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国際政治経済最新情報

International Political Economy Updates

マハティール氏、政界から引退へ マレーシア総選挙で落選 2022/11/21

【クアラルンプール=中野貴司】19日投開票のマレーシア連邦議会下院選(定数222)で、97歳のマハティール元首相が落選した。最大議席を獲得した野党・希望連盟などとの共闘に失敗し、若年層の支持も得られなかったのが主因だ。通算で約24年間首相を務め、国内外に強い影響力を発揮した大物政治家は、議員生活に終止符が打たれる見通しだ。

「政治家としてまだ終えていない仕事がある。ランカウイに発展をもたらしたい」。投票日2日前の17日午後10時、マレーシア北部、ランカウイ島の小集落で、マハティール氏は集まった200人近くの住民に切々と語りかけていた。

立ったままの演説は40分間に及んだ。その日の昼には気温30度を超す炎天下ながら、支持者宅を回った。投票前日の18日も最後の演説を終えたのは午後10時40分。最高齢の候補者は、そこまで追い詰められていた。

選挙管理委員会の発表によると、マハティール氏は出馬したランカウイ選挙区で、得票数が5人中4位だった。自身が8月に結成した政治集団も小選挙区の半数以上に候補者を立てたが、議席を得られなかった。

惨敗した理由はまず、他の政党との共闘態勢を構築できなかったことだ。マハティール氏は与党・国民戦線の汚職体質への批判に的を絞り、イスマイルサブリ政権の批判票の受け皿になろうとした。

しかし、現政権に批判的な華人系やインド系の有権者の票はアンワル元副首相が率いる希望連盟に、人口の7割を占めるマレー系の有権者の票はムヒディン前首相の国民同盟に流れた。

アンワル氏、ムヒディン氏とも2018年の前回総選挙の時はマハティール氏と共闘し、お互いの力を結集したことが歴史的な政権交代につながった。今回、マハティール氏は孤立し、組織力や資金力に勝る他党に歯が立たなかった。

もう一つの敗因は、有権者の約半数を占めるミレニアル世代やZ世代の支持を得られなかったことだ。

北部ペナン州に住むカウンセラーのチョン・チュンケオンさん(30)は「マハティール氏のビジョンには敬意を表するが、政敵を追いやる彼の政治手法は嫌いだ」と話す。そのうえで「私たちの世代が直面する経済課題や気候変動問題を理解する政治家を望んでいる」と訴えた。

各社の世論調査結果から、厳しい結果になることは予想していたのだろう。17日のインタビューでは、仮に落選した場合は「引退する。人々がもはや私を必要としなくなった以上、政治に関わりたくない」と答えた。15分間のインタビュー中、終始厳しい表情だった。

マハティール氏は1981年から22年にわたり首相を務め、日本の先行発展に学ぶ「ルックイースト政策」を導入した。2018年の総選挙で首相に復帰したが、20年に辞任した。

マレーシアの高度経済成長を実現し、先進国の一歩手前まで押し上げたマハティール氏の実績については、誰もが認めるところだ。ただ、有権者は時代に合った新たなリーダーを常に求める。東南アジア政治を代表する巨人も、時代の流れには勝てなかった。

(日本経済新聞)

マレーシア総選挙、与野党とも過半数ならず 連立政権樹立へ交渉開始 2022/11/21

【クアラルンプール=中野貴司】19日投開票されたマレーシア連邦議会下院選(定数222、任期5年)は野党連合の希望連盟が最大の82議席を獲得した。解散前に連立政権の一角を占めていた国民同盟が73議席で続いた。どの政党も単独では過半数を獲得できず、主要各政党は20日、連立政権樹立に向け活発な交渉を続けた。

選挙管理委員会の発表によると、アンワル元副首相が率いる希望連盟が82議席、ムヒディン前首相がトップの国民同盟が73議席、イスマイルサブリ首相が所属する国民戦線が30議席、ボルネオ島の地域政党のサラワク政党連合が22議席、サバ人民連合が6議席を獲得した。マハティール元首相の祖国運動は1議席も獲得できず、マハティール氏自身も大差で落選した。222議席のうち2議席は投票日直前の候補者の死去などによって仕切り直しになり、すぐには結果が確定しない。

マレーシア王室は20日の声明で、過半数の確保に成功した政党連合は首相候補者名を、21日午後2時(日本時間午後3時)までに提出するよう求めた。マレーシア憲法は「国王が下院議員の過半数の信任を得ていると判断した議員を首相に任命する」と定めている。

