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バブル懸念、株分散で備え 「インフレ、一時的でない」バートン・マルキール  2021/12/04

世界的なインフレ懸念を受けて市場の不透明感が増している。こうした事態に投資家はどのように対処すればいいのか。投資の世界におけるベストセラー「ウォール街のランダム・ウォーカー」の著者で、米プリンストン大学名誉教授のバートン・マルキール氏は、局所的なバブル崩壊には、株式の分散投資で備えるべきだと唱える。

――インフレは長期化すると考えますか。

「一時的なものではない。サプライチェーン(供給網)問題の解消が上昇率を抑えるかもしれないが、労働者不足という問題は残る。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は労働市場での高齢化の問題を加速した。コロナ下で職を失った60代は貯金もそれなりの資産もある。職場に復帰しない人も少なくない。移民の受け入れは労働力不足の助けとなるが、反移民感情は米国内外で根強い」

「長期的には先進国の少子化が問題となる。日本は最も深刻で欧州も似た状況になる。米国でも少子化は急激に進み、中国も一人っ子政策の影響で人口減問題に対処できなくなっている。東南アジアのベトナムのように若者の人口が多い新興国に投資すべきだ」

――インフレが急加速するリスクはありますか。

「1970~80年代のようなひどいインフレは起きないと考える。当時は石油輸出国機構(OPEC)がもっと力を持ち、供給抑制の効果は大きかった。世界的な穀物の不作も起きた。懸念しているのは6%のインフレが10%に上がることではなく、6%が長期的に続いてしまうことだ」

――投資家はインフレとどう向き合うべきですか。

「長期債を避け、株式と不動産などの実物資産を購入すべきだ。利回りが1%程度の10年債は確実に損だ。歴史的な高値であっても株を買った方がよい」

――新型コロナの変異型「オミクロン型」の市場への影響は。

「まだ分からない。現在あるワクチンや治療がどれほどの効果があるかが明らかになるまで待つしかない」

――米国株市場は「バブル」といえますか。

「市場全体はバブルといえないが局所的にバブルはある。ゲーム専門店ゲームストップと、映画館チェーンのAMCエンターテインメント・ホールディングスは(コロナ禍で)破綻してもおかしくなかったが、個人投資家の買いが支えた」

「SNS(交流サイト)で話題のミーム株に飛びついたり暗号資産(仮想通貨)ブームに踊らされたりした個人投資家は痛い目に遭う。『ウォール街のランダム・ウォーカー』の出版50周年に合わせ13版を出す。バブルに関する記述でミーム株現象、ビットコインや非代替性トークン(NFT)について加筆する」

「今の米国市場は90年代のITバブルと似た面がある。投資家は(こうしたネット株の)バブル破裂に備え(幅広い銘柄に分散投資する)インデックス投資をすべきだ」

――仮想通貨への長期投資はどうみますか。

「ビットコインの価値を見定めることはできない。価格変動が激しすぎ、日用品を買おうと思う人は少ないはずだ。将来、仮想通貨より安い決済方法が出てくるだろう。基盤技術であるブロックチェーンの稼働には大量のエネルギーを消費し実は高額なものだ」

――低コストのインデックス投資が席巻し、銘柄選別するアクティブ運用が縮小しています。

「(アーク・インベストメント・マネジメント創業者の)キャシー・ウッド氏は2020年、アクティブ投資家として最も良い運用成績を出した一人だ。21年は市場平均を下回っている。アクティブ運用者を15年続けて分析すると、インデックスを超える確率は10%しかない」

――アクティブ運用の退潮が市場の価格発見機能を低下させ、インデックス投資はアクティブ投資家の努力に「タダ乗り」しているとの批判があります。

「タダ乗りは間違いない。だがアクティブ投資家がいなくなる心配はない。仮にある会社の株価が本来40ドルのところ20ドルで取引されていたら、その機会をとらえるトレーダーは必ずいる。先に本当の価値に気づいた人はインデックス投資家より利益を得られる。市場の99%がインデックス投資であっても市場が機能しなくなる危険性はない」

――日本の投資家へのアドバイスは。

「不動産など実物資産の購入を勧める。日本にもインフレリスクは十分ある。史上最大のバブルを経験し不動産投資に抵抗を感じる人も多いと思うが、脱却すべきだ」

 Burton Malkiel 米プリンストン大学名誉教授。米証券会社スミス・バーニーでの勤務を経て、1964年にプリンストン大の博士号を取得。その後に同大の教授陣に加わった。73年に世界的ベストセラー「ウォール街のランダム・ウォーカー」を出版した。全米の累計販売部数は約150万部。出版から50周年に合わせて13版を現在執筆中。

(日本経済新聞)

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