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トランプ前大統領、無罪主張 全34件の罪状を否認 2023/04/05

【ニューヨーク=朝田賢治】
米東部ニューヨーク州の大陪審に起訴されたトランプ前米大統領は4日午後(日本時間5日未明)、ニューヨーク市内の裁判所で罪状認否に臨んだ。起訴された罪状は34件で、前大統領はすべての罪状について否認した。前大統領は不倫関係にあったと主張する女性に口止め料を支払ったことを隠蔽するなどして、2016年の大統領選に影響を与えたとして罪に問われている。

裁判所が公開した起訴事実に関する文書によると、前大統領は「16年の大統領選で、自身に不利な情報を有権者に隠す意図で事業記録を繰り返し不正に改ざんした」と指摘。「第1級事業記録改ざん罪」に当たると認定した。同罪は1年以上の懲役刑もあり得る「重罪」だ。米大統領経験者の起訴は初めて。

前大統領は大統領選直前に、不倫関係にあった元ポルノ女優に交際事実を公表しないようにするため、自身が経営するトランプ・オーガニゼーションの弁護士を通じて13万ドル(約1700万円)を支払ったとされる。このほか、自身の婚外子に関する情報(後に偽情報と判明)を公表しようとした元ドアマンに、友人のタブロイド紙経営者を通じて口止めしたことなど、複数の案件が問題になっている。

トランプ前大統領は同日午後1時半ごろ、ニューヨーク市内の裁判所の建物に出頭。午後2時半ごろから罪状認否に臨んだ。前大統領はビジネス記録の改ざんに関する34件の重罪で起訴され、罪状認否で無罪を主張した。前大統領の弁護士は裁判所内でのトランプ氏について「不満で、失望した様子だった」と語った。

疑惑を否定する前大統領は検察による「政治的迫害」だと訴えており、4日のうちにフロリダ州に戻り、支持者に向けて演説した。前大統領が次に出廷するのは12月4日の見通し。

前大統領は3日に私邸がある南部フロリダ州からニューヨークに移動した。中心部マンハッタンの5番街にある「トランプタワー」で一夜を過ごし、4日午後1時過ぎに車で裁判所に向かった。裁判所の建物前には前大統領の支持者や反対派、メディアが詰めかけ、出頭を見届けた。裁判所と同じ建物に検察もオフィスを構えている。ニューヨーク市警は政治的迫害を主張する前大統領の支持者らの暴動や混乱を警戒し、市内に厳重な警備態勢を敷いた。

検察側は、捜査を率いるマンハッタン地区検察のアルビン・ブラッグ検事が4日午後4時過ぎから記者会見を開いた。ブラッグ検事は前大統領が「9カ月間にわたって支払いについて虚偽の記述を続けた」と糾弾。「私たち(検察)は、誰もが法の前に平等であることを保障するという厳粛な責任を果たしている。どんなにお金や権力があっても、原則は変わらない」と語気を強めた。

4日午前には裁判所近くで前大統領の支持者による抗議集会が開かれたが、支持者代表のスピーチなどにとどまり、大きな混乱は起きなかった。ニューヨーク市は支持者らに平和的な対応を呼びかけている。

(日本経済新聞)

トランプ前大統領、なぜ起訴?いつ公判? ポイント解説 2023/04/04

トランプ前大統領は4日、ニューヨーク市内の裁判所で、同州の大陪審に起訴された34件の重罪についてすべて無罪を主張した。大統領経験者の起訴は史上初で、前大統領は2024年大統領選の有力な共和党候補者でもある。なぜ起訴されたのか、前大統領が起訴を「魔女狩り」と呼ぶ理由は。ポイントに分けてまとめた。

(1)なぜ起訴されたの?
前大統領は4日午後、同市内の裁判所の建物に出頭し、罪状認否に臨むため法廷に入った。起訴事実に関する裁判所の文書によると、前大統領は16年大統領選で自身に不利な情報を隠すために事業記録を繰り返し改ざんした。

不倫関係にあったポルノ女優に支払った口止め料を不正に処理した件では、前大統領の顧問弁護士が13万ドル(約1700万円)の口止め料を肩代わりした。前大統領の婚外子に関する情報をめぐりドアマンを口封じしたことも明らかになった。

