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チャットGPT、職場を変革 生成AI公開1年 日清食品、営業部門の6割活用 2023/11/21

生成AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」が2022年11月30日に公開されて1年。最高経営責任者(CEO)を務めたサム・アルトマン氏の退任で開発元の米オープンAIは揺れているが、生成AIは企業の現場に着実に浸透する。日清食品の営業部門では社員の6割が活用し、生産性向上が新たな段階を迎えている。

「生成AIの出力(内容)はそのままでは使えないが、ユニークな発想のヒントをくれる」。日清食品の宮田浩平ユニットリーダーは生成AIが手放せない「相棒」になったと話す。

宮田氏が所属する営業部門では1人あたり年間400時間の業務効率化を目標に、資料作成などに生成AIを活用中だ。総労働時間を年間2000時間とすると、2割が浮く計算になる。

日清食品ホールディングス(HD)で生成AIの導入プロジェクトが始まったのは4月初め。3週間後にはオープンAIと組む米マイクロソフトのサービスを利用して独自の対話型AIの稼働にこぎつけた。従業員向けの説明会や社内報を通じて取り組みを周知し、機密情報の漏洩や著作権侵害への対策も講じた。

先導役の成田敏博グループ情報責任者は「そこからが険しい道のりだった」と振り返る。生成AIは「ふつうの言葉」で扱える画期的な技術だが、具体的な使い道があらかじめ決まっているわけではないためだ。

用途を探るために先行して導入したのは日清食品の営業部門だった。全国から約20人を選び、プロジェクトチームを結成した。米大リーグの大谷翔平選手が高校時代に使ったとされる目標達成ツールを応用し、非効率な業務や改善策を洗い出した。商談資料の作成や議事録の要約、市場調査など約30の業務を生成AIの活用対象に選んだ。

生成AIに的確な指示を与える技能「プロンプトエンジニアリング」の研修で社員のスキル向上も図った。生成AIに販売促進策となる商品の新たな食べ方を提案してもらうなど、指示文のひな型を20種類作成し、部門内で共有した。

新技術に不慣れな従業員らにも配慮することで、営業部門の生成AIの利用率は6割を超えた。削減できた時間は「より創造的な業務、顧客のための業務に充てる」(成田氏)。得られた知見は他の部門にも広げる考えだ。

生成AIの登場は情報分析の現場にも変革をもたらしている。大和総研が取り組むのはリポート作成の効率化だ。まず日銀が四半期ごとに発表する地域経済報告(さくらリポート)を対象に生成AIの活用を始めた。景況感の判断や個人消費、企業活動の項目をAIが読み取り、タイトル案や要約例を作成する。

地域経済報告で最も重要な総合評価が前回と変わらない場合でも、百貨店や自動車販売の動向など細かい項目に着目する。各地域の企業の声も拾い、リポートに奥行きを持たせる。

こだわったのが正確性だ。生成AIは事実と異なる文章を生むこともある。AIの文章が日銀の報告のどこから引用しているかを抽出し、原典を確認しやすくする仕組みを取り入れた。

溝端幹雄主任研究員は「これまでは地域経済報告を紙に印刷し、マーカーを引いてチェックしていた」と振り返る。従来は日銀の発表からリポート作成まで4営業日を要したが、生成AIの導入後は半分の2営業日に短縮した。溝端氏は「信頼に関わる確認作業に多くの時間を充てられ、効率的だ」と話す。

エクサウィザーズが大企業など368社を対象に8月に実施した調査では、生成AIを「日常的に使用」あるいは「時々使用」と答えた割合は計62%にのぼった。4月時点の調査(対象は274社)に比べ29ポイント上昇した。生成AIはこれまで「ホワイトカラー」が担ってきた幅広い業務で力を発揮し、人手不足の解消に貢献しつつある。

(日経新聞)

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