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トヨタ首位、最高益2.8兆円 3月期企業の前期純利益額 調達網強く円安追い風 2022/05/25

4年ぶりの最高益となった2022年3月期決算。新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻など厳しい環境下でも稼いだ企業はどこか。ランキングデータから分析する。初回は純利益を取り上げる。

日本経済新聞が3月期決算の東証プライム上場企業(変則決算や金融除く)約1120社を対象に集計したところ、22年3月期に純利益が首位となったのはトヨタ自動車(2兆8501億円、国際会計基準)だった。同社の首位は2年ぶりだ。

「(最高益は)これまで長く続けてきた取り組みの結果」。財務担当の近健太副社長はこう話す。売上高は前の期比15%増、純利益は27%増と大幅に伸びた。純利益は18年3月期(2兆4939億円、米国会計基準)を上回り、単純比較で4年ぶり最高益だった。

要因は3つある。1つ目は半導体不足で欧米勢が販売を減らすなか、世界販売台数を5%増やしたことだ。デンソーや豊田通商など系列の調達網の強みを生かした。2つ目は円安だ。平均為替レートは112円と前の期より約6円の円安となり、利益を6100億円押し上げた。

3つ目は金融事業の好調だ。米国で新車の供給不足を受けて中古車価格が上昇し、顧客からリース返却を受けた車両の売却益などが伸びた。自動車ではホンダも純利益が7070億円と8%増え、9位に入った。

海運は3位に日本郵船(1兆91億円)、8位に商船三井(7088億円)が入った。コロナ禍で海上物流が混乱したところに米国の消費回復を背景とした需要急増が加わり、コンテナ船運賃が高止まりした。大手3社が共同出資するコンテナ船事業会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」が好調だった。

最高益となった郵船は、日本の事業会社として過去6番目の利益水準となった。ONEへの出資比率は38%と3社で最大。営業外収益の持ち分法投資利益が7426億円に膨らんだ。郵船は前の期からの増益額も8698億円とランキング集計対象で最大となった。

上位には商社も目立つ。三菱商事、三井物産、伊藤忠商事が10位以内に入った。石炭や鉄鉱石の市況が上昇し、資源事業の採算が上向いた。増益額は3社合計で1兆7600億円にのぼる。

伊藤忠は情報・金融など非資源分野も好調で、「一過性利益を除いてもすべての部門で期初計画を上回った」(石井敬太・社長最高執行責任者)。

一方、最終赤字額で首位となったのはソフトバンクグループ(SBG)だ。世界の株式相場の変調で投資先企業の価値が急減し、最終損益は1兆7080億円の赤字(前の期は4兆9879億円の黒字)に転落した。

日本企業の赤字額としては、みずほフィナンシャルグループが03年3月期に計上した2兆3771億円に次ぐ大きさだ。国内企業で過去最大の純利益を稼いだ21年3月期から一変した。

赤字額上位には、日本航空やANAホールディングス、JR各社などコロナ対策の人流抑制が直撃した企業も多い。燃料費高騰に見舞われた電力会社も軒並み赤字に転落した。円安による調達コストの増加も加わり、東北電力は9期ぶりの最終赤字となった。

先行きを慎重にみる企業が多い。上場企業の23年3月期の純利益は2%増と前期の36%増から急減速する見通しだ。

今期の会社予想を集計すると、純利益の首位はトヨタが維持する。ただ2兆2600億円と前期比21%減る見込みだ。鉄やアルミなど原材料高による減益要因が1兆4500億円に膨らむと見積もる。近副社長は「(原材料高は)過去に例がないレベル」と話す。

一方、最終赤字額の首位は関西電力(750億円の赤字)だ。原発稼働率が検査などで落ちる。現時点では最終赤字を見込む企業が少ないが、世界景気が減速すれば増える可能性がある。

市場では「今期は需要が旺盛な半導体など一部業種を除き、前期の大幅増益の反動減が出る可能性がある」(みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジスト)との指摘が聞かれる。

(日本経済新聞)

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