米メディアによると、前大統領は罪状認否に先立って顔写真を撮影されたり手錠をかけられたりすることはなかった。2時間ほどで一連の手続きは終わり、前大統領は無言で法廷を後にし、私邸のある南部フロリダ州に向かった。

前大統領をめぐる疑惑は他にもある。20年大統領選の結果を覆そうとした疑惑をめぐる南部ジョージア州地区検察の捜査は大詰めといわれる。21年1月の連邦議会襲撃事件や機密文書の持ち出しについても司法省が任命した特別検察官が調査している。

(2)公判はいつ始まるの?
公判の開始には、数カ月から1年超かかるとの見方がある。次回の対面審理は12月4日に設定された。

米メディアは、前大統領側は公訴棄却の申し立てをする可能性が高いと報じている。検察側が前大統領側に証拠を開示する手続きでは、前大統領側が証拠を採用しないように判事に求めれば審問を開くことになる。

米紙ニューヨーク・タイムズは、前大統領側が公判の形式についても、陪審員による公判か判事による公判かを選ぶことができると説明している。陪審員による公判を選んだ場合、陪審員の選任手続きが必要になる。ニューヨーク市はリベラルな住民が多いとみる前大統領側は陪審員候補者の除外を求めるなど手続きは難航しそうだ。

(3)トランプ氏起訴は「魔女狩り」?
起訴されると口火を切ったのは前大統領本人だった。3月18日に、自ら立ち上げたSNS(交流サイト)に自身が「21日に逮捕されるだろう」と書き込み、抗議活動をするように支持者に呼びかけた。

前大統領は今回の起訴を「魔女狩り」と呼び、民主党のバイデン大統領の政敵である自身を追い落とす「政治的な動機がある」と主張する。南部テキサス州での3月25日の演説では「私がホワイトハウスに戻れば米国は再び自由の国になる」と訴えた。

「魔女狩りがヒートアップしている。ぜひ寄付を」。3月18日の投稿から約200万ドル(約2.6億円)の献金を集めた前大統領は、3月30日の起訴後の24時間で400万ドル超を集めたという。24年大統領選の出馬を明言する前大統領は、起訴を再び注目を集める「好機」と捉えているようだ。

前大統領や共和党が起訴を「政治的な動機がある」と主張する背景に、捜査を指揮するニューヨーク州のマンハッタン地区検事、アルビン・ブラッグ氏の存在がある。各州の法律に基づき捜査する地区検事の多くは選挙で選ばれる。ブラッグ氏は21年、民主党候補として当選した。同州は民主党が強い地盤を持っている。

今後、有権者がどう受け止めるかは見通せない。ロイター通信の世論調査によると、54%が起訴は「政治的な動機に基づくと思う」と回答。共和党支持者に限っては80%がそう回答した。ただ今後、前大統領に不利な証拠が多く出てきたり、他の疑惑の捜査が進展したりすれば世論は変化するかもしれない。

(4)2024年大統領選への影響は?
合衆国憲法は大統領の条件を①米国生まれ②35歳以上③14年以上居住――と規定している。今回、仮に有罪判決が出ても出馬を制限する規定はなく、出馬は可能だとの見方が目立つ。

前大統領も「大統領選キャンペーンは変わらずに続けていく」と宣言している。裁判が始まるのは当面先で、24年大統領選までに裁判が終わらないかもしれない。米メディアは、たとえ有罪判決を受けても前大統領が実際に服役する可能性は低いとする専門家の意見を紹介している。

今回の起訴に共和党は「大統領選への介入が目的だ」(マッカーシー下院議長)と反発、前大統領を擁護した。しばらく距離をとっていたとされる保守的なFOXニュースも起訴を機に前大統領擁護の姿勢を明確にしたとして話題になった。

共和党候補として前大統領の有力な対抗馬になるとみられる南部フロリダ州知事のデサンティス氏は今回、多くを語っていない。起訴された3月30日、前大統領の名前に触れずに「(起訴は)非米国的だ」とツイッターに投稿した。

起訴から時間がたてば、前大統領と距離をおく共和党穏健派を中心に、刑事訴追などのリスクが少ない候補を求める声が再び高まる可能性がある。

(ニューヨーク=山内菜穂子)

(日本経済新聞)

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