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    White House - Washington D.C. United States of America

国際政治経済最新情報

International Political Economy Updates

バイデン・ゼレンスキー氏が会談 パトリオット供与伝達 2022/12/22

【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は21日午後(日本時間22日未明)、ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。長距離の地対空ミサイル「パトリオット」を含む追加の軍事支援を伝えた。ゼレンスキー氏は「戦争は終わっていない」と語り、支援の継続を要請した。

バイデン氏は首脳会談後の共同記者会見で「プーチン(ロシア大統領)がこの残酷な戦争をやめるつもりがないとわかっている」と表明。「米国は勇敢なウクライナ国民がロシアの侵略から自国を守り続けられるように可能な限りの支援を約束する。必要なだけあなた方とともにいる」と述べた。

ゼレンスキー氏は「米国は我々の価値と独立を守るために支援してくれるだろう」と強調。米連邦議会で野党・共和党が下院で過半数を奪還したことを念頭に「議会が変化しても超党派で上下両院の支援を得られると信じている」と訴えた。

ゼレンスキー氏の発言は2023年1月に始まる新議会の下院で主導権を握る共和を意識したとみられる。党内には「ウクライナは重要だが白紙の小切手は切らない」(下院共和トップのマッカーシー院内総務)などと巨額予算の見直しを求める声があるためだ。

ゼレンスキー氏は21日昼、米国に到着した。ロシアがウクライナ侵攻を始めた2月24日以降、ゼレンスキー氏が外国を訪れるのは初めて。バイデン氏との会談後、米連邦議会の上下両院合同会議で演説した。米国による軍事・経済支援などに謝意を示すとともに、これからも超党派による手厚い支援を継続するよう呼びかけた。

米政府は21日、ウクライナに総額18億5000万ドル(2400億円)規模の追加の軍事支援を発表した。長距離の地対空ミサイル「パトリオット」1基を初めて供与する。発電所などの重要インフラを標的にするロシアのミサイル攻撃に対抗できるように防空体制を強化する。追加の軍事支援では高機動ロケット砲システム「ハイマース」や155ミリりゅう弾砲の弾薬なども拡充する。

ブリンケン米国務長官は21日の声明で「バイデン大統領はロシアによる残忍な攻撃からウクライナを守るため、重要な軍事能力を新たに提供する。防空能力と精密打撃能力を拡充する」と強調。将来的なロシアとの停戦協議を念頭に「時が来れば交渉で最も強い立場に立てるよう必要な限り支援を続ける」と記した。

パトリオットの提供はウクライナがかねて求めてきた。米軍の主力防空システムで、「これまで提供されてきた防空システムよりもはるかに高い高度で巡航ミサイル、短距離弾道ミサイル、航空機を迎撃できる」(ブリンケン氏)。超低高度から高高度の複数目標に同時で対処可能になる。1991年に湾岸戦争で使用された。

ロシアによる侵攻から10カ月が経過し、ウクライナは米欧などで指摘される「支援疲れ」に危機感を強める。ゼレンスキー氏はまず最大の後ろ盾である米国に足を運び、米世論に支援継続を訴える狙いがにじむ。

一方、ロシアのプーチン大統領は21日、国防省の幹部会議で米国が主導する北大西洋条約機構(NATO)による脅威に言及し、戦略核の強化を進める方針を示した。複数の核弾頭を搭載でき米本土なども攻撃可能な次世代の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」が「近い将来に初めて実戦配備される」と述べ、米国をけん制した。

(日本経済新聞)

バイデン氏、ウクライナ支援継続訴え ゼレンスキー氏を米に招請 「縮小論」の共和にクギ 2022/12/23

【ワシントン=坂口幸裕、赤木俊介】ロシアが侵攻を続けるウクライナのゼレンスキー大統領の訪米は、バイデン大統領の招請で実現した。24日に10カ月になる紛争の長期化をにらみ、支援継続の必要性を米世論に直接訴える狙いがある。ゼレンスキー氏は超党派による協力を求め、対ウクライナ予算の縮小論がくすぶる野党・共和党にクギを刺した。(総合1面参照)

