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ジョンソン英首相が辞任表明 不祥事相次ぎ閣僚離反 与党・保守党は党首選へ ウォレス、スナク、トラス氏ら有力 2022/07/07

【ロンドン=中島裕介】ジョンソン英首相は7日、「新しいリーダーを選ぶプロセスを始めるべきだとの意見に同意した」と述べ辞任を表明した。首相官邸前で記者団に語った。新型コロナウイルス対策の行動規制下でのパーティー開催問題など政権の不祥事が相次いだことで、閣僚らが大量に離反し続投が困難になっていた。

ジョンソン氏は後任を選ぶ与党・保守党の党首選の日程が来週に示されると表明した。新党首の選出までは首相の職務を続ける方針も示した。ジョンソン氏は欧州連合(EU)離脱の実現などの実績を挙げ「この政権の功績を誇りに思っている」と語った。「世界最高の仕事を諦める悲しさもわかってほしい」と無念さもにじませた。

後任首相には、ウクライナ危機への対応で評価を高めるウォレス国防相や新型コロナ危機下での経済政策で評価を高めたスナク前財務相、通商政策に精通するトラス外相らが有力視されている。

新型コロナ対策の行動規制の最中に官邸などでパーティーを開いていた問題で、昨年末以降、ジョンソン政権の支持率が急降下した。7月上旬には過去に痴漢行為の苦情があった議員を党幹部に起用したことが発覚。説明が二転三転し強い批判にさらされていた。

5日に財務相と保健相の2人の重要閣僚が辞任すると、その後も副大臣級など与党議員の役職の辞任が相次いだ。7日朝までにさらに複数の閣僚が辞任。合計の辞任者は50人以上に達する異常事態となった。保守党内では6月に続く信任投票の再実施を模索する動きがあり、実現すれば不信任票が過半数に達するとみられていた。

ジョンソン氏はEUとの離脱交渉で英政界が混乱を極めていた2019年7月に、メイ前首相の辞任を受けて就任した。19年末の総選挙で大勝すると、20年1月末にはEU離脱を実現した。ただその後も英領北アイルランドを巡りEUとの摩擦が続いていた。

(日本経済新聞)

ジョンソン英首相辞意、対ロシア結束に影響も 欧州政治内向きの懸念も 2022/07/07

【ロンドン=中島裕介】ジョンソン英首相は7日、辞任を表明した。不祥事が相次ぎ与党議員やインフレに苦しむ英国民の信頼を失っての退場だが、積極的なウクライナ支援で西側諸国を引っ張るなど外交・安全保障では指導力を発揮していた。ジョンソン氏の退場は、ウクライナ情勢にも影響を与える可能性がある。

「英国の私たちは自由への戦いを必要なだけ支援し続ける」。7日、ジョンソン氏は辞任表明の声明で、ウクライナ国民にこう語りかけた。

4月と6月、ジョンソン氏はウクライナの首都キーウ(キエフ)を電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と信頼関係を築いた。ゼレンスキー氏は7日、CNNとのインタビューでジョンソン氏を「ウクライナの真の友人」とたたえた。

英国は2014年のロシアによるクリミア半島の併合以来、訓練の提供などウクライナ軍を支援してきた。2月にロシアの侵攻が始まると、ジョンソン政権は欧州の中で最も早くウクライナに兵器を供与。6月末時点で軍事支援の拠出額は米国に次いで2番目となっていた。

ロシアが警戒する北大西洋条約機構(NATO)の拡大にも積極的に関与した。ジョンソン氏は5月にNATO加盟を目指していたスウェーデン、フィンランドの首脳とそれぞれ会談。加盟申請が承認されるまでの空白期間にロシアが攻撃してきた際には英軍が支援すると保障を示した。

20年の欧州連合(EU)離脱を受けて、インド太平洋地域への関与も鮮明にした。21年2月には、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。9月には米国とオーストラリアとの3カ国の新たな軍事協力枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設し、中国のインド太平洋地域での海洋進出をけん制する姿勢も鮮明にした。

退陣の直接の原因は、相次ぐ不祥事とその対応の不手際だが、世論の支持離れはインフレによる「生活費危機」が主因だ。

英国の5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で9.1%上昇した。家庭向けの電気・ガスの単価上限は4月に5割ほど引き上げられた。

米欧日などはロシアの戦費調達を防ごうと、石炭や石油、天然ガスといったロシア産エネルギーの禁輸や脱依存にカジを切る。しかし、経済制裁など一連の対応は資源価格の高騰を招き、各国の中低所得層を直撃している。

フランスでは、6月の国民議会(下院)選でマクロン大統領の与党が過半数割れに追い込まれた。米国では11月の中間選挙で与党・民主党の苦戦が確実とみられている。

民主主義国の指導者が直面する世論の不満。ロシアのプーチン大統領はこれを見透かし、ドイツなど欧州各国へのガス供給の削減や日本の資源権益の接収表明などで揺さぶりをかける。

首相交代で英外交が急変する可能性は低い。しかし、行動力と発信力を兼ね備えたジョンソン氏の退場で、欧州の政治が内向きの傾向を強める懸念がある。支援疲れのみえる西側の結束維持という課題も浮かび上がらせている。

(日本経済新聞)

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