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国際政治経済最新情報

International Political Economy Updates

マクロン仏大統領再選 欧米、対ロ結束維持 物価高、各国に波乱の芽 2022/04/26

再選を決め勝利演説の会場に登場したマクロン大統領(24日、パリ)=ロイター

【パリ=竹内康雄】フランス大統領選の決選投票は24日投開票され、現職のマクロン大統領が勝利した。国際協調を重視する同氏の再選で、ロシアのウクライナ侵攻に直面する西側陣営には結束維持の安堵が広がるが、敗れた極右国民連合、ルペン氏のポピュリズム(大衆迎合主義、総合2面きょうのことば)的な物価対策は多くの仏有権者の心をつかんだ。インフレ対策は各国共通の課題だ。ロシアや中国と対峙し、自由主義を守るため難しい経済政策運営を強いられる。

「多く(の有権者)が、今後5年のフランスを導くために私を選んでくれた」。24日夜、勝利宣言したマクロン氏は支持者に語りかけた。マクロン氏の再選が伝わると、バイデン米大統領、ショルツ独首相、欧州連合(EU)のミシェル大統領らが相次ぎ祝意を伝えた。

マクロン氏は西側の結束を重視し、親EU路線を継続する構えだ。西側諸国が協調して、ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの圧力を一段と強める。

フランス国民がマクロン氏を広範に支持したとは言いがたい。マクロン氏とルペン氏は2017年の前回選挙でも争った。仏内務省によると、今回マクロン氏の得票率は59%でルペン氏は41%。その差は前回に比べ、半分近くになった。

仏有権者はロシアによるウクライナ侵攻そのものではなく、家計の「購買力」を最大の関心事として挙げた。ルペン氏は財源の裏付けが乏しい大幅減税などの公約で支持を広げた。

物価の高騰に不満を持つのはフランス国民だけではない。英国では4月に当局が定めるエネルギー価格の上限が5割上昇。世論調査で政府のインフレ対応を「悪い」とした回答は74%に達した。

米国でもインフレに有権者は不満を募らせる。米キニピアック大が3月下旬に実施した世論調査では、ガソリン価格高騰の理由として回答者の41%が「バイデン政権の経済政策」を挙げた。

大統領支持率は40%台前半と21年1月の政権発足後の最低水準だ。就任1年後の支持率は、戦後の歴代米大統領のなかでトランプ前大統領に次ぐ低さだった。

日本経済新聞社とテレビ東京の22~24日の世論調査によると、物価高への日本政府・与党の対応は「評価しない」が51%で「評価する」の36%を上回った。

生活水準低下への不満や現状への閉塞感はポピュリズムの台頭を招きかねない。英仏日では5、6月、夏にそれぞれ地方選、国民議会(下院)選、参院選が迫る。米国では11月に中間選挙が控える。ロシアへの経済制裁でエネルギーコストはさらに上がった。ルペン氏の「善戦」は自由主義陣営に難題を突きつけている。

(日本経済新聞)

欧州揺らす仏社会の分断 大統領選、埋まらぬ格差   エリート・非エリート 首都と地方 2022/04/26

24日のフランス大統領選の決選投票で現職マクロン氏の再選が決まり、世界は安堵した。だがリスクが消えたわけではない。極右台頭の要因となった社会の分断は構造問題としてフランスに横たわり、欧州政治を揺さぶり続ける。(1面参照)

物価高への不満をすくいとり、一時はマクロン氏に迫った極右ルペン氏。くすぶる不満が膨らんだのは「自由、平等、博愛」を掲げるにもかかわらず、2つの格差を長年にわたって放置してきたからだ。

1つ目は教育格差。フランスではエリート養成校グランゼコールの出身者が社会を仕切る。「エリート・非エリート」はそのまま「勝ち組・負け組」につながる。

2つ目は地域格差。中央集権的な国家構造のもとで疲弊した地方が「首都パリに見捨てられた」との思いを強くした。

過去に何度も解消策が浮かんだが、功を奏していない。「ルペン氏は大統領選で負けたとはいえ今後も侮れない人気を保つ」。取材に応じたマクロン氏の中道政党・共和国前進のガトレン上院議員は警戒する。

実は「エリートと非エリート」「首都と地方」という2つの対立構図は欧州に点在し、いずれも大衆迎合主義(ポピュリズム)の遠因となった。

階級社会が残り、首都ロンドンと地方の格差が著しい英国は欧州連合(EU)から離脱。ハンガリーでは地方票に支えられた強権的なオルバン首相が議会選を制した。

今後の関門は南北の地域格差が大きいイタリア。2023年予定の議会選では放漫財政と移民排斥を訴える極右勢力が支持を集め、小康状態の信用不安がぶり返す恐れがある。

強権国家と民主主義陣営の対立が深まるなか、欧州における社会の分断を放置すれば、民主主義陣営の結束が危うくなる。今回のフランス大統領選はその警鐘である。

(欧州総局長 赤川省吾)

(日本経済新聞)

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