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モルガンCEO「銀行危機でない」 米利上げ継続を予測 2023/04/26

モルガン・スタンレーのゴーマン氏

米モルガン・スタンレーのジェームス・ゴーマン会長兼最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に、米シリコンバレーバンク(SVB)破綻などで金融システムが揺らぐ現状を「銀行危機とは思わない」と述べた。米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げは年内に最大2回とし、「年内の利下げが必要になるとは全く思っていない」との認識を示した。

ゴーマン氏は個別の銀行が危機的な状況になった原因は「銀行が資産と負債の管理を誤ったことに起因するにすぎない」と指摘した。そのうえで「(銀行システムは)極めて健全だ。過去とは大きく違っている」と話した。

クレディ・スイス・グループの経営危機も重なり、世界では銀行規制の強化論が浮上している。ゴーマン氏はグローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)は「極めて順調に業務を続けている」として「大手行にはしっかり規制が行き届いている」とさらなる規制強化をけん制した。

FRBの追加利上げについては「1回が想定されるし、2回はあり得るかもしれない」と語った。米国が景気後退入りする可能性は「50%未満」とし、「景気後退に突入しても短期間ですぐに終わるのではないか」との見方を示した。

ゴーマン氏は10年にCEOとなり、12年から会長を兼務する。08年秋に起きたリーマン・ショックの余波で経営危機に直面した会社の再建を主導した。業績の変動が激しい投資銀行に頼るのでなく、富裕層向けの資産管理や運用を強化して収益力を高めてきた。税引き前利益に占める富裕層向けビジネスと資産運用業務の割合は、10年12月期の26%から22年12月期には52%へ高まった。

この間に純利益は47億ドルから110億ドルへ約2.3倍に増えた。今月19日に発表した23年1〜3月期の純利益は前年同期比19%減の29億8000万ドル(約4000億円)。企業の資金調達や市況の低迷で株式と債券の引き受けで苦戦したが、堅調な富裕層向けビジネスが収益全体の落ち込みを最小限に食い止めた格好だ。

ゴーマン氏は「(モルガン・スタンレーについて)市場は世界で有数の投資銀行でありながら、世界最大級のアセットマネジメント(資産運用)会社とみているのではないか」と話す。QUICK・ファクトセットによると、4月24日時点の株式時価総額は1517億ドルで、ゴールドマン・サックス(1153億ドル)を上回る状態が続く。

三菱UFJフィナンシャル・グループがモルガンの優先株を90億ドル(当時の為替レートで9000億円)で引き受けて始まった提携関係は15年目に入った。ゴーマン氏は「ふたつの巨大な金融機関が国境をまたぐ提携では最も成功した事例だ」と評価した。

そのうえで「日本では単なる株式売買を仲介するような証券ビジネスが頭打ちで、資産運用の助言ビジネスがより求められるようになる」と指摘した。富裕層向けのビジネスなどで三菱UFJとの協業を深める考えを示した。

ゴーマン氏は今回のインタビューで「時期は明言できないが(CEOの)交代期は近づいている」と言及した。後継の候補者は3人だとし、三菱UFJの首脳陣と年2回開く会議へ出席するための今回の出張に全員が同行したという。CEOを外れたら会長職に専念するものの、会長としての任期は「短期間になるだろう」と話した。

08年の提携交渉に携わり、ゴーマン氏と親密な関係を築いた三菱UFJ銀行の平野信行・特別顧問は昨年5月の株主総会でモルガンの取締役を退いた。提携の重みを知るゴーマン氏も要職を降りるとどうなるのか。関係は永続的に続くのか尋ねると「両社にそろって恩恵があってこそ提携関係は機能するものだ」と述べた。

(金融部長 河浪武史、渡辺淳)

James Gorman 豪メルボルン大卒。米コロンビア大学経営大学院修了。マッキンゼー、メリルリンチを経て2006年にモルガン・スタンレーへ入社。10年に最高経営責任者(CEO)、12年から会長を兼務。オーストラリア出身、64歳。

(日本経済新聞)

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