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メタバース、次の主戦場に 巨大ITが狙う「100兆円市場」 エヌビディアも参戦 2021/11/25

仮想空間「メタバース」の開発競争が熱を帯びてきた。100兆円規模に膨らむと期待される新市場には、米エヌビディアや米マイクロソフトが本腰を入れて参戦し、インターネットや人工知能(AI)を制した巨大テック企業の新たな主戦場になっている。事業開拓が進む一方、期待通りに市場が拡大するには課題も多い。

「仮想空間の広さは現実世界を超える規模に膨らむ」。9日のイベントで、エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)はこう強調した。同社はGPU(画像処理半導体)を武器に、主要市場をゲームからAIに変遷させてきた。次に狙いを定めたのがメタバースだ。

同社はメタバースを制作するためのツールを提供する。すでに独シーメンス・エナジーやスウェーデンのエリクソンがエヌビディアとメタバースを構築している。インターネットの登場で個人や企業がホームページを持ち、利用者は自由に移動している。今後は独自のメタバースづくりが進み、利用者はメタバース間を往来するとみる。

メタバースは「メタ(高次元の)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語。自分好みのアバター(分身)で交流したり、音楽ライブを鑑賞したりする新しい消費空間になる。遠く離れた従業員が共同作業するバーチャルオフィスにもなる。ゴーグル型の仮想現実(VR)機器やスマートフォンで利用する。

「フェイスブックはメタバース企業になる」。メタバースを一躍有名にしたのは米メタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグCEOによる「メタバース宣言」だ。2021年だけでメタバースに100億ドル(約1兆1000億円)を投資し、欧州では5年間で1万人を採用して事業を推進する。

22年からチームズにアバターでも参加できる
テック企業はこぞって触手を伸ばす。マイクロソフトはチャットアプリ「チームズ」に仮想空間で会議などができる機能を22年に加える。「メタバースは1990年代初期のネットとよく似ている」とサティア・ナデラCEOも期待をかける。

米クアルコムは半導体セットをメタ子会社のVR機器向けに売り込む。「メタバースへの入場券になる」(クリスチャーノ・アモンCEO)。米ウォルト・ディズニーも参入に意欲を示した。

メタバースの一つ「ディセントラランド」は購入した「土地」に建物を自由に建てられる。既に多くの企業が進出し、美術館やカジノを運営。アバター服のデザイナーやデジタル建築の設計士など新しい職業も生まれている。歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんらを輩出するアソビシステム(東京・渋谷)も拠点づくりを進める。「将来はメタバースから若者のトレンドが生まれるかもしれない」(中川悠介社長)

メタバースには、10年代に進化したデジタル技術やサービスの知見が集まる。土台にあるのはVRで培った技術だ。米エピックゲームズの「アンリアルエンジン」などCG(コンピューターグラフィックス)の制作ツールも充実し、クリエーターなどを呼び込む。

メタバース経済圏には、ブロックチェーン(分散型台帳)も不可欠だ。作者や権利の移転情報を記録してコンテンツを唯一無二だと証明する「NFT(非代替性トークン)」なら、デジタルアイテムの流通量を制限したり、取引履歴を容易に残したりできる。

SNS(交流サイト)の普及に加え、コロナ下の外出抑制もデジタル空間の交流を促した。「メタバースはSNSの延長だ。日常生活で使うサービスになる」(グリーの荒木英士取締役)

カナダの調査会社エマージェン・リサーチは20年の477億ドル(約5兆5千億円)から年平均43%で伸び、28年に8290億ドル(約95兆円)まで膨らむと予測。VRなどのハードに加え、仮想空間上のアイテム購入や電子商取引(EC)、音楽ライブなど娯楽・サービスも市場をけん引する。

熱狂を象徴するのが仮想空間上の「土地」の急激な値上がりだ。今年6月にディセントラランドの土地が91万ドル(約1億円)で取引され、話題を呼んだ。

仮想空間サービスでは00年代半ばに流行した米リンデンラボの「セカンドライフ」が有名だ。仮想空間の土地売買などは最近のメタバースとも共通する。ただ、当時としてはパソコンに求められる性能が高かったり、金銭を巡るトラブルも起きたりして、利用者数が思うように伸びなかった。

企業が続々と進出し、投資を呼び込むバブルのようなメタバースの現状は当時と似ており、先行する期待に見合う成長を示していく必要がある。

(日本経済新聞)

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