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ホワイトで勝てますか 社員の意欲、業績動かす 2024/04/03

「ハードワークで勝つまでやる。ワークライフバランスなんて言ってると戦いに負ける」。ニデックの永守重信グローバルグループ代表は断じる。働き方改革関連法の施行から4月で5年、残業の減少など日本企業の働きやすさは高まった。ホワイト企業はモーレツ企業に勝てるのか。

働きがいと両立
日本経済新聞は国内最大級の会社情報の口コミサイトにある社員らの投稿を分析し、上場企業約2300社の労働環境と業績を調べた。投稿は協力先の調査会社が企業ごとに人工知能(AI)で数値化した。

働きやすさは高いが、働きがいは低い企業を「ホワイト」、逆に働きやすさは低いが、働きがいは高い企業を「モーレツ」、両方とも低い企業を「ブラック」と分類。ホワイトにはリコーやカゴメ、モーレツにはニデックや王将フードサービスが入った。

結果はホワイトの負けだった。2022年度までの10年間の売上高の増加(スコア上位100社)はモーレツが年平均6.6%とホワイトを2ポイント上回った。PBR(株価純資産倍率)も同2.5倍とホワイトの2.3倍より高かった。

長時間労働の是正やハラスメントのない職場づくり。働きやすさを高める取り組みは不可欠だ。だがそれだけでは会社も社員も成長しない。この壁を乗り越えるべく企業は次の働き方にシフトし始めた。働きやすさに働きがいも加わった「プラチナ」企業への進化だ。

サイボウズ首位
プラチナはモーレツの上を行く。売上高の増加は7.8%、PBRも3.3倍ある。社員のやる気が高まると、ハードワークを強いなくても生産性が上がり、業績も向上することが明らかだ。

「働きやすさは当たり前。働きがいも高めることが会社と社員の成長になる」。プラチナの代表がソフト開発のサイボウズだ。メルカリや味の素など全体の2割しかないプラチナの中でスコアが首位だった。中根弓佳執行役員は手応えを語る。

離職率が3割に達した20年前のどん底時代がうそのようだ。鍵はホワイト化だけではない改革にある。まず典型的なモーレツ企業として常態化していた長時間残業を減らした。勤務場所や時間も選択制にして働きやすさを高めた。その上で15年ごろから働きがいの向上に集中して取り組んだ。

取締役候補は社員の投票で決める。社長らの経営会議も全社員が視聴でき、意見や賛否を伝えられる。希望の仕事があれば「体験入部」と称して他部署に行き、将来の異動に生かせる。意思決定を透明化し自律的なキャリア形成にもつなげることで働きがいを高めた。

離職率は23年度に3%まで持ち直した。転職の多いIT(情報技術)系としては際だった低さだ。業績もついてきている。23年度の純利益は過去最高になった。

法政大学の山田久教授の協力を得て試算したところ60歳以上の離職者は30年に307万人となり、全世代の新規入職者(293万人)を初めて上回る。限られた人材で競争力を高めることになり、働き方の重みがさらに増す。さらばホワイト。次の成長を働き方のモードチェンジが握る。

(日本経済新聞)

やりがいと働きやすさ両立 「プラチナ」企業の上位は?モードチェンジ 2024/04/03

頑張れば豊かになれる――。その希望がモーレツ企業で昼夜問わず働く社員の「働きがい」だった。この昭和的発想は平成の世に変質。「働きやすさ」を尊重するホワイト企業に脚光が当たる。その副作用か、企業と社員の関係は淡泊になってきた。令和の現在、働きがいと働きやすさを両立した「プラチナ」への進化が求められている。

「焼肉きんぐ」など約700店の飲食店を運営する物語コーポレーションは、働きがいを軸に組織を発展させてきた。同社は働きがいが高い一方、働きやすさは低い「モーレツ」に分類される。日本経済新聞社が国内最大級の会社情報の口コミサイトにある社員らの投稿を分析し、上場企業約2300社の労働環境と業績を調べた結果だ。

2023年7月、物語コーポレーションは社員の成長を促す仕組みを導入。店長など役職に必要なスキルを細かく分類して、熟達度を可視化した。能力に応じた役職や報酬で社員に報い、仕事のやりがいを醸成する。横浜任執行役員は「意欲のある社員が活躍できるよう、一人ひとりが自分の力を発揮できる環境をつくっていく」と話す。

仕事のモチベーション向上を重視するモーレツと、安心して快適に働ける職場づくりに注力するホワイト。どちらも掲げる理念に誤りはない。口コミサイトの分析でも働きがいに関する項目ではモーレツに対する好意的な意見が散見された。

例えば、モーレツ企業には「若手のチャンスの多さ」「挑戦を奨励する風土」などの長所がある。しかし働きやすさに関する項目は「残業」や「過労」などワーク・ライフ・バランスの悪さを示す言葉が上位に並んだ。

今日の企業が目指すべき方向はこの調査から透けて見える。働きがいを持って仕事に臨む社員を組織に定着させる働きやすさの掛け算こそが持続的な成長を実現する。モーレツとホワイトは「移行期」。それぞれの不足を補い、プラチナへの脱皮を果たす必要がある。

創業26年で連結売上高が1兆円を突破するなど急成長を遂げたオープンハウスグループもプラチナを目指す一社だ。

成長の原動力はモーレツな社風だ。木曜日の全社朝礼は社長も出席し、各事業部から実績が報告される。会社目標を全社員に共有することで経営への参画意識を植え付ける。人事部の山根正義課長は「やる気があり、結果を出した人が評価される」と表現する。

「結婚や出産を見据え、20代で管理職になりたかった。男女関係なく平等に評価されるので良い環境だ」。10年に入社した小山内悠子さん(36)はこう話す。実際、27歳で課長に就任した。正しい実力主義は社員の達成感を高め、企業成長のドライバーとなり得る。

ただ、オープンハウスグループの平均勤続年数は23年9月期で男性3.99年、女性2.55年で、日本全体の12.3年(厚生労働省、22年の男女計)と比べて短い。働きやすさとのバランス調整が目下の課題だ。近年では最短2時間からの時短勤務制度の実施や、生理休暇取得の促進など働きやすさを高める制度を充実させている。

人材コンサルティングの米コーン・フェリーがグローバル企業585社(うち日本企業85社)を対象に実施した23年度の調査では「働きがいを感じる」割合は世界平均で71%だった。日本は12ポイント低い59%となった。

働きがいと働きやすさの両立は難しい。プラチナ化は一部の先進的な企業にとどまる。ただ、コーン・フェリー担当者は「日本企業の『働きがい』は連続的な低下傾向にあったが、改善の兆しがみられる」と分析する。

社員が自ら動き、成長できる職場環境づくりは企業の永続的な成長に不可欠だ。モーレツとホワイトからの進化が日本企業の「伸びしろ」と捉えれば、見える景色も変わってくる。

(日本経済新聞)

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