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ユニコーン、世界に1000社 金融引き締めで選別も フィンテックなど躍進 2022/02/24

企業価値が10億ドル(約1150億円)以上の未上場企業「ユニコーン」が世界で急増し、2月初めに1000社を突破した。デジタル技術で新しい金融ビジネスを手がける「フィンテック」などが躍進し、2020年末に比べて7割増えた。ただし、足元では各国の金融引き締めで緩和マネーの勢いが鈍り、投資家は水面下で選別に動いている。

米調査会社CBインサイツによると、ユニコーンが世界で1000社超になった2月初め、ユニコーン全体の企業価値は約3兆3000億ドル(約380兆円)にのぼった。これは東証1部の上場企業の時価総額(約700兆円)の半分に相当する。21年は前年の約4倍の517社が新たにユニコーンになった。

現実には見つかるはずがない架空の一角獣から命名されたユニコーンが珍しくなくなったのは、デジタル技術によって革新的ビジネスモデルが生まれているからだ。21年生まれのユニコーンはフィンテックやソフトウエアの関連企業が半数を占めた。目立つのはブロックチェーン(分散型台帳)を基盤とした金融や電子商取引(EC)などだ。

米セルシウスネットワークは、一般個人が暗号資産(仮想通貨)を使ってお金を貸し借りできるサービスを提供する。米オープンシーはブロックチェーンの「非代替性トークン(NFT)」で本物と証明されたデジタルの美術や音楽のオリジナルを売買できる取引所を運営する。いずれも創業から約4年でユニコーンの仲間入りをした。

1回で1億ドル以上の大型調達も1556件と20年に比べて2.5倍。インドネシアの物流企業J&Tエクスプレスは21年春に18億ドル、21年末にさらに25億ドルを調達した。

CBインサイツによると、21年のユニコーンを含むスタートアップの資金調達額は6208億ドルと前年の2.1倍になった。コロナ下で社会環境が大きく変わり、スタートアップの伸びしろは大きいと考える投資家が多かった。

ところが、ここにきて資金調達に逆風が吹いている。米金利の上昇をきっかけに上場ハイテク株が下落。日米で投資するベンチャーキャピタル(VC)、WiLの伊佐山元代表は「米国を中心に投資マネー急増で未上場株は割高感が目立っていた。上場株が調整することで未上場株投資から一部撤退する投資家も出るだろう」とみる。

ここ数年のスタートアップ投資は、伝統的なVCだけでなく、米タイガー・グローバル・マネジメント、米コーチュー・マネジメントといったヘッジファンドも加わっていた。米調査会社ピッチブックによると、21年は資金調達額ベースで8割近くの案件にVC以外の投資家がかかわっていた。しかし、タイガーは最近、大型スタートアップ投資を控える方針を打ち出した。ファンド資金は頭打ちになりそうだ。

日本のスタートアップの資金調達もはっきり潮目が変わってきた。「日本の未上場株に興味を持っていた海外投資家が半分くらい引いてしまった。昨年までのような数十億円規模の大型調達は難しくなる」(国内VC)との見方が多い。

東証では22年に入り、上場承認された企業のうち3社が新規株式上場(IPO)を延期した。このほか「市況悪化を理由に水面下で上場申請を取り上げた会社が5社以上はある」(ある監査法人)。資金にある程度の余裕があるユニコーンは上場時期の先延ばしを検討するとみられる。

ユニコーンの企業価値は、最終の資金調達における価格に基づいて算出する。投資家の期待が下がって資金調達を見送るケースが増えても、ユニコーン数や企業価値に反映されるまでに時間差がある。米連邦準備理事会(FRB)の利上げが確実視される22年は、世界的なユニコーンの急成長にブレーキがかかる可能性が大きい。

(日本経済新聞)

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