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上場企業、3期連続最高益 値上げや円安寄与 今期3.5兆円上振れ 来期は中国減速懸念 2024/02/17

上場企業の2024年3月期の純利益が3期連続で過去最高を更新する見通しだ。43.5兆円と前期比13%増え、昨年5月の期初予想から3.5兆円上振れする。経済再開や値上げの浸透、円安が収益を押し上げる。トヨタ自動車など株価の上場来高値更新も相次いでおり、稼ぐ力が高まった企業に投資マネーが流れる動きが鮮明になっている。

東証プライム市場に上場する約1020社(変則決算や親子上場の子会社など除く)の今期純利益は、期初予想(前期比6%増の40兆円)から増益幅が拡大する。製造業が16%増の21.4兆円、非製造業が11%増の22.1兆円の見通しで、ともに最高を更新する。会社が利益予想を開示していない場合、市場予想を使って集計した。

効率的に稼ぐ力を示す売上高純利益率は5.8%と前期の5.3%から改善する。新型コロナウイルス禍からの回復局面で利益が出やすかった22年3月期(6.1%)を除くと、08年の金融危機以降で最高になる。純利益率は日本企業のROE(自己資本利益率)を左右する重要な要素の一つで投資家の注目度が高い。

株式市場では予想を上回る決算が好感されており、日経平均株価は16日に史上最高値に迫った。年明け以降の1カ月半だけで、トヨタやオリエンタルランド、任天堂など、プライム上場企業全体の1割強にあたる200社超が上場来高値を更新している。

好業績の背景には値上げの浸透、経済再開に伴う人流の回復、円安の進行がある。代表業種が自動車だ。半導体不足の解消などで供給網が正常化し、高水準な受注分を一気に生産できるようになっている。円安も加わり、純利益の増加額は2.9兆円と全体の6割を占める。大手7社ではトヨタやスズキ、マツダが最高益の見通しだ。

為替相場は1ドル=150円程度と再び円安に振れている。企業の多くが24年1~3月期の想定レートを142円程度に設定しており、今のまま推移すれば自動車を中心に製造業の利益を一段と押し上げる要因になる。

インバウンド(訪日外国人)を含めた観光需要や通勤客が回復する影響も大きい。JR東日本など鉄道・バスは3割増益、ANAホールディングスなど空運は7割増益を見込む。高額品の販売好調で3回目の上方修正に踏み切った三越伊勢丹ホールディングスは「1月の状況をみるともう少し上振れするかもしれない」(牧野欣功最高財務責任者)という。

値上げも浸透する。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドはチケットを値上げしても入園者数が伸びる。松屋フーズホールディングスは客足回復や一部メニューの値上げで最高益を見込む。食品ではカルビーが定番商品を値上げし原材料高影響を吸収する。海外で「MARUCHAN」シリーズなど即席麺が好調な東洋水産では値上げが浸透し、純利益が3割増える。

電気自動車(EV)や電動化関連の需要は引き続き強い。富士電機はEV向けのパワー半導体などの好調で今期に最高益を見込み、株価は2月16日に最高値を付けた。パナソニックホールディングスはEV用電池や車部品が堅調に推移する。

来期は懸念材料がある。筆頭が長引く中国経済の減速で、村田製作所の村田恒夫会長は「スマートフォン市場のかつての規模へのV字回復は無い」と話す。為替動向は不透明だが、市場では「値上げなどが進む中、円高にふれても増益を確保できる体質になっている」(大和証券の阿部健児チーフストラテジスト)との見方があった。

稼いだお金の使い道も焦点になる。足元の自社株買いや配当を拡大する動きを続けつつ、設備投資や研究開発費などの成長投資を増やすことが欠かせない。賃上げや優秀な人材の確保・育成といった人的資本投資も含め、市場は最適な資源配分を続けられるかどうかを注視している。

(日本経済新聞)

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