金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    Jeff Bezos, president and CEO of Amazon

  • pic

    Former CEO of General Electric, Jack Welch

企業経営最新情報

Latest information on corporate management

ベンチャーキャピタル70社、「麻布台ヒルズ」に集積 2023/10/17

11月下旬に開業する麻布台ヒルズにVCの集積拠点ができる=森ビル提供

森ビルが11月下旬に開業する麻布台ヒルズ(東京・港)に、ベンチャーキャピタル(VC)70社が集積する一大拠点ができる。NTTドコモのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)などが参画する予定だ。ファンド運営のノウハウなどを共有してスタートアップの成長に弾みをつけ、国内外の投資マネーを呼び込む。

麻布台ヒルズは3棟の高層ビルなどで構成する複合施設だ。この一角にVC集積拠点「Tokyo Venture Capital Hub(東京ベンチャーキャピタルハブ)」を設ける。ビル2階分をオフィス区画と共有のワーキングスペース、イベントスペースに充てる。

すでに東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)などVC7社と、日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)が入居を決めていた。新たにNTTドコモ系のNTTドコモ・ベンチャーズと独立系のサムライインキュベート、インキュベイトファンドの3社が本社移転することが判明した。

NTTドコモ・ベンチャーズは「他社と連携を強め、投資先の成長を後押ししていきたい」(安元淳代表)と説明。サムライインキュベートの榊原健太郎代表は「有望企業への協調投資も増えるのでは」とみる。

インキュベイトファンドはスタートアップや投資家を招いたイベント開催に力を入れる考えだ。赤浦徹代表パートナーは「VCが集まってスタートアップの魅力を発信し、海外からの資金流入につながれば」と期待を込める。

麻布台ヒルズを巡っては海外VCの問い合わせも増えている。「投資先企業の日本進出を後押しする拠点にしたい」「日本のVCネットワークに入って投資家を獲得したい」といったニーズが目立つという。

森ビルによると、70社のうちCVCが約50社、独立系VCが約20社となる見通しだ。ファンド運営やスタートアップ育成のノウハウを共有することで相乗効果を見込む。森ビルオフィス事業部企画推進部の飛松健太郎課長は「スタートアップを育てる原動力としたい」と語る。

日本のVCは海外と比べて「質・量ともに小粒」と指摘され、リスクマネーの供給も見劣りしてきた。米調査会社CBインサイツによると、米国のスタートアップの資金調達額は2022年に1984億ドル(29兆5700億円)に達し、中国が465億ドルで続く。日本は43億ドルにとどまる。

こうした状況を改善するため、森ビルがモデルに位置付けるのが米シリコンバレーのサンドヒルロードだ。長さ約2.3キロメートルの大通り沿いに、アンドリーセン・ホロウィッツやセコイア・キャピタルといった巨大VCが立ち並ぶ。

米調査会社クランチベースによると、アンドリーセン・ホロウィッツの累計運用額は22年時点で324億ドル。JVCAなどが5月に実施した調査では日本のVCの運用総額は約3兆3000億円だ。1社で日本全体を上回る規模になる。

資金調達を目指す起業家はサンドヒルロードを訪ね、事業に関心を持ってくれる投資家を効率的に見つけられる。この土壌から対話型AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」を手掛けるオープンAIや民泊仲介大手のエアビーアンドビーなどが育った。

勢いのある若い企業が集まるとエリアの魅力向上やにぎわい創出につながる。成長途上のためオフィスを拡大する需要も旺盛だ。不動産大手にとってスタートアップは重要な顧客で、東京都心には渋谷や日本橋など複数の集積地が生まれている。一方でVCの大規模集積地は珍しい。

潤沢なリスクマネーを元手にスタートアップが事業を拡大し、その成長力に注目した新たなマネーが集まる好循環が回るかどうか。麻布台ヒルズが「日本版サンドヒルロード」の役割を果たせれば、遠く離れた世界の背中が一歩近づく。

(山下美菜子、橋本剛志、新興・中小企業エディター 鈴木健二朗)

(日本経済新聞)

menu