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ゴールドマンCOO、市況悪化見越し人員減 「M&A一層厳しく」 2023/02/11

【ニューヨーク=斉藤雄太】米金融大手ゴールドマン・サックスのジョン・ウォルドロン社長兼最高執行責任者(COO)は日本経済新聞のインタビューで「2023年のM&A(合併・買収)ビジネスは22年より厳しくなる」と語った。米経済や投資銀行事業の先行きに慎重なことから、人員の大幅削減に踏み切ったと明らかにした。市況に振れやすい投資銀中心の事業構造を見直し、日本でも資産運用ビジネスを強化するとした。

ゴールドマンは1月、全社員の6%にあたる3200人規模の人員を削減した。昨秋の数百人規模の削減に続く動きで、2%減の米モルガン・スタンレーなど同業他社よりもリストラの規模は大きくなった。「経済の先行きをかなり慎重にみており、資本市場やM&Aの環境もより厳しくなる兆候がある。そうした心配があるなら経営資源についてよく考え、調整する必要がある」。ウォルドロン氏はこう説明した。

実際、同社が強みを持つ投資銀事業には逆風が強まっている。22年は投資銀業務の手数料収入が前の年から半減した。

ウォルドロン氏は「M&Aは記録的な活況だった21年ほどではなかったものの、それなりに好調だった。だが22年末にかけて減速し、23年1~3月期もその傾向が続いている」と指摘。理由の一つに未公開株(PE)ファンドの資金調達環境の悪化を挙げ、「23年中はPEファンドの取引減が続く」とみる。「企業経営者の自信が低下し、大型M&Aも難しくなる」とも語った。

同社は20~21年に投資銀ビジネスが活況だったとき「毎年実施する人員整理をしてこなかった」という。ゴールドマンの社員数は積極採用もあり、新型コロナウイルスの流行前の19年末から22年末までに1万人以上(3割弱)増えていた。景気刺激的な財政・金融政策の終了や市況悪化などで「我々はより慎重なアプローチを取るようになった」として、過剰になった人員の削減にかじを切った。

投資銀とトレーディングの「二本柱」以外の収益源づくりでも苦闘が続く。16年に始めたネット銀行「マーカス」は期待に届かず、このほど新規融資の停止を決めた。ウォルドロン氏は「消費者向け事業の野心は絞り込んでいる」と話し、安定的な資金調達源となる預金の獲得などにとどめる考えを示した。

商機の大きい地域には中国を挙げた。ゼロコロナ政策の終了について「彼ら(中国当局)が方向転換するときは積極的にそれを実行する」とみる。「経済を大きく成長させようとしている」意欲の表れだと分析した。「短中期的にかなり強気だ」と強調し、22年に3%まで落ち込んだ成長率は「23年に5%以上も期待できる」と語った。

ゴールドマンは中国で投資銀や資産運用業務を展開する。今年に入り「昨年ほとんど手を出せなかった新規株式公開(IPO)に取り組み始めた」という。米中は経済・外交面で摩擦も抱えるが、成長市場として引き続き期待を示した。

日本では、22年12月に日銀が長期金利の一定の上昇を事実上容認し「金利政策正常化の動きが始まった」とみる。金利や為替の変動が大きくなり、値ざやを取りやすくなるため「海外から日本への投資を仲介する機会が増える」と語った。

今後の強化分野では資産運用ビジネスを挙げた。未公開株や不動産など代替資産投資は自己資金を使った運用から、投資家から資金を集めて手数料を得ながら運用する形への移行を進める。「日本の機関投資家から資金を集めるチームを立ち上げ、様々な投資機会を提供している」とも述べた。

John Waldron 米投資銀行ベアー・スターンズを経て2000年ゴールドマン・サックス入社。14~18年に投資銀行部門の共同責任者。18年10月から現職。

(日本経済新聞)

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