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ファンドの日本企業買収4割増 低金利と円安で割安感 2023/02/03

日本国内で投資ファンドによるM&A(合併・買収)が増えている。金融情報会社リフィニティブによると、2022年にファンドが買い手となったM&Aの取引総額は約240億ドル(約3兆円)と前年比4割強増え、17年以来5年ぶりの高水準となった。世界全体の金額が4割近く減ったのと対照的だ。低金利でファンドの資金調達コストが抑えられ、円安で日本企業の割安感が増したことが背景にある。

22年のファンドによるM&A総額は、過去最高だった17年の約250億ドルに次ぐ水準だった。17年は米ベインキャピタルなどが東芝から半導体メモリー事業(現キオクシアホールディングス)を約2兆円で買収することで合意し、同年の買収総額の大部分を占めていた。

22年は1兆円超えの取引はなかったが、複数の大型取引が実現した。米KKRは日立物流を6000億円超で買収することで合意。ベインはオリンパスから顕微鏡などの科学事業を4000億円超で買収すると決めた。

アジア系のPAGは旅行大手エイチ・アイ・エスからテーマパークのハウステンボス(長崎県佐世保市)を約1000億円で買収した。いずれも売り手は日本の大手企業で、保有資産の見直しや財務立て直しを進めるなかで大規模な事業売却に踏み切った。

買い手となるファンドは外資系が目立つ。低金利が続く日本では買収資金の借り入れコストが低く、円安でドル換算でみた割安感も強まった。入札時に複数の有力ファンドが参加し、買収額がつり上がるケースも多かった。

22年にファンドが買い手となったM&A件数は約1180件で、過去最高だった21年の約1230件に次ぐ高水準だった。中堅・中小企業のオーナー経営者の高齢化が進み、ファンドが事業承継の受け皿となるケースも増えた。

一方、世界全体では約7900億ドルと4割弱減った。インフレや金利上昇、景気後退懸念を背景に、金融機関がファンドへの融資に消極的になったことが大きい。ファンドが出資だけでなく、ローンも提供して買収資金を工面する事例も目立った。

地域別では、日本を除くアジア・太平洋が約1300億ドルと前年から半減した。地政学リスクの高まりから中国での投資を控えるようになった。北米は3割減の約3500億ドル、欧州・中東・アフリカは3割減の約2700億ドルだった。

23年も世界全体では、新規投資の低迷が続くとの見方が強い。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)でプライベートエクイティ(PE=未公開株)向けサービス責任者を務めるエリック・ジャンソン氏は「金融機関が買収ローンの提供に前向きになるかが重要だ」と指摘する。

日本については楽観的な見方が目立つ。日銀が大規模緩和の修正に動いたものの、他の主要国と比べると借り入れコストは依然として低く、相対的に高いリターンが見込めるためだ。アジア域内で中国に代わる投資先としても注目されている。PwCのジャンソン氏は「日本は複数の要因が重なり、世界的にもユニークな投資先として注目されている」と話した。

(日本経済新聞)

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