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モルガン・スタンレーCEO「1年内退任」三菱UFJとの連携次代へ 2023/05/21

米銀大手モルガン・スタンレーのジェームス・ゴーマン最高経営責任者(CEO)が19日、今後12カ月以内に退任する意向を発表した。2010年からCEOを務めるゴーマン氏は、モルガンに約22%出資する三菱UFJフィナンシャル・グループとの関係強化に尽力した。三菱UFJは20年から亀澤宏規氏がCEOだ。日米大手の連携は次世代に引き継がれる。


ゴーマンCEO

ゴーマン氏は同日の株主総会で退任意向を伝え、取締役会がすでに次期CEO候補として社内の3人に絞り込んだことも明らかにした。法人・機関投資家向け証券業務統括のテッド・ピック共同社長らの名前が挙がる。

「トップになるなら国際会議で発信できないといけない」。モルガンの取締役会で数年前、繰り返しこう助言した人がいた。三菱UFJ銀行の平野信行現特別顧問だ。三菱UFJが2人派遣する取締役の一人として、通算9年弱にわたりモルガンの経営に携わった。

平野氏の助言もあり、次期CEO候補の一人、ピック氏は、国際金融協会(IIF)のボードメンバーにモルガン代表として入ることになった。

モルガンはゴーマン氏の旗振りのもと、投資銀行主体の事業構造を変革した。富裕層向けのウェルスマネジメント業務を拡大し、同部門は利益の6割超を占める。ゴーマン氏がCEOに就任した10年1月以降、時価総額は3.7倍になった。

08年秋のリーマン・ショック時、経営危機に陥ったモルガンに、三菱UFJが90億ドルという巨額出資で救済の手を差し伸べた。金融業界で最も成功したディール(取引)の一つと評価される。

両社の関係は13~19年に三菱UFJの社長(15年から兼グループCEO)を務めた平野氏抜きでは語れない。若手時代にはモルガンでトレーニーとしての経験を積んだ。08年の出資時に交渉の中核メンバーだった。出資後はモルガンの取締役や三菱UFJのトップとしてゴーマン氏と親密な関係を築いた。

平野氏は19年に三菱UFJのCEOを三毛兼承現会長に譲り、20年からは亀澤氏がCEOを務める。平野氏は22年5月にモルガン取締役も退いた。三菱UFJは平野氏がいなくても、組織的にモルガンと関係を築いていける体制を整えてきた。

三菱UFJにとってゴーマン氏の後継者との関係作りの鍵を握るのは亀澤氏だ。「ジェームスが亀澤氏を立ててくれたので、平野氏から非常に円滑に移行ができた」。三菱UFJ幹部は、亀澤氏が21年にモルガン取締役に就いた後の様子をこう語る。亀澤氏はモルガンの取締役会で「ヒロ」の呼称で親しまれ、積極的に議論に参加してきた。

「数十年続くアライアンスだと言い続けている」。ゴーマン氏は4月、日本経済新聞の取材にこう答え、三菱UFJとの関係を維持する方針を示した。後継の候補者3人も三菱UFJの経営陣に引き合わせた。両社の関係でのゴーマン氏の存在感は大きく、後継者がどの程度準備できているかは未知数だ。

(ニューヨーク=大島有美子、竹内弘文)

(日本経済新聞)

モルガンと三菱UFJ、関係次世代へ ゴーマン氏退任表明 2023/05/20

米銀大手モルガン・スタンレーのジェームス・ゴーマン最高経営責任者(CEO)が19日、今後12カ月以内に退任する意向を発表した。2010年からCEOを務めるゴーマン氏は、モルガンに約22%出資する三菱UFJフィナンシャル・グループとの関係を深めたことでも大きな足跡を残した。三菱UFJは20年から亀澤宏規氏がCEOを務める。両社の関係は名実ともに次世代のトップ層に引き継がれる。

「後継者を見定めているのはわかっていたが、あと1年以内に退任というのはサプライズだった」。三菱UFJの幹部は19日、モルガン・スタンレーの発表を受けて驚きを隠さなかった。

ゴーマン氏は同日の株主総会で退任意向を伝え、取締役会がすでに次期CEO候補として社内の3人に絞り込んだことも明らかにした。法人・機関投資家向け証券業務統括のテッド・ピック共同社長やウェルスマネジメント統括のアンディー・サパースタイン共同社長、資産運用事業統括のダン・シムコウィッツ共同戦略責任者が有力候補とみられている。