21日午後2時過ぎ、バイデン氏はジル大統領夫人とともにホワイトハウス前でゼレンスキー氏を出迎えた。対ウクライナ支援の発表などこれまでも節目となる場で着用してきたウクライナ国旗の青と黄色をあしらったネクタイを締め、連帯を演出した。

同日の会談後の共同記者会見で、バイデン氏は「勇敢なウクライナ国民がロシアの侵略から自国を守り続けられるように可能な限りの支援を約束する」と明言。対ウクライナでは初めてとなる長距離の地対空ミサイル「パトリオット」の供与を伝達した。

ゼレンスキー氏は米連邦議会で野党・共和党が下院で過半数を奪還したことを念頭に「議会が変わっても超党派で上下両院の支援を得られると信じている」と言及した。その後に臨んだ議会上下両院の合同会議での演説でも超党派の支援を求め「皆さんのお金は慈善事業ではない。世界の安全保障と民主主義への投資だ」と訴えた。

戦時下に米議会で演説した外国首脳としては、第2次世界大戦中だった1941年のチャーチル英首相(当時)の例がある。ナチス・ドイツとの戦いに支援を要請し、米国が大戦に関与する流れをつくった。米メディアによると、侵攻から300日を経たゼレンスキー氏の演説はチャーチル氏を意識した。

バイデン政権が発足した2021年1月以降に決めた対ウクライナ軍事支援は総額219億ドル(2兆9千億円)に達する。現在、議会で審議中の23会計年度(22年10月~23年9月)には対ウクライナの449億ドルの予算も盛り込んでいる。

11月の中間選挙を踏まえ、23年1月に始まる新議会で下院は共和が主導権を握る。党内には「ウクライナは重要だが白紙の小切手は切らない」(下院共和トップのマッカーシー院内総務)などと巨額予算の見直しを求める声がある。ゼレンスキー氏の発言が、共和に支援継続を促す狙いがあったのは明らかだ。

対ウクライナ支援を見直す議論が浮上する背景に、長引くインフレが生活に打撃となっている支持層の不満がある。他の国に回す予算があるなら国内の経済対策に使うべきだとの主張だ。

米シンクタンクのシカゴ国際問題評議会が11月中旬に実施した世論調査によると、共和支持層で対ウクライナへの軍事支援を支持すると答えたのは55%で、80%だった侵攻直後の3月より25ポイント低下した。

回答者全体で見ると、3月は79%だった支持が11月は65%で14ポイントの低下にとどまった。共和支持層では「ウクライナがロシアに戦争で勝っても自分の生活には関係ない」との声が根強い。

与野党の微妙な距離感はゼレンスキー氏の演説中の議場にあらわれた。同氏が下院本会議場に入ると民主、共和の議員が総立ちで拍手が鳴りやまず、演説中も党派にかかわらず数回にわたり立ち上がって拍手した。

ただ、マッカーシー氏は真っ先に腰を下ろしたり立たなかったりすることもあった。23年1月の新議会で下院議長をめざす同氏がウクライナ支援に否定的な共和の保守強硬派「フリーダム・コーカス(自由議連)」に配慮した可能性がある。フリーダム・コーカスの所属議員には欠席者がいたほか、拍手しないでいる場面もあった。

下院では共和と与党・民主党との差は9議席。共和内に30~40人ほどいるフリーダム・コーカスにはトランプ前大統領が掲げる「米国第一」に共鳴する議員が目立ち、国際協調に懐疑的な意見もある。保守強硬派が影響力を強めれば、バイデン政権は対ロシア政策の再考を迫られる可能性がある。

(日本経済新聞)

ゼレンスキー大統領の米議会での演説要旨 2022/12/22

米議会で演説するウクライナのゼレンスキー大統領(21日、ワシントン)=AP
ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、米上下両院合同会議で演説した。主な内容は以下の通り。

