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ファンドに選別の波 欧州CVCなど大手に資金集中 二極化鮮明、業界再編も 2023/09/13

世界の投資ファンドの資金調達で二極化が鮮明になっている。金利上昇の影響で全体の調達額は減少しているが、実績のある大手にはかえって資金が集中し、ファンドの巨大化に拍車がかかっている。今後はファンド間の実力差が広がり、業界再編につながる可能性がある。

欧州大手のCVCキャピタル・パートナーズは7月、プライベートエクイティ(PE=未公開株)ファンドを260億ユーロ(約4兆800億円)で立ち上げたと発表した。旗艦シリーズの9本目で、20年に立ち上げた前号の223億ユーロから拡大した。

CVCは国内では資生堂の日用品事業や、「家庭教師のトライ」運営のトライグループ(東京・千代田)などに投資する。マネージングパートナーのロブ・ルーカス氏は「複数の景気サイクルで一貫して高い運用成績を実現してきたことで、質の高い機関投資家と長期的な関係を築くことができている」とのコメントを出した。

2023年は大型ファンドの設立が相次ぐ。米ブラックストーンは主力の不動産ファンドを304億ドル(約4兆4000億円)で立ち上げた。金額は19年の前号(205億ドル)の1.5倍となった。米クレイトン・ダビリアー&ライス(CD&R)のPEファンドは235億ドルで、21年の前号(160億ドル)から5割増やした。

国内でもアドバンテッジパートナーズが1300億円のPEファンドを設立した。金額は20年の前号(850億円)から5割増やした。投資案件が多く、国内外の機関投資家の引き合いも強かったため、サイズを一気に拡大した。

一方で、ファンドの資金調達活動は全体をみると厳しい。英調査会社プレキンによると、23年1~6月期に資金調達を完了したファンドは世界で1297本と前年同期比45%減った。先行きの不透明感から、機関投資家が流動性の低い未公開資産への投資に慎重になっており、特に実績の乏しいファンドには資金を出しにくくなっている。

資産タイプ別では、金利高の影響を最も受けやすいベンチャーキャピタル(VC)が525本と53%減った。中国を巡る地政学リスクが意識され、地域別ではアジア向けファンドが62%減の181本だった。

同期間のファンドの調達額は28%減の5971億ドル。CVCやブラックストーンのような大手ファンドが下支えしているため、減少率は本数ほど高くない。

ファンドは低金利下でも高いリターンが見込めるとして、運用マネーをひき付けてきた。低金利という成長の土台が崩れたうえ、最近は米証券取引委員会(SEC)による手数料開示ルールなど、ファンドに対する規制論も高まる。優勝劣敗がさらに鮮明になれば、業界再編が進む可能性がある。

ファンド業界は2008年のリーマン・ショック以降、金融界の「勝ち組」とされてきた。大手金融機関に強い金融規制が課される半面、ファンドは規制の枠外で自由に活動できたからだ。もっとも、そうした時代は終わりつつある。ファンドを活用して成長してきた企業側も、資金調達手段の多様化などを迫られる可能性がある。

(和田大蔵)

(日本経済新聞)

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