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ユニクロやアステラス、給与の世界共通化進む 2023/01/13

【この記事のポイント】
・日本企業でグローバルな給与制度採用が相次ぐ
・アステラス製薬は部長級以上の制度を世界で共通に
・世界的な人材獲得競争で巻き返しを狙う

日本企業が国内外の社員の給与制度の共通化を進めている。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは国内外の給与制度を3月に統一し、国内従業員の年収を引き上げる。アステラス製薬も部長級以上の制度を全世界で共通化した。主要国に比べ日本の給与制度は硬直的とされ、優秀な人材への配分で見劣りする。制度の共通化で給与水準を引き上げやすくするほか、世界的な人材配置を柔軟にできるようにする。人材獲得の国際競争で巻き返しを目指す。

「グローバルな働き方に報いていく仕組みを整えないといけない」。ファストリの岡崎健最高財務責任者(CFO)は12日の決算会見で、3月に導入する新制度について説明した。同社はグレード(等級)ごとに基本給を決めているが、日本ではこれまで役職手当や地域手当があった。これらの手当を廃止し、国内外で制度を統一する。

同時に国内正社員の年収を数%から約40%引き上げる。円安で日本の給与はドル換算で目減りしており、海外の優秀なデジタル人材などを日本に招くことが難しかった。柳井正会長兼社長は「2023年は世界大移動の年」と語る。制度の共通化で、国際的な人事異動を活発化させる。

アステラス製薬は21年に部長級以上の社員に対し全世界共通の給与制度を導入した。地域間の支給水準格差を段階的に縮小していく狙いだ。23年1月には基本給を一律で底上げするベースアップ(ベア)を世界一斉に踏み切る。役員を除く全社員を対象に、各国の物価上昇率に応じ、日本は2%、欧州の一部地域は6%引き上げる。世界共通の人事制度を一部で取り入れ始めたことで、各国の人事部門が連携をとりやすくなった。

経済協力開発機構(OECD)によると、21年の日本の平均年収は加盟国平均より低い34カ国中24位で、先進国の中で低水準にとどまっている。

米人材コンサル大手マーサーの日本法人の山内博雄氏は「効果的な人材管理などを進める目的でグローバル共通の賃金体系導入を進め、部分的に賃金上昇につながる日本企業は増えている」と指摘。「物価水準の違いがある世界各国で同額の報酬水準導入はあまり意味はない」と語る。

日立製作所は24年度までに、職務内容に応じて人材を起用する「ジョブ型雇用」を全グループ会社に広げる。国内外の37万人に同じ雇用制度を適用し、海外子会社から優秀な人材を抜てきしやすくする狙い。給与の高い米国から日本に人事異動させる場合などは、その従業員の母国の支給水準に合わせた助成などをする考えだ。

富士通も20年以降、国内で段階的にジョブ型雇用を導入し22年4月には全世界の本体、グループ会社社員の9割がジョブ型となった。世界で統一された仕事の格付けに基づいて報酬のベースが決まる仕組みだ。

野村証券は08年に米リーマン・ブラザーズの事業を買収後、主に投資銀行や市場部門でリーマンの人事制度や給与水準を前提にグローバル型の報酬制度を設けた。国内だけで働く従来型よりも成果と報酬がより明確で、現在も両部門に勤務する日本人社員の大半が同制度で働いているという。

制度を見直して国境を越えて優秀な人材を柔軟に活用することは、かねて課題だった生産性の向上にもつなげられる。

日本生産性本部によると21年の日本の時間あたりの労働生産性はOECD加盟国38カ国中27位と前年から順位を1つ下げた。ファストリの柳井氏は「海外の人はハードに仕事をしており、日本は生産性が低いことを自覚する必要がある」と強調する。同社は年収引き上げに伴って国内の人件費が約15%増える見込み。だが、製造から販売まで様々な工程でデジタル化を進めて生産性を上げることで、人件費増は吸収できるとみる。日本企業は世界を見据えた人材戦略が問われている。

(日本経済新聞)

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