あらゆる見込みや悲観的なシナリオに反し、ウクライナは陥落しなかった。ウクライナは生きている。戦いは続いており、我々は戦場でこの問題を打ち負かさなければならない。この戦いはウクライナ人の生命、自由、安全のためだけでなく、我々の子供や孫がどんな世界に住むかを規定する。

ウクライナを助けるための米国の努力に感謝する。何も恐れることはない。これは全世界に勇気を与えることだ。米国は自由と国際法を守るため、国際社会を団結させることに成功した。ロシアの暴君は、我々に対する支配力を失っている。

もう一つ重要なことは、ロシア人は心の中でクレムリン(大統領府)を打ち負かしたときにのみ、自由になる機会を得ることができるということだ。

戦いは続いている。これは欧州や同盟国の一部の領土のためだけでなく、ウクライナや米国の民主主義のための戦いでもある。世界のどの国も、守られていると期待して戦争を無視してはならない。世界の結びつきはあまりにも強い。

私はワシントンに来る前の日、ウクライナ東部バフムトの前線にいた。ロシアの軍隊は5月からバフムトに攻撃を仕掛けてきたが、持ちこたえてきた。昨年はバフムトに7万人が住んでいたが、いまは数人の市民しかいない。

ロシアはあらゆる手段を使って我々の美しい町を攻撃しようとしてくる。ロシア軍は我々よりも多くのミサイルや航空機を持っている。それでも我々は持ちこたえてきた。

ロシアの戦略はずさんだ。視界に入った全てを焼き尽くし、破壊してきた。勇敢な米国の軍隊が1944年のクリスマス、ヒトラーの軍隊と戦ったように、ウクライナ人は今年のクリスマスに戦っている。

ウクライナは持ちこたえており、決して投降しない。あなた方の支援は不可欠だ。戦いに耐えるだけでなく、勝利へのターニングポイントにするためだ。

これまでの金融支援にも感謝したい。米国の資金は慈善事業でなく、私たちが最も責任ある方法で使う世界の安全と民主主義への投資なのだ。

ロシアは、その気になれば、侵略を取りやめることができた。国際的な法的秩序が我々の共通の課題だ。私がバイデン米大統領と話し合って設けた(平和構築に向けた)10項目の内容は、これから数十年間、我々の共同安全保障のために実施されるべきだ。

2日後にはクリスマスを祝うが、(ウクライナに)電気はない。ロシアがミサイルでエネルギーインフラを攻撃したためだ。だが、我々は文句を言わない。だれの方が楽な生活をしているというような比較はしない。

あなたが幸福でいられるのは、あなたの国の安全保障のおかげだ。独立のための闘争と、多くの勝利の結果だ。我々ウクライナ人もまた、尊厳と成功をもって、独立と自由のための戦いをやり遂げるだろう。

我々は強いウクライナをつくる準備ができている。我々には強い国民、強い軍隊、強い制度がある。ウクライナ、欧州全体、世界のために強靱(きょうじん)な安全保障を作り上げる。これは欧州と世界の民主主義を守る基礎になる。

米国民の皆さんに感謝を申し上げたい。バイデン大統領、上下両院は貴重な援助を与えてくれた。ウクライナ人を受け入れてくれたことに感謝する。

ここに立ったいま、この瞬間にぴったりなフランクリン・ルーズベルト元米大統領の言葉を思い出す。

ウクライナ国民は絶対に勝利するだろう。ウクライナ軍は多くの部分において、世界に頼っている。

バフムトでの演説中、人々が旗を渡してくれた。ウクライナ、欧州、そして世界を命がけで守る人たちの旗だ。

我々は立ち上がり、戦い、そして勝つのだ。ウクライナ、米国、そして自由な世界全体が一つになっているのだから。

軍隊と市民に、神のご加護がありますように。米国を永遠に祝福してくれますように。メリークリスマス。そして勝利の新年を。

(日本経済新聞)

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