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国際政治経済最新情報

International Political Economy Updates

ペロシ米下院議長、台湾を訪問 中国軍は演習開始 2022/08/02

【台北=龍元秀明、北京=羽田野主】ペロシ米下院議長は2日夜、台北に到着した。米大統領の継承順位2位の要職である下院議長の台湾訪問は25年ぶりで、米国の台湾への強い支持を示す。3日午前に台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談する。

中国は即座に対抗措置に動いた。中国人民解放軍東部戦区は2日夜から、台湾周辺での実弾射撃を含む軍事演習を開始したと発表した。「米国を震え上がらせる」としている。中国メディアによると、ペロシ氏の到着に合わせて空軍の戦闘機スホイ35が台湾海峡を横断した。

中国外務省は声明で「断固とした反対と強烈な抗議を申し入れた」と表明し、台湾当局と米国を非難した。

ペロシ氏は到着後に発表した声明で、「訪台は台湾の民主主義を支援する米国の揺るぎない関与を示すものだ」と強調した。中国を念頭に「米国は一方的な現状変更の試みに反対し続ける」と記した。

台湾の外交部(外務省)は「訪問を心から歓迎する。米国の台湾に対する揺るぎない支持が再確認された」との声明を発表した。呉釗燮・外交部長(外相)が空港でペロシ氏を出迎えた。

台北のランドマークとして知られる超高層ビル「台北101」はペロシ氏の訪台にあわせライトアップされ、「民主主義の友に感謝」「米台友好は永遠」などと歓迎の言葉を表示した。

ペロシ氏の訪台を巡っては、7月28日の米中首脳電話協議で、習近平(シー・ジンピン)国家主席が「火遊びは身を焦がす」と強い表現で警告を発していた。「越えてはならないレッドライン」(王毅国務委員兼外相)と表明してきただけに、習指導部の面目は大きく損なわれた。

ペロシ氏は1日にシンガポール、2日にマレーシアを訪問した。日韓も訪れることは正式に発表したが、台湾について明らかにしてこなかった。

世界の航空機を追跡しているフライトレーダー24によると、ペロシ氏を乗せた米軍機はクアラルンプールを2日午後に出発し、南シナ海を避けてフィリピンの東側を飛行して台湾に向かった。

台湾メディアによると、中国の税関総署が2日までに台湾の一部事業者を対象に水産物や加工食品の輸入を一時停止した。2日夕には、総統府のホームページが域外からのサイバー攻撃を受け、一時閲覧不能になった。

台湾の国防部(国防省)は戦闘機など中国軍の航空機21機が2日、防空識別圏(ADIZ)に侵入したと発表した。6月23日に22機が侵入して以来の規模となる。

(日本経済新聞)

「越えた一線」米中緊迫、ペロシ米下院議長台湾訪問 2022/08/03

【北京=羽田野主】ペロシ米下院議長が台湾を訪問したことで、米中の緊張が一段と高まるのは必至だ。台湾問題は米中間の最重要課題で、中国は米国が「譲れぬ一線」を越えたと受け止める。「内政干渉」との反発を強める中国によるミサイル発射実験などを、米国は警戒する。金融市場も台湾有事への懸念を募らせている。

ロイター通信によると、2日午前、複数の中国軍機が台湾海峡の停戦ライン「中間線」の付近を飛行した。台湾メディアは中国初の空母「遼寧」と初の国産空母「山東」がそれぞれ山東省青島と海南省三亜の基地を離れたと報じた。

台湾海峡を担当する中国人民解放軍東部戦区は1日「陣営を整えて待ち構えている」と題する約2分半の映像を公開した。洋上展開の部隊やミサイルが標的に命中する場面を強調し威嚇した。

中国の習近平(シー・ジンピン)指導部がペロシ氏の訪台に「断固反対」を貫いたのは、台湾問題を最大の「核心的利益」と位置づけているためだ。

習指導部は中国大陸と台湾の統一を政権公約に掲げてきたものの、台湾の民心は離れ、手詰まり感が強まる。下院議長は大統領継承順位2位の要職にある。訪台で、台湾の扱いが「国」に近づけば、指導部の求心力低下につながりかねない。

米国にとっても、超党派で一致する台湾支持の旗を下ろすことはできない。中国の脅しに屈して、訪問を取りやめればバイデン政権の失点につながるだけでなく、中国包囲網の構築を呼びかけている同盟国の疑心も招きかねないためだ。

米下院議長の訪台は1997年以来だ。当時のギングリッチ下院議長は先に北京を訪問し、江沢民(ジアン・ズォーミン)国家主席らと会談したうえで台湾を訪ねた。

ギングリッチ氏は野党だった共和党の指導者で、当時のクリントン政権(民主党)とは対立関係にあった。ペロシ氏はバイデン米大統領と同じ民主党で、中国側は両氏の「結託」の疑念を持つ。

当時は第3次台湾海峡危機の後で、米軍の空母部隊の実力をみせつけられた江指導部には対抗措置をとる選択肢もなかった。世界貿易機関(WTO)加盟を控え、対立激化は得策ではないとの判断もあったとされる。

それから25年が経過し、米中の国力差は大きく縮まった。97年当時の中国の国内総生産(GDP)は米国の1割程度にすぎないが、2021年には7割超まで迫り、背中をとらえている。

ペロシ氏の訪問に先立ち、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は1日、ペロシ氏が訪台すれば「中国が数日間またはそれよりも長期間にわたってさらなる(対抗)措置を講じようとしているようだ」との分析を示した。

具体的なシナリオとして①台湾海峡や台湾周辺へのミサイル発射②台湾の防空識別圏(ADIZ)への大規模侵入③台湾海峡にある中間線の突破④軍事演習の大規模公開⑤経済・外交的措置――を挙げた。

中国の軍事関係筋は「米国本土まで射程に収める大陸間弾道ミサイル発射実験の準備をしている」と明かす。多数の核弾頭を搭載でき、地下サイロから発射できる改良型の「DF5」などが候補になっているという。

米軍は不測の事態に備えている。米海軍協会によると、1日時点で沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」の近くに原子力空母ロナルド・レーガンを中心とする打撃群と強襲揚陸艦2隻を配置。ハワイには原子力空母エーブラハム・リンカーンが控える。

習指導部には米軍との偶発的衝突への警戒心も垣間見える。習氏は7月26、27日に北京市で開いた共産党幹部を集めた重要会議で「台湾海峡の平和と安定を断固として守ってきた」と話した。米国との対決姿勢を徹底的に抑えた演説だった。

習氏は7月31日に人民解放軍発足の95年を祝うイベントにも出席したが、官製メディアは習氏の発言を一切伝えなかった。香港紙の明報は2日「たとえペロシ氏が訪台しても中国の報復措置は米国との全面衝突に至らないだろう」との見方を伝えた。

(日本経済新聞)

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