「トップになるなら国際会議で発信できないといけない。後継者はそういう経験を増やした方がいい」。関係者によるとモルガン・スタンレーの取締役会で数年前、繰り返しこう助言した人がいた。三菱UFJ銀行の平野信行現特別顧問だ。MUFGが2人派遣する取締役の1人として、09年以降通算9年弱にわたってモルガンの経営に携わった。

平野氏の助言を受け、次期CEO候補の一人と目されるピック氏は、国際金融協会(IIF)のボードメンバーにモルガン代表として入ることになった。米銀大手ではJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOの後継候補の一人として名前が挙がるダニエル・ピント社長など各行のトップ層が同協会に名を連ねる。

モルガン・スタンレーはゴーマン氏の旗振りのもと、富裕層向けのウェルスマネジメント業務を拡大。ウェルス部門は22年12月期時点で利益の6割超を占める安定した収益源となった。伝統的な投資銀行業務は、経済状況や資金調達ニーズの変化によって利益水準が大きく変動しやすい。買収を通じて強化してきたウェルスマネジメントや資産運用部門の成長が利益のブレを吸収してきた。

株式市場は収益構造の転換を評価する。ゴーマン氏がCEOに就任した10年1月以降、モルガン・スタンレーの時価総額は3.7倍になった。同期間の増加率では米銀大手の中でトップだ。19年ごろまで時価総額はゴールドマン・サックスとほぼ同水準だったが、足元では同社より3割程度大きい。

三菱UFJとモルガンの関係は08年秋のリーマン・ショックに遡る。経営危機に陥ったモルガンに、三菱UFJが90億ドルという巨額出資で救済の手を差し伸べた。電撃的な救済劇から15年、両社の関係は金融業界で最も成功したディール(取引)の一つと評価される。

三菱UFJは11年にモルガンを持ち分法適用会社にした。モルガンが順調に利益を伸ばしたことで、三菱UFJは約10年で出資額を回収した。投資銀行業務に強いモルガンとの連携で、サントリーホールディングスによる米ビーム買収(1兆6000億円)や、リクルートホールディングスによる世界の新規株式公開(IPO)など国境をまたいだ大型案件を積み上げた。

両社の関係は13〜19年に三菱UFJの社長(15年から兼グループCEO)を務めた平野氏抜きは語れない。若手時代にはモルガンでトレーニーとしての経験も積んだ平野氏は、08年の出資時に交渉の中核メンバーだった。出資後はモルガンの取締役や三菱UFJのトップとしてゴーマン氏と親密な関係を築いた。

平野氏は19年に三菱UFJのCEOを三毛兼承現会長に譲り、20年からは亀澤氏がCEOを務める。次世代への移行を進める平野氏は22年5月にモルガンの取締役も退いた。数年前から三菱UFJは平野氏がいなくても、組織的にモルガンと関係を築いていける体制を意識的に整えてきた。

「ジェームスが亀澤氏を立ててくれたので、平野氏から非常に円滑に移行ができた」。三菱UFJ幹部は、亀澤氏が21年にモルガン取締役に就いた後の様子をこう語る。亀澤氏はモルガンの取締役会で「ヒロ」の呼称で親しまれ、積極的に議論に参加してきた。

「数十年続くアライアンスだと言い続けている」。ゴーマン氏は4月、日本経済新聞の取材にこう答え、三菱UFJとの関係を一貫して維持する方針を示した。後継の候補者3人も三菱UFJの経営陣に引き合わせたという。ゴーマン氏の言葉は、大方針として次期CEOにも引き継がれている。一方で両社の関係でのゴーマン氏の存在感は大きく、後継者がどの程度準備できているかは未知数だ。

08年の三菱UFJによるモルガンへの出資契約書には「世界的な戦略提携」として相互に利益貢献できる関係をつくる旨が記されている。三菱UFJにとってゴーマン氏の後継者との関係作りの鍵を握るのは亀澤氏だ。ゴーマン氏の退任でモルガンと三菱UFJの関係は本格的に次世代に移る。

(ニューヨーク=大島有美子、竹内弘文)

(日本経済新聞)

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