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三メガ三様の逆張り戦略 米投資銀業務で拡大路線 三井住友に立役者2人 2023/09/20

4月下旬、三井住友フィナンシャルグループは米独立系証券会社のジェフリーズ・ファイナンシャル・グループに追加の資金を拠出し、持ち分を最大15%に引き上げると発表した。その約1年前、キーマンとなるバンカーを招いていた。

梅谷俊彦氏。21年在籍したゴールドマン・サックス証券で金融法人グループの統括責任者や経営委員会のメンバーを務め、銀行や証券界でその名が知れわたる。現在はSMBC日興証券の副社長として、北米や投資銀行の部門を指揮している。

ジェフリーズとの提携拡大と同時期に、SMBC日興セキュリティーズ・アメリカでも新社長が誕生した。スコット・アシュビー氏だ。米モルガン・スタンレーで債券資本市場部門の共同責任者を務め、SMBC日興アメリカの社長を務める。

梅谷氏と相棒のアシュビー氏が打ち出したのが大胆な業務の再編だ。自前では競争力に劣る米国の株式引き受けやM&Aのアドバイザリーから手を引き、ジェフリーズに機能を移管した。

三井住友は23年度からの新しい中期経営計画を策定するにあたり、これまでの証券戦略を徹底的に振り返ったという。梅谷氏は「日本はマザーマーケットで紛れもない最重要の市場だが、グループ全体の成長を考えたときに米市場を避けては通れない」と指摘する。

みずほがM&A助言会社の米グリーンヒルを5億5000万ドルで買収することを決めたのもそうした流れにある。挑戦権をつかむエントリーチケットになったのが、15年2月に完了した英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)が持つ貸出債権(32億ドル)の買い取りだった。

RBSの顧客基盤を受け継ぎ、取引を深めたことで債券引き受けのリーグテーブル(投資適格債部門)は07年度の20位から22年度に8位へ上昇。木原正裕社長は株式引き受けやM&Aのアドバイザリーなど投資銀行の本丸で存在感を高めることを課題ととらえ、買収の機会を探ってきた。

グリーンヒルの買収で米市場における株式引き受けやM&Aアドバイザリーの機能強化につなげる一方、22年7月に完了した米キャップストーン・パートナーズの買収は顧客層の深掘りが目的だ。キャップストーンはプライベート・エクイティ・ファンドが資金調達する際、複数の投資家から出資を募る仲介業務に強みを持つ。

一方、メガバンクでただ一つ米大手投資銀行との提携関係を維持するのが三菱UFJフィナンシャル・グループだ。三菱UFJはモルガンとの提携から15年目となる今年7月、提携関係を一歩先に進める「アライアンス2.0」を打ち出した。

世界的に投資銀行の業務に逆風が吹く中で、最大市場の米国で邦銀による三者三様の逆張り戦略が目を引く。モルガンやゴールドマンが人員削減に動くなかで「手が届かなかった優秀なバンカーにアプローチしやすくなっている」とSMBC日興の梅谷氏は話す。

(渡辺淳)

(日本経済新聞)

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