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メタCOO交代、「転換巧者」退任が映すウェブの転機 2022/06/02

サンドバーグ氏は広告を組み合わせることでSNS(交流サイト)を高収益事業に育てた立役者だ

【シリコンバレー=奥平和行】米メタ(旧フェイスブック)のシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO、52)が退任する。広告を組み合わせることでSNS(交流サイト)を高収益事業に育てた立役者だが、個人情報を使う事業モデルへの逆風は強まるばかりだ。パソコンからスマートフォンへの移行など技術転換の荒波を乗り越えて事業を入れ替えてきた同氏の退任は、一大産業となったウェブの転機も映し出している。
「ひとつの時代の終わりだ」――。メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は1日、サンドバーグ氏が今秋に退任することを受けてフェイスブックにこう書き込んだ。2008年、23歳のときに迎え入れたサンドバーグ氏について「広告事業を設計し、会社の運営方法を教えてくれた」と述べた。
米ハーバード大学の寮の一室で04年に誕生したフェイスブックは誰でも世界に情報を発信できる基盤となり、ウェブの新時代を開いた。当初は収益性が乏しかったものの、米グーグル出身のサンドバーグ氏がSNSの利用履歴を活用した効率が高い広告配信システムを組み合わせて高収益企業に育てた経緯がある。

21年12月期の売上高は1179億ドル(約15兆3000億円)に達し、デジタル広告の分野でグーグルに次ぐ世界2位へと駆け上がった。急成長と軌を一にしてサンドバーグ氏も米シリコンバレーを代表する女性経営者として存在感を高め、経営者の枠を超えた影響力を及ぼすようになった。
「スマホの利用者増加は追い風になる」。上場直後の12年、最大の課題だったスマホでの収益化についてサンドバーグ氏に尋ねると即答した。当時、スマホを通じたウェブ利用が急増していたが、フェイスブックの広告はパソコン向けのみ。投資家もスマホでの弱さを懸念し株価が急落した。
サンドバーグ氏は製品開発を担うザッカーバーグ氏との二人三脚でスマホのアプリを広告媒体として活用することを成功させ、不安を一掃する。動画や写真などを24時間だけ共有できるサービスも広告による収益化を実現し、米国みずほ証券のジェームズ・リー氏は「大きな転換を成し遂げてきた」と評価する。
だが、ウェブはサンドバーグ氏がフェイスブックの高収益化を主導した過去10年あまりを上回る変化に直面しているとの指摘がある。スマホの成長が鈍化する一方、世界各地で独占・寡占への警戒が強まっている。官民ともにプライバシー保護規制を強化し、メタの1~3月期の売上高は前年同期比増加率が上場以来最低となる7%まで低下した。
グーグルのスンダー・ピチャイCEOが「もはやテクノロジーは規制産業だ」と語るなど、ウェブを主戦場としてきた企業はかつてない変化に身構える。
事業環境が大きく変わるなか、米巨大IT(情報技術)企業の間では世代交代により変化を乗り越えようとする動きが目立つ。グーグルは親会社の米アルファベットも含めてピチャイ氏への権力移譲を進め、アマゾン・ドット・コムも創業者のジェフ・ベゾス氏が21年に会長に退いた。
創業世代が取締役や大株主として影響力を残す例が多いものの権力の分散が進む傾向が強い。一方、メタはサンドバーグ氏の退任を機に人事部門をザッカーバーグ氏の直下に移すなど創業者で会長も兼務する同氏への権力集中をさらに進める。
IT産業はメタも注力する仮想空間「メタバース」やブロックチェーン(分散型台帳)などの技術を活用したサービスを提供する企業が相次ぎ誕生し、景気後退の懸念が強まっても資金の流入が続く。新体制で広告事業の立て直しとメタバースの構築を含むウェブの新章に挑むことになる。

(日本経済新聞)

メタ、サンドバーグCOO退任 巨大SNS企業の経営転機に 2022/06/02

【シリコンバレー=奥平和行】米メタは1日、シェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)が今秋に退任すると発表した。サンドバーグ氏は2008年に当時のフェイスブックに入社し、同社をインターネット広告の有力企業に育てた。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が製品開発、サンドバーグ氏が事業を担ってきた巨大SNS(交流サイト)企業の経営は転機を迎える。
サンドバーグ氏がSNSのフェイスブックで発表した。退任の直接の理由に触れていないものの、「COO就任時は5年の任期を考えていた」と説明した。今後は女性支援など以前から力を入れていた慈善活動に注力する考えを示した。メタの取締役は継続する。
ザッカーバーグ氏も同日、サンドバーグ氏の退任について説明し、同氏が広告事業の立ち上げや主要人材の採用で大きな役割を果たしたと謝意を示した。新たなCOOに最高成長責任者としてマーケティングなどを担当してきたハビエル・オリバン副社長を起用するなど、サンドバーグ氏の退任を機に経営体制を見直す。
サンドバーグ氏は米クリントン政権で財務長官首席補佐官を務め、米グーグル副社長などを経て08年に旧フェイスブックに転じた。当時、23歳だったザッカーバーグ氏を支え、技術志向が強い同氏が製品開発を主導する一方、広告を柱とする事業面をサンドバーグ氏が受け持つ役割分担を築いた。
旧フェイスブックは多数の利用者を抱える一方、収益力の低さが指摘されてきた。サンドバーグ氏はグーグルでの経験も生かし、ネット広告の有力企業へと育てた。SNSの利用履歴を分析することにより一人ひとりに合わせた広告を配信する技術を磨き上げ、広告予算の乏しい中小企業や商店も取り込んだ。
一連の取り組みが奏功し、同社はネット広告で業界最大手のグーグルに次ぐ世界シェアを確保した。一方、個人情報の管理が甘いと批判を浴び、特に16年の米大統領選の際に個人情報が不適切に利用された事件は世界的な問題に発展した。消費者のプライバシーへの意識も高まり、欧州連合(EU)などが保護規制を強める結果を招いた。
足元では米アップルがスマートフォンでプライバシー保護策を強化したことが逆風となり広告事業の成長が鈍化している。また、中国発の動画共有アプリ、TikTok(ティックトック)との競争も厳しい。メタは足元の逆風に対応しながら臨場感が高い仮想空間、メタバース関連への投資を増やす方針で、新体制は守りと攻めのバランスを問われることになる。

(日本経済新聞)

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