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トヨタ社長に53歳・佐藤氏 豊田章男氏は会長に 2023/01/27

トヨタ自動車は26日、4月1日付で佐藤恒治執行役員(53)が社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格すると発表した。豊田章男社長(66)は代表権のある会長に就く。14年ぶりの社長交代となる。豊田氏はリーマン・ショック後の赤字から経営を立て直し、マツダやスズキとの資本提携も相次ぎ決めた。佐藤氏のもとで電気自動車(EV)などへの移行を急ぐ。

豊田氏はリーマン危機直後の2009年6月に創業家出身として14年ぶりに社長に就任した。09年に781万台だった販売台数を19年には過去最高の1074万台まで増やした。ハイブリッド車(HV)の販売を日米で増やしたほか、水素を燃料にする燃料電池車(FCV)も商品化した。

開発や生産を効率化するため国内自動車大手との提携も決めた。マツダやスズキに資本参加したほか、SUBARU(スバル)を持ち分法適用会社にし、ダイハツ工業も完全子会社にした。

豊田氏は26日に開いたオンライン記者会見で「トヨタの変革をさらに進めるには私が新社長をサポートする体制が一番良いと考えた」と述べた。新型コロナウイルス禍による販売減なども最悪期を脱したとみて社長職を譲る。内山田竹志会長(76)は退任する。

社長に就く佐藤氏は部品開発などの技術者出身で、現在は高級車「レクサス」部門のトップを務める。会見で「車の本質的な価値を守り、新しいモビリティーのかたちを提案したい。新たな時代に向けて挑戦する」と語った。豊田氏は「佐藤氏なら商品を軸にした経営を前に進めてくれる」と話した。

佐藤 恒治氏(さとう・こうじ)92年(平4年)早大理工卒、トヨタ自動車入社。20年執行役員。53歳

(日本経済新聞)

トヨタ新社長の佐藤氏、レクサスも手掛けたエンジニア 2023/01/26

トヨタ自動車が26日、豊田章男社長、内山田竹志会長の退任と佐藤恒治執行役員の社長昇格を発表した。豊田氏は創業家出身として13年間トップの座にあり、リーマン・ショックで傷んだトヨタを立て直した。電気自動車(EV)を中心に車の電動化進展は急速で技術も日進月歩だ。日本最大の企業の次世代シフトを53歳の若い世代に託す。

「本日の臨時取締役会で私が会長に、佐藤が新社長に就任することを決めた」。豊田氏が切り出した社長交代の会見は異例の形式で始まった。動画投稿サイト「ユーチューブ」の自社チャンネルで内山田氏、豊田氏、佐藤氏らが出席して配信。記者からの質問もオンラインのみで受けた。

「もっといいクルマづくりをしよう」。豊田氏は会見で口癖のように繰り返してきた言葉を改めて強調した。2009年に社長に就任した直後の10年、米国中心のリコール問題を受けて品質での信頼回復を誓った。東日本大震災や新型コロナウイルス禍など度重なる危機対応に追われた13年間だ。

「危機こそ社長である意味があった」
就任時の経営状態は、世界での生産・販売の拡大戦略があだとなり、リーマン・ショックの大打撃もあり営業赤字に陥った。豊田氏は戦略を見直し、経営と商品戦略の改革から着手し、損益分岐点台数を引き下げる筋肉質な生産・販売体制に移行を進めた。「危機であるからこそ私が社長である意味があった」と振り返り、創業家の旗印のもと構造改革を進めた。

22年の世界販売は、豊田氏の就任時に比べて3割程度多い1000万台前後とライバルの独フォルクスワーゲン(VW)を抑え、世界首位を維持し続けるまでに成長した。業績面では22年3月期の連結営業利益が2兆9956億円となり、国内企業で過去最高となった。足元の時価総額は30兆円超と社長就任時に比べて倍以上だ。足元では車載半導体不足による生産混乱が続き、当初計画の下方修正も相次いでいるが受注の好調さは続いている。

一方で電動化対応を巡っては他社と一線を画した。ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などを幅広くそろえる「全方位戦略」を一貫して訴え、ホンダやゼネラル・モーターズ(GM)のような戦略とは距離を置いた。電動車だけでなくガソリン車や開発中の水素エンジン車など「選択肢を残したい」と主張した。

社長に昇格する佐藤氏は技術者出身で、高級車「レクサス」部門のトップを務める。モータースポーツに力を入れた豊田氏とともに、レース会場に足しげく通った。年齢53歳は豊田氏の社長就任時と同い年だ。

豊田氏が佐藤氏に交代を告げたのも22年12月、タイのサーキットでだった。「現場にいてほしい」という思いでサーキットでの内示を演出したという。「緊張しないような配慮だったのだろう」と佐藤氏は振り返る。

「『車屋』としての限界感じる」
豊田氏は会見で自身を「古い世代。『車屋』としての限界も感じている。新しい時代には私が引くことが必要だと思った」と語った。豊田氏は周辺に「トヨタの経営の最大のリスクは私が社長であり続けることだ」と漏らしていた。ここ数年は社長交代を意識して40代後半〜50代前半の幹部を執行役員などに登用。最高幹部層を10歳程度、それまでより若返らせて次への布石を打ってきた。

豊田氏は「(全方位戦略などを)理解してもらうのに時間がかかった」と自社ホームページで評価するが、その間ライバルはEVシフトを加速した。「EVの売れ行きは想定以上。効率的な造り方も考えなくてはならない」(トヨタ幹部)

