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三菱商事、正念場の脱炭素 社長に中西氏、再生エネ重点投資 資源に利益偏重なお6割 2021/12/18

三菱商事は17日、中西勝也常務執行役員(61)が社長に昇格する人事を発表した。2016年4月に就任した垣内威彦社長(66)は脱炭素経営への道筋をつけたが、資源高もあり2022年3月期の連結純利益の約6割は資源部門が占める見通しだ。次期社長は再生可能エネルギーで稼ぐ経営への変革で手腕が問われる。

「脱炭素に向けた長期目標を具現化するため、先頭に立って進める」。中西次期社長は同日の記者会見で抱負を語った。現在は電力部門のトップを務め、これまで電力インフラの輸出や発電所の運営に長く携わってきた。「再生エネ開発やデジタル技術を活用した電力の効率運用などに積極的に取り組む」と話す。

三菱商事は10月、30年度までに脱炭素に2兆円を投資する計画を発表した。再生エネや電動化に必要な銅、次世代燃料の水素・アンモニアに重点投資する。全10グループを横断する具体的な目標は初めてで、脱炭素に最優先で取り組む姿勢を鮮明にした。

このうち再生エネには1兆円程度を投入。30年度までに電力事業の発電容量のうち、再生エネ電源の比率を6割超に倍増する計画を描く。今回のトップ人事も「2兆円投資」と「脱炭素変革」を象徴する人選となった。

中西氏は20年に中部電力と共同で、オランダの電力会社エネコを約5000億円で買収した立役者だ。10年代からエネコとの風力発電の共同開発で関係を築き、子会社化にこぎつけた。

エネコはオランダやベルギーなどで600万件の電力使用契約を持ち、電力小売りや洋上風力開発のノウハウが豊富だ。三菱商事はこの知見をテコに、再生エネ事業を加速させようともくろむ。欧州と日本で米アマゾン・ドット・コムに再生エネ電力を供給すると決めたのは成果のひとつだ。

垣内社長時代に脱炭素経営への道筋はつけたが、稼ぎ頭にはほど遠い。22年3月期の連結純利益は前期比4.3倍の7400億円と過去最高を更新する見通し。このうち、得意とする原料炭などの金属資源や天然ガスは、資源高もあって4320億円と6割を占めそうだ。資源中心であることは変わらず、電力部門の利益は430億円とわずか6%にとどまる。

代表権のある会長に就く垣内社長は「(16年の)社長就任時からカーボンニュートラルはすでに意識していた」と振り返る。省エネや効率化にデジタル技術は不可欠とみて、19年にNTTと業務提携した。食品メーカーや卸、小売りに人工知能(AI)を導入して業界を横断したデジタル化をすすめる構想も掲げるが、数字に表れる成果はまだ乏しい。「脱炭素と経済性の両立やデジタル化など、極めて困難な経営課題に直面している」と認める。

そのうえで中西氏を「激動する世の中を見極める構想力を持つ人材」と後継に指名した。再生エネを活用した分散型電源や、二酸化炭素(CO2)を出さない水素・アンモニアの供給網の構築はまだ投資段階。脱炭素ビジネスを資源部門に匹敵する新たな収益源として育てられるかが、中西次期社長にとっての大きな課題となる。

三菱商事は2兆円投資の原資を事業売却といった資産入れ替えなどでまかない、財務面で大きな負担はない。既存事業が生むキャッシュ(現金、営業収益キャッシュフロー)は年間1兆円規模と、業界トップ水準を維持する点は強みだ。

総合商社は新興国など海外で、大規模な火力発電所の建設や運営を手掛け、安定した収益を得てきた。脱炭素の圧力が強まるなか、こうした事業を縮小しながら変革を進めるのは共通の課題でもある。現在、丸紅と住友商事の社長が電力部門出身だが、これに三菱商事が加わった。各社社長の出身母体に商社の危機感や変革への意思が垣間見える。

(薬文江)

(日本経済新聞)

三菱商事社長に中西氏  2021/12/17

三菱商事は17日、中西勝也常務執行役員(61)が2022年4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。垣内威彦社長(66)は代表権のある会長に就く。資源と非資源分野で収益基盤を固め、再生可能エネルギーへのシフトなど脱炭素に向けた新たな収益モデルの構築を進める。

中西氏は電力部門のトップで、電力インフラの輸出や発電所の運営事業に長年携わってきた。欧州での海底送電線の大型案件獲得で実績を積んだほか、オランダの電力会社エネコと洋上風力の共同開発を手掛けた。6月の株主総会後に代表取締役に就く。

三菱商事は20年に中部電力と共同でエネコを買収し、同社の知見を活用して欧州を中心に再エネ開発を加速させている。米アマゾン・ドット・コムなど大口顧客向けに再エネ電力の供給も決め、脱炭素関連で30年度までに2兆円を投資する方針だ。

垣内社長は資源エネルギーに偏らない事業構成の見直しを進め、自動車や小売り、食品など非資源分野の強化に取り組んだ。

豊富な資金力を元に、三菱商事は今後、中西氏のもとで脱炭素に重点投資する。

(日本経済新聞)

電力畑、国内外に人脈 三菱商事次期社長 中西勝也氏(61) 2021/12/18

三菱商事の中西次期社長(左)と垣内次期会長(17日、東京・丸の内)

「脱炭素は歴史の転換点。転換はチャンスだ」。2021年4月、三菱商事の脱炭素戦略を取材したとき、語り口に力がこもった。

戦後再建された三菱商事の第13代社長に就く。カーボンニュートラルが21世紀の世界の共通課題になったいま、幅広い事業分野で脱炭素と成長持続を両立する重責を負う。

商いの町、大阪で幼少期を過ごした。実家も商売を営み、せっせと働く両親の姿をみて育った。遊んでばかりのやんちゃな子どもはやがて「もっと大きな仕事をしてみたい」との思いを強める。東大入学後も志は変わらず、三菱商事の門をたたいた。

入社後は一貫して電力部門を歩んだ。入社7年でメキシコに赴任。02年にはニューヨーク、16年には中東ドバイと海外駐在を通じて国内外に人脈を築いた。一見するとこわもてだが、ちゃめっ気のある語り口で相手の緊張をほぐして懐に飛び込む。大手電力の幹部は「新しい取り組みも興味深そうに耳を傾ける」と評する。

20年には中部電力と組み、オランダの再生可能エネルギー大手エネコの買収交渉をけん引した。総額5000億円のビックディールを投資にとどめず、現地の最前線に従業員を送り、再生エネ先進国の技術と政策、課題を常に把握できる体制を整えた。

「若いときから一度決めたら必ずやり遂げる、という強い意志を持っている」(中西氏)。脱炭素はもちろん、人工知能(AI)などの技術革新が急速に進む変革期に、新たな商社のトップ像をどう紡ぐか。自他共に認める負けず嫌いの努力家が、総合商社の未来を探る。

(鈴)

なかにし・かつや 85年(昭60年)東大教養卒、三菱商事入社。16年執行役員、19年常務執行役員。大阪府出身。

(日本経済新聞)

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