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バフェット氏ら米著名投資家、テック株以外に資金分散 2024/02/16

米国の有力ファンドが15日までに開示した2023年12月末時点の株式などの保有銘柄を分析すると、巨大テック株からの分散が明らかになった。米長期金利の低下で株高が進むなか、米アルファベットなどへの売りが広がった。米エヌビディアを大幅に買い増す動きもあり、著名投資家の間で濃淡がみられた。

米国で総額1億ドル(約150億円)以上の株式を保有する機関投資家は、四半期ごとに米証券取引委員会(SEC)に保有銘柄の一覧を提出する義務がある。報告書は「フォーム13F」と呼ばれる。開示対象は主に米国市場の上場銘柄で、空売りなどは含まれない。9月末時点のリストと比べることで、投資行動を垣間見ることができる。

ダニエル・ローブ氏が率いるヘッジファンド、サード・ポイントはアルファベット株をすべて売却した。アマゾン・ドット・コムとマイクロソフトの保有もそれぞれ1割減らした。マイクロソフトの保有を5割ちかく増やすなどテック株に積極投資していた7〜9月と対照的な動きになった。

著名投資家ジョージ・ソロス氏の一族が運営するソロス・ファンド・マネジメントでもアルファベットなど大型ハイテク株の一部で保有減少があった。著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイは3年ぶりに米アップル株を売却し、株式保有数を1%あまり減らした。

楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジストは「10~12月の米株相場はインフレの沈静化を受けてマーケットが金融政策の転換を織り込み、年末に向け金利低下と株高が進んだ」と話す。ハイテク株は急ピッチで上昇し、利益確定売りが出やすかったとみられる。

もっとも、全ての著名投資家がテック株売りに動いたわけではない。

レイ・ダリオ氏が創業した世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツはエヌビディア株を大きく買い増していた。保有株式数は23年9月末時点と比べて5.6倍となった。エヌビディア株は12月末までの3カ月間で14%上昇している。

グロース(成長)株投資で知られるヘッジファンドのタイガー・グローバル・マネジメントはアルファベットやメタを一部売却する一方、アマゾンを24%買い増した。

同時に、出遅れていた銘柄を見直す機運も高まった。著名投資家らが、そうした銘柄に資金を振り向けるために、大型ハイテク株に利益確定売りを出した可能性もありそうだ。

デビッド・テッパー氏が率いるアパルーサ・マネジメントはエヌビディア株を2割、台湾積体電路製造(TSMC)を5割減らした。インテルやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)なども一部売却し、半導体関連からマネーを引き揚げた。

その裏では、オラクル株へ新たに投資したことが明らかになったほか、「ハイテク株の女王」と呼ばれるキャシー・ウッド氏の率いる、米アーク・インベストメント・マネジメントの上場投資信託(ETF)「アーク・イノベーション」のコール・オプション(買う権利)も取得していた。

米バークシャーは、米石油大手シェブロンとオキシデンタル・ペトロリアムの保有株式数を23年9月末比で1割前後増やした。原油価格の下落を背景に両銘柄の株価は10〜12月に1割ほど下落するなか、投資の好機とみて買い向かったようだ。

不動産不況をきっかけに低迷する中国株を売る動きは継続した。アパルーサが中国ネット通販の京東集団(JDドットコム)を、タイガー・グローバルがアリババ集団をそれぞれ完全に売却するなど、全体でみれば中国株離れが目立つ。

低迷が続く中国株に逆張り投資する動きもあった。「世紀の空売り」で知られる著名投資家マイケル・バーリ氏だ。アリババ集団とJDドットコムをそれぞれ5割、6割買い増していた。

巨大テック株は1月以降も成長期待を支えに買いが優勢だが、指標面では割高感も否めなくなってきた。著名投資家がテック株以外に資金を分散する動きは目先続きそうだ。

(佐藤日菜子)

(日本経済新聞)

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