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フィンテック、進む優勝劣敗 緩和修正で選別の目厳しく DX支援は堅調 2022/03/03

世界のフィンテック企業に逆風が吹いている。投資家の高い成長期待に業績の伸びが追いついていないためで、株価が半値以下に沈む企業も目立つ。米利上げを警戒したマネーのリスク回避は新規株式公開(IPO)や未上場企業の資金調達に影を落とす。一方、デジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するフィンテック企業の株価は持ちこたえており優勝劣敗も進みつつある。

後払い決済大手の米アファーム・ホールディングスの2021年10~12月期決算は最終赤字が1億6千万ドルだった。売上高は前年同期比77%増えたが、人材採用や広告宣伝費が重荷になった。新型コロナウイルス下のネット通販の普及で後払い決済は拡大したが、ライバルのフィンテックや既存金融機関との競争は激しい。決算発表後に株価は急落し、半年前と比べ半値以下に落ち込んだ。

株価を半年間でみるとフィンテック代表企業である米決済大手ペイパル・ホールディングスの株価は6割下落した。21年夏に上場したスマホ証券の米ロビンフッド・マーケッツの株価も7割安と上場フィンテックの株価は総崩れの状況にある。

もっとも、投資家の成長期待に応えている企業の株価は逆風下でも比較的堅調だ。税務管理ソフトなどを手がける米ブルコラの株価は好調な業績を背景に半年で2割上昇した。銀行や証券会社に資産管理ビジネス向けのデータ分析ソフトを展開する米エンベストネットも21年10~12月期の決算が市場予想を上回り、同6%の下落にとどまる。

世界的な金融緩和の修正を背景に投資家のスタートアップ企業の選別の目が厳しくなった。中長期の成長期待で買われてきたが、金利上昇は将来の利益予想を現在価値に引き直すときの割引率が高まり、企業価値の目減りにつながる。市場環境の変化は、リスクマネーのさらなる流出につながりかねない。

国内でも新規株式公開(IPO)時に上場時の売り出し価格(公開価格)を下回る例が目立つ。21年12月に上場したネットプロテクションズとフィナテキストホールディングスはいずれも公開価格を初値が下回った。足元の株価はそれぞれ上場時の初値から5割安と2割安の水準にある。

米調査会社CBインサイツによると、21年のフィンテック企業への投資額は前年比2.7倍の1315億ドル(約15兆円)と過去最高で、21年末にフィンテック分野で企業価値が10億ドル以上のユニコーン企業は前年比約2倍の235社となった。

ユニコーン企業の約半数が米国企業と、米国中心であるのは変わりないが、南米やアジアなどでも有力なフィンテック企業が誕生している。ブラジルでは21年12月に4000万人超が利用するネット銀行のヌーバンクの持ち株会社が上場した。

ファンドは投資資金をすでに集めているため、スタートアップ投資は大幅には減らないとみられているが、足元の市場環境を踏まえ、上場目前の企業の評価額は厳しくなる公算が大きい。「ダウンラウンド」と呼ばれる企業価値が前回より低下する水準での調達となる企業が増える見込み。

カネ余りを背景とした企業価値の高騰は一服するとしても、金融のデジタル化やキャッシュレス化が進むなかでフィンテック企業が果たす役割は大きい。「割安になった新興株に魅力を感じる」(国内ファンド)との声もあり、下落局面を投資の好機と考える投資家も少なくない。

(フィンテックエディター 佐藤史佳)

(日本経済新聞)

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