国民同盟のムヒディン氏は20日夕の声明で、サラワク政党連合やサバ人民連合のトップと同日に会い、連立政権の樹立で合意したと主張した。サラワク政党連合は国民戦線も新政権に加わると説明している。仮に4政党が最終合意すれば、合計の議席数は131となり、過半数に達する。ムヒディン氏が首相候補となる方向で、解散前のイスマイルサブリ連立政権の枠組みに近い組み合わせになる。

ムヒディン氏はマハティール氏の辞任を受け、20年3月に首相に就任した。新型コロナウイルス対策を指揮したが、連立政権内の不協和音によって政権維持が困難になり、21年8月に辞任していた。国王から過半数の支持を得ていると認められれば、1年3カ月で首相に復帰することになる。

一方、希望連盟も国民戦線を切り崩すなどして、必死の巻き返しに動いているもようだ。アンワル氏は国民戦線トップのザヒド元副首相と近いとされている。希望連盟はマニフェスト(政権公約)で、副首相ポストの1つをボルネオ島の政党に割り当てる方針を示しており、21日午後2時の期限まで地域政党に翻意するよう働きかけを続けるとみられる。

前回18年の総選挙では、希望連盟が過半数の議席を獲得し、当時希望連盟に加わっていたマハティール氏が首相に就任した。しかし、20年2月に内紛によってマハティール政権が崩壊し、それ以降2度にわたり首相が交代する不安定な政治状態が続いていた。どのような枠組みで落ち着くにせよ、新たな連立政権が安定した運営を維持できるかが焦点となる。

(日本経済新聞)

〈アジアの未来〉マハティール氏「ルックイースト強化を」日本の大学誘致唱える 2022/05/28

マレーシアのマハティール元首相(96)は日本経済新聞の27日のインタビューで、「(日本をモデルとする)ルックイースト(東方)政策をマレーシアはさらに強化する必要がある」と述べた。ミャンマーのクーデターなど後退も目立つ東南アジアの民主主義に関しては「いまだ政治体制に深く根付くまで成長していない」として、定着には時間がかかるとの認識を示した。

マハティール氏は最初の首相在任中の1982年、ルックイースト政策を導入。三菱自動車の協力を得て国民車メーカー、プロトンを設立するなど国内産業発展のテコにした。導入から既に40年がたつが、マハティール氏は「依然適切な政策だ」と話し、具体的な強化策として「日本の大学の誘致」を挙げた。

その理由として「日本語で教育を受けた人材が国内に多くいれば、日本から投資を受ける恩恵がさらに大きくなる」と説明した。「貧しい国の学生がコストの安いマレーシアで日本の教育を受けることができる」とも指摘し、マレーシアだけでなく周辺の新興国にも利点があると力説した。マレーシアへの海外分校設置は筑波大が検討している。

マハティール氏は2018年の総選挙で政権交代を実現し、首相に復帰したが、その後の政局の混乱で20年に辞任に追い込まれた。現在は統一マレー国民組織(UMNO)のイスマイルサブリ首相が政権を担っている。

マハティール氏はマレーシアや、国軍色が強い政権が続くタイを例に挙げ「東南アジアにはまだ民主主義が深く組み込まれていない」と話した。「欧州でも民主主義が受け入れられ、機能するまでに長い時間を要した」とも述べ、東南アジアの民主主義はなお発展途上段階にあると主張した。

フィリピンでは独裁を敷いた故マルコス元大統領の長男のフェルディナンド・マルコス氏がSNS(交流サイト)を活用して大統領選で圧勝し、ポピュリズムの危うさが指摘されている。マハティール氏は「マレーシアのナジブ元首相は国民から愛された首相だった父と異なり、悪事を犯した。しかし、マルコス氏は父の過ちから学ぶ逆の例になるかもしれない」と述べ、就任後の政権運営を見極める姿勢を示した。

マハティール氏は現在の世界情勢について「気候変動問題という自然の危機に加えて、新型コロナウイルスやウクライナ問題といった危機が積み重なっている」として、同氏が経験した中でも最大の危機にあると語った。バイデン米政権はトランプ前政権と同様に、中国に厳しい対応を取っており、米中の覇権争いは今後も続くとの認識を示した。

マハティール氏は21年12月以降、3度入院し、一時は健康状態が懸念された。27日に講演した第27回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)では「入院中は人生の終わりを意識したが、回復し、今は政治活動に再び携わっている」と健在ぶりをアピールした。次の総選挙での出馬については「今は話せない」と明言を避けた。

(聞き手は中野貴司)

(日本経済新聞)

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