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サイバー流、15分ウェブ会議 週1回、議論に集中し即決 「月7時間」他の仕事に 生産性上がっていますか 2022/03/28

新型コロナウイルス下でウェブ会議が増え、会議の生産性が問われるようになった。サイバーエージェントはウェブ会議の時間を2時間から15分に削減。事前に議題や質問を共有し会議は議論に集中する。出社日をそろえ、対面の会議では雑談を重視してアイデアを引き出す。目的に応じた使い分けが質の高い対話につながっている。

「来週テストを終えるので、リリース時期を決めたいです」。アーティストとファンが交流するアプリ「CL」を運営するサイバーエージェントCL事業部は毎週火曜日に開発状況を共有するウェブ会議を開く。参加者は約30人。各自が事前に書き込んだ資料を見ながら会議が進む。資料の説明や雑談をせず議論に集中。議題に上がった約10のプロジェクトについて最短15分で結論を出した。

短縮のカギは事前準備だ。参加者は前日までに開発進捗や相談内容、会議で決めたいことをクラウド上の共通シートに書き込む。決裁をする上司側も事前に資料に目を通して質問や意見を整理し、会議は真剣勝負の場となる。川又章奈プロダクトマネージャー(30)は「会議直前にやっていた資料作りが前日になっただけで負担は変わらない。意思決定スピードが上がり、開発や企画がスムーズになった」と話す。

1年前までは毎回2時間かけていた。各自の進捗報告を聞き、その場で質問や意見をやりとりする。会議で決めることや相談すべき内容が曖昧だった。毎週の長時間会議が負担となり、本来の仕事に集中できない問題から見直しを決めた。

参考にしたのが藤田晋社長らが出席する役員プレゼンだ。スマホゲーム「ウマ娘」がヒットしたサイバーエージェントは新規事業開発が成長をけん引する。社員は自らの事業アイデアを短時間で説明し、役員も膨大な数の新規事業案を評価・決裁する。伊達学事業責任者(42)は「的を絞って議論する習慣が定着しつつある」と話す。

サイバーエージェントは新型コロナの感染拡大を機に社内コミュニケーションの改善を進める。20年6月に各自が自由に出社するのではなく、チーム単位で出社する曜日を決める「リモデイ」制度を導入。テレワークの日は作業に集中し、貴重な出社日は新規事業のタネとなる創造的な議論に充てる。藤田社長は「みんな一斉にリモートと出社をすることで業務効率が上がる」と説明する。

CL事業部は原則水曜が出社推奨日だ。ビジネス職ではアプリの新サービスやキャンペーンなどのアイデアを話し合う。会議時間を1時間取り、無駄話や雑談も許容する。伊達責任者は「話をしたそうな表情の人に話を振るなど対面ならではのコミュニケーションを大事にしている」と話す。

CL事業部はウェブと対面の会議を目的別に使い分け、単純計算で1人当たり月7時間の会議時間を他の仕事に充てられるようになった。20年8月に提供を始めたアプリ「CL」はリアルタイムで字幕を表示する新機能を追加するなど進化し、月間利用者数は1年で1.5倍に伸びた。

会議の無駄を省く一方で、若手にとって先輩に質問する機会が減る懸念もある。そこで活用するのが「1on1」だ。希望に応じて毎日10分程度、上司と1対1で何でも聞ける時間を設ける。疑問や困りごとはその日のうちに解決し、高スピードで回る意思決定サイクルから離脱させない。

「企業の約半数が会議に悩みを抱えている。ウェブに不慣れな重厚長大な大企業ほど苦労している」。企業向けに働き方をコンサルするコクヨのワークスタイルイノベーション部の坂本崇博グループリーダー(43)はこう指摘する。場所を問わずウェブ上で大人数が集まることが増えたが、連絡や報告に終始し、何も決まらなかったという事は少なくない。「会議をしなくて済むデジタルトランスフォーメーション(DX)が必要だ」と話す。

コクヨは顧客企業にクラウド上で協働作業ができるソフトを導入し、進捗報告などの会議の役割をデジタルに置き換える。アイデア出しなど必要な会議では中間管理職向けにウェブ会議ソフトの使い方や会議の進め方を訓練し、質の高い議論ができるようにする。

NTTコミュニケーションズは日常のコミュニケーションの改善から会議削減を目指す。仮想オフィス内で遠隔の同僚や上司と常時接続し、必要に応じて画面を共有して相談する。アプリケーションサービス部の大野智史担当課長(39)は「その場で解決できれば会議は必要ない」と話す。

日立コンサルティングの落合規幸ディレクターは「課長職は1日の6割の時間を会議に費やす」と指摘する。多くの人数が出席する会議の改革ができれば、巨額の設備投資をせずとも生産性向上につながる。

(日本経済新聞)

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