金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    Jeff Bezos, president and CEO of Amazon

  • pic

    Former CEO of General Electric, Jack Welch

企業経営最新情報

Latest information on corporate management

三井物産、欧州で航空燃料 脱炭素争奪戦巻き返し 食用油原料、26年量産へ合弁 2023/09/26

三井物産は25日、再生航空燃料(SAF)の量産を始めると発表した。エネルギー企業のガルプ(ポルトガル)と合弁会社を設立し、三井物産が株式の25%を出資する。投資額は1億ユーロ(約160億円)。ポルトガルに工場を設けて2026年から量産を開始し、年25万キロリットルを生産できる体制を整える。

商業ベースでの大規模生産は日本企業で初めてとなる見通し。SAFは次世代の再生燃料で、航空業界を中心に世界で争奪戦が激しくなっている。海外勢が増産投資をするなか、三井物産も大規模投資に踏み切り再生燃料分野で巻き返す。

三井物産は23年中に合弁会社を設立する。25%を出資して、持ち分法適用会社にする。

SAFは廃食油やサトウキビなどから生産される環境配慮型の燃料で、主流のジェット燃料に比べ二酸化炭素(CO2)排出量を最大8割減らせる。22年の生産量は21年比3倍の30万キロリットルに増えたが、世界の航空燃料の消費量の0.1%にとどまっていた。

三井物産は26年をメドに食用油の生産過程で出る廃棄物や使用済みの食用油を原料としてSAFの生産を始める。年産25万キロリットルのうち、出資分の25%を販売する。同じ原料から作れる自動車用の再生燃料も生産する。

原料を確保するために、三井物産が世界で持つ食料調達網を活用する。アジアを中心に食料工場などから廃棄物を集め、30年までに50万トン前後の原料を供給する。

日本や欧州の航空会社にSAFを販売することを想定している。26年以降にSAFなどの売上高を5億ユーロ(800億円弱)にする考えだ。

航空業界の脱炭素は難しい。大型航空機の電動化が難しいため、再生燃料に頼るほかない。現在の航空燃料の消費量は3億キロリットル。航空需要の拡大で50年に目標とするCO2の排出量実質ゼロの達成には、これを上回る4.5億キロリットルをSAFに替える必要がある。

再生燃料の生産に向けて、海外勢が先手を打っている。業界最大手のネステ(フィンランド)はシンガポールに年産約125万キロリットルとなる世界最大級の工場を建設しており、26年までに全世界で年産約275万キロリットルの生産体制の構築を計画している。

米欧のオイルメジャーも追随している。英シェルはオランダの製油所でSAFの生産を検討している。25年までに生産量を約250万キロリットルまで引き上げ、30年時点で世界シェアの10%超を獲得する計画を掲げる。

一方、日本企業は出遅れていた。コスモ石油は24年にも年3万キロリットルのSAFの生産を始めるが、まだ小規模にとどまる。

大量生産に向けては、三菱商事が石油元売り最大手のENEOSと、27年をめどに国内で原料調達を含むSAFの供給網の構築を検討している。三井物産が欧州で早期に量産体制を整えれば、欧州の空港を発着する日本の航空会社の脱炭素を後押しする。

三井物産は国内でも生産体制を整える。コスモ石油とエタノールを原料とするSAFを27年以降に22万キロリットル以上生産することを検討している。

航空各社もSAFの導入を増やし始めている。ANAホールディングス(HD)や日本航空(JAL)は30年度には使用する燃料の10%以上をSAFに置き換える方針。アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空は燃料の全量をSAFにした飛行に成功した。

(吉田啓悟)

(日本経済新聞)

menu