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三菱商事、初の純利益1兆円 大手商社4社が今期最高益  資源高・円安が追い風 非資源成長で下支え 2022/11/09

三菱商事は8日、2023年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比10%増の1兆300億円になる見通しだと発表した。従来予想を1800億円上方修正し、総合商社で初の1兆円台に乗せる。資源高や円安の追い風に加え、10年代半ばの資源バブル崩壊後に育成してきた非資源分野が下支えし、大手5社中4社が最高益を見込む。ただ、利益に占める資源の割合は依然高く、安定的な収益を稼ぐ事業の強化が必要だ。

大手5社の22年4~9月期決算が8日までに出そろった。全社が通期純利益の予想を上方修正した。伊藤忠商事を除く4社が減益予想から一転、前期の過去最高益を更新する見通しだ。5社の純利益予想の合計は3兆8700億円と、前期より約3100億円伸びる。

「為替や資源高といった価格要因の影響を除いた実力値が重要だ。基盤は出来上がってきている」。三菱商事の中西勝也社長は同日の記者会見で手応えを語った。

三菱商事は23年3月期に見込む純利益のうち、収益が安定する非資源分野が半分程度まで占める見通し。けん引するのが、電力や自動車などの事業だ。電力事業では20年に中部電力と共同で、再生可能エネルギー大手のオランダ・エネコを買収。太陽光発電所の持ち分売却なども寄与し、23年3月期は19%増の600億円を見込む。

自動車では三菱商事は18年に持ち分法適用会社にした三菱自動車の収益改善が寄与する。値上げやコスト削減で1台あたりの採算改善が進み、円安の追い風も受けて23年3月期は25%増の1330億円を稼ぐ。

大手商社は2000年代に資源開発で収益を拡大してきたが、10年代半ばに資源バブルが崩壊。三菱商事や三井物産が16年3月期に初の赤字になるなど打撃を受けた。以降は安定的に稼げる非資源を強化してきた。

三井物産はヘルスケア分野に注力する。18年にはマレーシアの病院経営大手IHHヘルスケアに2300億円を追加出資、筆頭株主となった。22年4~9月期には106億円を稼ぎ、新たな収益源に育っている。

近年、肥料など非資源分野に強い丸紅は、金融・リース・不動産事業などを成長させ、資源以外の収益力も高める戦略だ。23年3月期の同事業の純利益見通しは380億円と期初予想から140億円引き上げた。

資源・非資源の比較ができない住友商事を除く大手4社の非資源分野の23年3月期の純利益は、合計で1兆8000億円に達する見通し。各社で組織再編や算出方法の変更があり単純比較はできないが、資源バブルの崩壊の影響を受け始めた15年3月期から実額ベースでほぼ倍増する計算だ。

ただ、足元で価格高騰の追い風を受けた資源分野の割合も依然として大きい。今期の4社の純利益見通しに占める資源の割合は46%と半分近くを占める。来期以降、資源価格が下落すれば反動減も予想される。さらに景気減速の懸念もあり、中西社長は「今まで以上に厳しい事業環境になることが想定される」と危機感を口にする。

好業績にもかかわらず、大手商社のPBR(株価純資産倍率)は伊藤忠を除く4社が1倍以下と振るわない。要因の一つが、資源の依存度が依然高いためだ。UBS証券の五老晴信アナリストは「伊藤忠は資源分野は売却をし、投資家に安心感がある」と分析する。

特に化石燃料は、脱炭素の流れで縮小する見通し。三菱商事は24年度までに1兆2000億円を再生エネや次世代燃料などに投資する。三井物産も米肥料用製造大手と燃料用アンモニアを生産する計画を進める。

こうした脱炭素関連投資の収益化には時間がかかる。投資回収のシナリオを市場に示しつつ、一歩ずつ着実に成果を積み上げていくことが課題となりそうだ。

(高城裕太、宮住達朗)

(日本経済新聞)

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