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ミドルの転職、5年で2倍 50歳未満で収入増 2022/04/17

中高年の転職が活発になっている。41歳以上の転職者数は2020年度までの5年間で2倍に増え、若い年代より伸び率が大きい。新型コロナウイルス禍をへて企業が新たな成長事業の立ち上げを急ぐなか、経験が豊富な人材への需要が高まっている。即戦力となる中高年の流動化が進めば経済の活性化につながる。

東京都内に住む男性(44)は昨年、19年間勤めた大手出版社を退職した。デジタル関連の新規事業を担当していたが大企業の組織では自由に動けない不満があった。

一念発起しアプリ開発の企業に転職した。事業拡大中のスタートアップでベテランの実務経験を求めており、給与は前職と同水準を提示された。初めての転職だったものの「やりたい仕事ができて満足」という。

国内の転職は「35歳が限界」といわれてきた。年功序列的な要素が強い国内企業では、後から加わった中高年の活躍の場が限られるからだ。

しかし常識は変わり始めた。日本人材紹介事業協会がまとめる大手3社の紹介実績をみると、20年度には41歳以上の転職者数が約1万人と5年前の1.9倍に増えた。20~30代も増加しているが伸び率は41歳以上が最も大きい。41歳以上の内訳は40代と50代が大半を占めるとみられる。

中高年に特化した人材紹介サービスのシニアジョブ(東京・新宿)でも、21年末の登録者数が6万1500人と19年比で2.7倍に増えている。

背景には企業のリストラがある。東京商工リサーチによると早期退職や希望退職の募集を開示した上場企業数は21年に84社あった。69社は募集人数も公表しており計1万5892人にのぼる。

転職サイトでは退職を募った企業の社員の登録が増える。エン・ジャパンでは日本たばこ産業(JT)の出身者の登録が18年の3.1倍、青山商事は3.7倍になった。

リストラが増えても失業率の上昇は目立たない。企業の新規事業部門やスタートアップなどが採用に積極的だからだ。エン・ジャパンの井用崇之ミドルグループマネージャーは「成長企業や変革が必要な企業が中高年を求める」と分析する。

人工知能(AI)を活用した英語教材を手がけるGlobee(グロービー、東京・港)の幾嶋研三郎社長は「当社は若い社員が多い。豊かな経験を生かして自ら手を動かすミドル世代は魅力がある」と話す。

中高年への追い風は賃金にも表れる。国の調査では転職後に賃金が上がった人の割合から減った人の割合を引いた値は45~49歳で9.7ポイント。10年前はマイナス8.5ポイントと減る人の方が多かった。賃金アップの見込める年齢の境目が底上げされてきたことが中高年の転職の背中を押す。

もっとも50歳代はまだ厳しさがある。自動車販売会社に勤める男性(58)は「60歳の定年を迎える前に新しい仕事を始めたい」と4月末の退社を決めたが、まだ希望に沿う転職先は見つかっていない。転職後の賃金の調査では50~54歳はマイナス5ポイントと下がる人の方が多く、55~59歳はマイナスが20ポイントを超える。年齢の壁があるのが実態だ。

職種間の待遇格差も広がっている。フロッグ(東京・千代田)が「リクナビNEXT」など8つの求人サイトの募集時の給与情報をもとに年収を算出したところ、エンジニアの年収は3年前と比べ12%、データサイエンティストは10%上がる一方、飲食や介護は上昇幅が3%にとどまる。

終身雇用や年功序列の慣習が崩れ、転職の選択肢はますます一般的になる。働き手にとっては年齢に縛られずリスキリング(学び直し)の機会を持てるかが重要になる。コロナ後の経済回復に向けて働く人が自らの価値を高めて活躍の場を得られるようにする環境の整備が欠かせない。

(鈴木洋介、グラフィックス 貝瀬周平)

(日本経済新聞)

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