語り、米景気や利上げ動向を踏まえながら顧客のニーズに応じていく考えを示した。

もっとも、高インフレや市場変調が08年のような深刻な金融危機を招くリスクについては否定的な見解を示した。当時は金融機関が過度な負債を抱え、信用不安が増幅した。その後の金融規制で銀行は資本を積み増してきた。ソロモン氏は「銀行システムは安全かつ確固たるものになっている」と指摘。「(新型コロナウイルス禍の)困難な時期にも銀行は流動性を提供し、融資などで顧客を支援した」と実績を強調したうえで、「08年のような金融システムのクラッシュは起きないだろう」などと語った。

一方、米国などでは銀行に課される資本規制の網にかからない投資ファンドによるプライベートデット(企業融資)が増えている。市場には流動性に乏しい融資の膨張が危機の温床になるとの見方が根強い。ソロモン氏は「(プライベートデットを支える)資本の多くはすぐには引き出せない長期資金だ」とし、金融市場全体に波乱を招くことはないとの見方を表明した。

ゴールドマンは21年7月に日本で銀行免許を取得した。22年秋から企業に対するグローバルな資金管理システムを日本でも提供する方針だ。日本は20年の米国、21年の英国に続き、世界で3番目となる。「日本は極めて重要な顧客が多い。円は主要通貨であり世界中の顧客にとっても欠かすことができない」(ソロモン氏)。同サービスを活用するグローバル企業は350社を超え、その預金残高は540億ドル以上に達する。「すでに先行している国で高い評価を得ている」としたうえで、24年までに残高を1000億ドル超に引き上げる計画を示した。

日本国内では年内にも実現が見込まれる東京メトロの新規株式公開(IPO)の主幹事団に加わった。「日本のチームは強く良好な状態にある」とし、「25年を超える月日の中で日本の重要な民営化案件10件のうち9件に関わり、日本政府のために仕事ができることをとても誇りに思う」と話した。

(山下晃)

デービッド・ソロモン氏
ニューヨーク州ハミルトン・カレッジ卒。米ベア・スターンズなどを経て1999年ゴールドマン・サックスに入社。投資銀行部門で実績を積み上げ、17年に最高執行責任者(COO)。18年10月にCEOに就任し、19年から会長を兼務。DJ(ディスクジョッキー)としての腕前はプロ級。60歳

(日本経済新聞)

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