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シンガポールDBSの時価総額、三菱UFJ並みに アジアの銀行の勢力変化映す 2022/11/08

【シンガポール=中野貴司】好調な業績を背景に、東南アジアの大手銀行の時価総額が拡大している。シンガポールのDBSグループ・ホールディングスやインドネシアのバンク・セントラル・アジア(BCA)の米ドル換算の時価総額は、三菱UFJフィナンシャル・グループに並ぶまでになった。投資家の将来の成長期待を織り込む時価総額の地殻変動は、日本を含むアジアの銀行や金融都市の勢力変化を映している。

金融情報会社リフィニティブによるとDBS、BCAの7日の時価総額はそれぞれ634億ドル(約9兆3千億円)、686億ドルとなり、三菱UFJの時価総額(637億ドル)とほぼ同じか上回る水準となった。2022年に入り急速に進んだ円安の影響で三菱UFJのドル換算の時価総額が減ったこともあり、半年前に100億ドル以上あった差が一気に縮んだ。シンガポール大手のオーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)の時価総額も三井住友フィナンシャルグループと同水準だ。

東南アジアの銀行の時価総額増加の主因は、堅調な業績だ。DBSが3日発表した22年7~9月期決算は、純利益が前年同期比32%増の22億3600万シンガポールドル(約2330億円)と四半期ベースの最高益を更新した。利ざやが1.9%と4~6月期比0.32ポイント高まったことが寄与した。ピユシュ・グプタ最高経営責任者(CEO)は「米連邦準備理事会(FRB)の政策金利が4.75%まで上昇すれば、利ざやは23年半ばまでに2.25%程度に拡大する」と話す。

BCAも貸出残高が前年同期比で13%伸び、利ざやも5%台を維持した結果、7~9月期の純利益は25%の増益だった。

経済成長や所得水準の向上に伴い、域内外から個人や機関投資家のマネーが流入していることも追い風になっている。DBSが1~9月期に受け入れた新規資金は150億シンガポールドルと、前年同期の2倍の規模だ。(富裕層の資産を管理する)ファミリーオフィスの設立が相次いでおり、資産運用やカード取引による手数料収益は今後も底堅く推移する見通しだ。

対照的に、日本の大手銀行は日銀の金融緩和が続く間、国内の利ざや改善が期待できない。DBSの7~9月期の自己資本利益率(ROE)が16.3%だったのに対し、三菱UFJは直近の4~6月期で2.9%、23年度の目標値でも7.5%と稼ぐ力の差は大きい。

三菱UFJの22年3月期の総資産は373兆円、純利益は1兆1308億円。これに対して、DBSの21年12月期の総資産は円換算で約72兆円、純利益は約7100億円だ。三菱UFJの総資産はDBSの5倍強、純利益も1.6倍だが、市場はDBSの成長性を評価している。

国際通貨基金(IMF)は今後5年間、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要5カ国の成長率が毎年5%前後で推移すると予測する。幅広い業種に資金を供給する銀行の収益は進出する市場の成長性に左右されるため、東南アジアの銀行は有利な経営環境にある。英国のシンクタンクが9月に公表した国際金融センターのランキングでは、シンガポールが3位に入り、香港(4位)や東京(16位)を上回った。

邦銀も東南アジアに経営資源を重点配分しており、三菱UFJが買収したインドネシアのバンクダナモンの利ざやは約8%と日本国内よりはるかに高い。投資家の期待を回復するには、成長市場のアジアで現地大手との競争に勝ち、シェアを高めていく必要がある。

(日本経済新聞)

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