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サイバー、映像制作に参入 Netflixなどに作品提供 2022/01/11

サイバーエージェントは制作への参入でコンテンツ力を強化し、配信との両輪で収益拡大を狙う
サイバーエージェントはメディア事業で映像コンテンツ制作に参入する。国内の著名映画会社を買収し、作品を米ネットフリックスなど動画配信大手に供給する。メディア事業はこれまでネットテレビ「ABEMA(アベマ)」による配信ビジネスを展開してきた。制作への参入でコンテンツ力を強化し、配信との両輪で収益拡大を狙う。国内の配信で事実上競合するネトフリなどとの向き合い方が問われることになる。

国内の映画会社バベルレーベル(東京・新宿)にこのほど出資し、子会社とした。出資金額は10億円未満とみられる。バベルレーベルは映画「新聞記者」の藤井道人監督らが所属する映像制作会社。同作品のドラマ版が今月からネットフリックス独占で放送されるほか、民放のテレビドラマやテレビCM制作などを手掛ける。現在は14人のクリエーターが所属する。

サイバーは今後、同社の人員や制作費への投資を拡大する方針だ。具体的な人員計画は明らかにしていないが、著名な映画監督やプロデューサーの獲得を目指す。バベルの山田久人社長など執行体制は変えない。

バベルの制作した映画や映像コンテンツは当面、ネトフリやアマゾン・プライム・ビデオなど外部の配信サービスへ提供する。中長期ではABEMAでの配信も視野に入れるという。サイバー幹部は「ABEMAと同規模の事業に育てられれば」と期待を込める。

サイバーは2016年からABEMA事業を立ち上げたが、自社グループで映像コンテンツを制作するのは初めて。これまでABEMA内で配信された独自コンテンツは外部の制作会社やABEMAに共同出資するテレビ朝日系列の制作会社によるものだった。年300億円程度とみられるコンテンツへの投資などがかさみ、ABEMAは21年9月期まで6期連続で営業赤字だ。

ABEMAは外部が制作した独自番組を配信してきた(昨年配信のドラマ)
ABEMAが開局した16年と比較するとネトフリやプライム・ビデオ、「ディズニー+(プラス)」などが普及する。デジタルコンテンツ協会(東京・千代田)の推計で20年の国内動画配信市場は16年比2倍強の3710億円。25年には5020億円まで成長する見込みだ。ABEMAも利用者数は増えているが「有料会員数と広告収入は市場の成長率ほど伸びていない」(国内証券会社アナリスト)

動画配信サービスの市場拡大で、コンテンツビジネスが急速に脚光を浴びている。サイバーはバベルによる外部へのコンテンツ提供で、新たな収益源をつくる狙いがある。

ABEMAはこれまで10代向けの恋愛リアリティ番組やマージャン、将棋番組などニッチなコンテンツで視聴者を増やしてきた。作品で直接競合することは少なかったもようだが、ネトフリなどは日本国内でもコンテンツや作品の囲い込みに動いている。

藤田晋社長は「コンテンツの調達も難しくなった」と現状を説明する。自前の制作機能を持つことでコンテンツの囲い込み競争に後れをとらない体制を構築する狙いもある。外部への供給を目指し制作能力を強化することは、魅力的な独自番組をABEMAに提供できるようになるとも見込む。

今後、サイバーは取引相手ともなるネトフリなど海外動画配信大手とどう距離感を保つかがカギとなる。藤田社長は「直接競合しないようにしてきた」とするが、ネトフリなど大手のサービスが月額1000円前後で並び、競争は激しさを増している。

21年9月期まで6期連続で営業赤字のメディア事業は、ABEMAを除くとブログサービスやアプリの運営は黒字だ。コンテンツ制作では海外展開にも踏み切る考えで、事業全体をどう黒字化させていくかが課題となってくる。(荒沢涼輔)

(日本経済新聞)

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