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ファンド、広がる病院支援 ユニゾンや三菱HCキャピタル コロナ機に経営改善 2021/12/14

投資ファンドが病院の経営支援に乗り出す動きが広がってきた。国内系のユニゾン・キャピタル(東京・千代田)は官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)と組み、300億円の特化型ファンドをつくる。三菱HCキャピタルは医療法人から不動産を買い取って「持たざる経営」への転換を支える。外部の力で経営改善を後押しする。

連携と分業促す
ユニゾンは2019年から病院支援に取り組み、5施設に増えた。支援相談が相次いでいることから、主力ファンドとは別に新ファンドを立ち上げることにした。

新ファンドはJICが240億円出資するほか、日揮ホールディングスなどの事業会社も資金を出す見込み。病院や調剤薬局などヘルスケア産業に特化し、中長期的なリスクの取れる準公的マネーをテコに支援先のすそ野を広げる。

今後ヘルスケア産業に投資する場合、700億円を目標に資金調達中の主力ファンドと、新設する特化型ファンドの両方から資金を出す。今後約5年間のヘルスケア産業への投資余力は借入金を含めて最大約1000億円を見込む。

ユニゾンは病院に返済順位の低い劣後ローンを出すほか、経営部門に専門人材を派遣する。

支援先の病院同士の連携を強化するよう促す。大型病院が主に検査や手術といった急性期の医療を、中小病院が入院やリハビリといった回復期の治療を担うよう機能を分担し、患者を相互に紹介する。管理業務の集約や、医薬品や医療機器、医療関連システムの共同購入も始める。

ファンドの資金を活用し、施設内保育所などを整備して看護師などの定着率の向上もめざす。支援先の病院の経営が改善した後、別の医療法人に経営を引き継ぐことで、ファンドとしての収益を確保する。

不動産買い取り
三菱HCは傘下の医療関連ファンド、ヘルスケアマネジメントパートナーズ(HMP、東京・港)を通じ、病院が土地や建物を持たない「アセットライト経営」に切り替える動きを支援する。老朽化した施設を更新する際、建て替え後にファンドが買い取る形式をとることで、病院側の資金負担を減らす。

12月には医療法人最大手の徳洲会グループが運営する札幌市の病院施設を取得した。大手病院が不動産を賃借して経営するのは珍しい。病院は地域に不可欠な施設のため、ファンドは比較的安定した賃料収入が見込める。HMPは取得施設を将来、不動産投資信託(REIT)などに売却して投資資金を回収する。

ファンドを活用した病院支援が広がっているのは、病院が抱える経営課題が増えているためだ。一つが施設の更新で、国内の病院の多くは病床数を規制する1985年の医療法改正前に駆け込みで建てられ、築40年以上たつ。老朽化し、施設の造りが患者のニーズに合わない病院は多いが、資金不足で対応できない施設が目立つ。

病院経営者の後継者不足も深刻だ。日本医師会総合政策研究機構が2019年に病院・診療所の経営者を対象に実施したアンケートによると、後継者候補がいない施設が約半数を占めた。高齢になった院長が医師として働く子どもへの承継を考えていたが、実際に相談したらその意思がなかったという事例は多く、後継者不在率はさらに高い可能性がある。

20年以降は新型コロナウイルスの感染が広がり、感染予防のための投資がかさんだり、患者が通常の受診を控えたりして、病院の収益が悪化している。政府主導の資金繰り支援で倒産は抑えられているものの、今後、借入金の返済が本格化すれば経営に行き詰まる病院が相次ぐ恐れがある。

これまで病院は公的色彩が強いため、労働生産性の向上など経営改善の取り組みが遅れていた。小規模の事業者が散在しており、最大手でも市場シェアは数%とされる。コロナ禍で経営環境が大きく変わるなか、病院経営を見直す機運が高まってきた。

(和田大蔵)

(日本経済新聞)

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