EV専業の米テスラが22年に131万台と販売を急速に伸ばし、トヨタの提携相手でもある中国の比亜迪(BYD)を筆頭に中国勢がトヨタをおびやかしかねない状況だ。EVを本格展開するうえで課題は多い。豊田氏は「モビリティー会社への変革を若いチームでやるミッションは彼にかかっている」と強調した。(湯沢維久、大本幸宏)

挑戦する姿勢が信条
佐藤恒治氏がトヨタ自動車に入社したのは1992年。エンジニアとして主力車種の部品開発に携わり、後にレクサスの担当になった。トヨタでは1人前のエンジニアと認められるチーフエンジニアを「レクサスLC」で担当した。

若いころから付き合いのある幹部は、悩むような姿を表に出さなかったという。エネルギッシュな性格と現場主義を貫いてきたといい「限界までの挑戦がなければ新しいものはうまれない」というのが信条だ。

レースを愛好
自他ともに認めるモータースポーツ好きで、世界中のサーキットやラリーをしばしば訪れる。トヨタのモータースポーツ事業のトップとしてレースチームを率い、豊田氏の命を受けて開発した「水素エンジン」を搭載した車が完走すると、感極まって涙をみせる場面もあった。
経営方針については「多様な価値に応える車造り」をあげ、豊田氏が進めた全方位戦略を踏襲する構えだ。100年に一度と言われる自動車業界の大変革が進む中、今後どう独自色を出していくのか注目される。(福本裕貴)

(日本経済新聞)

次期社長の佐藤氏、新章開く「カーガイ」 無類の車好き、レクサスのEV化主導 2023/01/28

佐藤氏が率いてきたレクサスブランドは2035年にはすべてをEVにする
トヨタ自動車が社長交代を決めた。創業家出身の豊田章男社長(66)が会長に退き、佐藤恒治執行役員(53)が4月1日付で新社長に就く。2009年から社長としてトヨタを率いた豊田氏は業績を立て直しながら、自らレースドライバーとしても活動。「車屋」を印象づけてきた。経営のバトンを渡す佐藤氏は、高級車ブランド「レクサス」の電気自動車(EV)へのシフトを率いた新世代の「カーガイ」だ。

「AE86を買ったということばかりを、インターネットでアップしている人がいます」

1月、千葉で開かれた自動車イベント。ガソリン車をEVに変換した試作車に乗り込んで上機嫌だった豊田氏は佐藤氏をこう紹介した。AE86とは1980年代に販売されたトヨタ往年のスポーツ車。この所有者こそ、個人的に購入したという佐藤氏だ。豊田氏が「AE86を持ってきていないの」と問いかけると、佐藤氏は「愛が強すぎていろいろ直しすぎて、まだバラバラで持ってこれませんでした」と応じた。

佐藤氏は学生時代にはトヨタ以外の車も運転し、ガソリンスタンドでアルバイトをしていたというほどの車好きだ。そんな佐藤氏はレクサスのEV化を主導してきた。

「レクサスをEVの方向にシフトしていきたい」。2021年12月、トヨタが開いたEV説明会。壇上で佐藤氏はこう言い切った。トヨタのEV化は遅れているが、「ガソリンエンジンにはない付加価値がある」と続け、はっきりとEVの魅力を語った。

トヨタはEVの商品化を本格化させている。佐藤氏が率いてきたレクサスブランドは「トヨタ」ブランドに先行して、2035年にはすべてをEVにする。レクサス初の本格的なEVである多目的スポーツ車(SUV)の「RZ」の開発過程で豊田氏を試乗車に同乗させると、豊田氏が驚きの声を上げる場面もあった。

EVの他に、水素を燃料に動く「水素エンジン車」の開発も主導。21年、水素エンジンを搭載したスポーツ車仕様の「カローラ」で耐久レースに参戦し、レース会場での説明役はもっぱら佐藤氏だった。

豊田氏らも出席する記者会見を終えたあと、記者に囲まれても立ち去らず丁寧に説明をつくした。「水素は安定してクリーン燃焼しているときの効率はいい」。豊田氏の発想によるレース参戦ながら、佐藤氏の背景説明では学生時代にエンジン研究にいそしんだ技術畑の説得力を持ち合わせた。

「デジタル化や電動化、コネクティビリティーも含めて私は古い人間だと思う」。26日のオンライン記者会見で豊田氏は、率直に交代の意図を説明した。タイミングこそ、内山田竹志会長の退任を理由にしたものの、近年では社長交代への準備を進めてきた。EV化だけでなく、つながる車や自動運転といった新たな技術競争領域に対応するため、内山田会長の退任意向を機に経営を若返らせる必要があると感じていた。

26日のオンライン記者会見で豊田氏は「『車屋を超えられない』。それが私の限界でもあると思う」と話し、「佐藤新社長を軸とする新チームのミッションは、トヨタをモビリティー・カンパニーにフルモデルチェンジすること」と説明した。16年に米グーグルの有力プログラマーだったジェームス・カフナー氏を招き入れるなど、脱「車屋」の経営体制を整えていた。トヨタの「新章」を託す最高経営責任者(CEO)に選んだのは豊田氏と同じ根っからの若きカーガイだった。

(湯沢維久)

(日本経済新聞)

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