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ニコン、高度人材賃金で特別枠 M&AやITなど 2023/05/05

ニコンは事業開発やIT(情報技術)技術者など高度人材の獲得に向け、現行の賃金体系を超えた新制度を本格運用する。年収の上限を撤廃し、採用したい人材には能力に応じて個別に賃金を決める。人材の争奪戦が激化するなか、優秀な人材の確保に向けて給与を手厚くする企業の動きが広がってきた。

ニコンは職務枠に人を当てはめて賃金も固定でひもづく「ジョブ型」を採用しているが、新制度は特に優れた人材を獲得するための特別枠の位置づけとなる。社内で育成が難しい優秀な人材と判断すれば、対価を惜しまずに能力や仕事内容に見合った年収を提示する。

雇用期間は1〜3年でその間は異動や職務の変更をしない。ただ本人が希望すれば給与水準の近い既存の賃金体系に当てはめ、期間の定めのない無期雇用に切り替えられるようにするなど人材の定着も狙う。

既に一部で採用を始めており、これまで海外での事業開発やM&A(合併・買収)関連などの専門人材を年収2000万円級などで10人程度採用した。今後はさらに本格的な採用に踏み込み、データサイエンティストなど高度IT人材の獲得も目指す。若手に年収2000万円以上を提示することもありうるという。

2018年に職務に応じて給与を定めるジョブ型制度を導入し、職務枠に人を当てはめて中途人材などを採用してきた。賃金体系は職務枠にひもづいてほぼ固定され、職務給と個人の成果、業績に応じて賞与を支払っていた。

ニコンはカメラや半導体露光装置事業などで培ってきた光学技術や計測技術などを転用し、金属などの材料加工や再生医療向け細胞の受託生産など新規事業の育成を急いでいる。22年には独3Dプリンター大手を約840億円で買収すると発表した。新事業の開拓を担う事業開発や人工知能(AI)などにたけた優秀な専門人材の獲得にも資金を振り向ける。

一方で、職務枠に応じた賃金を高額に設定する企業も増えている。成長に向けた優秀なプロ人材を確保するには、既存の給与体系を超えて手厚い報酬を準備する必要があると判断した。

高度人材の獲得に向けて受け皿を広げる企業の取り組みは広がりつつある。NECは19年に若手研究者を対象に個人の成果に応じて賞与を上限なしに支払う人事制度を新設。富士通は採用したい人材の経験に応じて市場価値を算出し、最大で3500万円の年収を提示できる人事制度を始めた。

雇用制度に詳しいリクルートマネジメントソリューションズ(東京・港)の井関隆明シニアコンサルタントは「高度人材の市場価値が高まり報酬水準も上昇しているため、各社が採用に苦戦している」と指摘する。

業務を効率化するデジタルトランスフォーメーション(DX)が企業経営の優先事項となるなかで、特にDXを推し進めるのに必要なITエンジニアなどの高度人材は全業界で争奪戦が激しくなっている。リクルートが国内で転職したITエンジニアを対象にした調査では、転職後の会社での賃金が転職前の会社に比べて1割以上上昇した転職者の割合が22年は39.1%となり19年より8.7ポイント上昇した。

リクルートマネジメントソリューションズの井関氏は「国内メーカーで年収の上限を設けずに特別採用枠を用意するケースはまだ少ない」と話す。ニコンだけでなく、今後採用方法や賃金制度の多様化が広がる可能性がある。

(為広剛)

(日本経済新聞)

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